この記事では「席巻」について解説する。

端的に言えば席巻の意味は「すごいスピードで勢力を広げる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「席巻」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「席巻」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「席巻」の意味や語源・使い方まとめ

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席巻」は「せっけん」と読みます。「巻」を「けん」と、珍しい読み方をしており、「せっかん」と読み間違えることが多いので気をつけましょう。また「席捲」と書くこともあります。それでは早速「席巻」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「席巻」の意味は?

まず初めに「席巻」の正しい意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「席巻」には、次のような意味があります。

1.ものすごいスピードで、至るところを自分の勢力範囲にすること。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「席巻」

2.むしろを巻くように領土を片端から攻め取ること。はげしい勢いで、自分の勢力範囲をひろげること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「席巻」

上記の通り「席巻」とは、すさまじい勢いで領土や勢力範囲を広げる事です。現代においては、「市場を席捲する」など、市場などで、売れ行きが好調で周りを圧倒するような状況のことを表現したりなど、経済面などにも用いられます。 「席巻」は、元々、領土などの勢力範囲を広げると言う意味ですが、このように、世間や社会に広まる、人気を博し皆の注目を集め他を圧倒している、と言う意味合いで使われる場合が多いでしょう。

「席巻」の語源は?

次に「席巻」の語源を確認しておきましょう。「席巻」の由来は、中国の前漢の書物『戦国策』の楚策の中にあります。『戦国策』とは、中国の戦国時代の国策や、逸話を国別にまとめたものです。楚策とは、楚の国の逸話をまとめたもので「席巻」は「席卷常山之險」と言う一文にあります。これは、「けわしい常山を速やかに制圧する」と言う意味です。では、なぜ「速やかに制圧する」ことを「席巻」と言うのでしょう。

「席」とは、「せき」のことではなく、「むしろ」(藁で編んだ敷物のこと)を指し、「席巻」とは、むしろを巻く、と言うことです。つまり、むしろをさっと巻くように素早く領土を奪う、と言う比喩表現なのですね。このように、「席巻」は元々戦いのある時代においては、領土や勢力範囲について使われていましたが、領土を争う戦争のなくなった現代の日本では、意味が転じて、すごい勢いで広がり他者と一線を画しているような事例で使われるようになったのです。

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「席巻」の使い方・例文

それでは「席巻」の使い方を、実際の例文で見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今まで注目されなかった新商品が突然人気を博し、市場を席巻している。
2.私がクラブに通っていたころ、テクノなどの電子音楽がダンス音楽業界を席巻していたよ。
3.軍事シュミレーションゲームで、途中参加の友人がまたたくまに主要な場所や都市を席巻していった。

例文1と2は、一躍人気が出たり、流行したり、広まっている、と言う意味合いで「席巻」を用いています。このような使い方は、ビジネスなどでも良く用いられますから覚えておきましょう。例文3の「席巻」は、元々の意味合いである、領土をまたたくまに奪う、ことです。現在のわが国では、このような使い方はなかなかされないかと思いますが、歴史小説などではしばしばこの意味で使われています。

「席巻」の類義語は?違いは?

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「席巻」の類義語には「脚光を浴びる」や、「風靡」が挙げられます。

「脚光を浴びる」

脚光を浴びる」は「きゃっこうをあびる」と読みます。「脚光」とは、舞台などで役者を足元から照らす照明のことです。「脚光を浴びる」には、二つの意味があり、一つめは舞台に立つことの比喩。二つめに、世間の注目の的となる、と言う意味を持っています。「席巻」にも、人や物の人気などが一気に広がっていくと言う意味がありますから、類義語と言えるでしょう。

それでは、「脚光を浴びる」の使い方を、例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「風靡」」を解説!/

・新店舗はユニークなサービスが人気となり新聞に取り上げられ、外食産業の中で脚光を浴びた。

「風靡」

風靡」は「ふうび」と読みます。「風靡」とは、強い風が吹くと草が、広い範囲にわたってなびき従うことを例えにして、多くの人をある方向に従わせることを表した言葉です。「一世を風靡する」と言う表現を聞いたことがあるでしょう。「一世」とは世の中のことですから、世の中を全て同じ方向に向かわせる、つまり、大ブームを起こす、と言う意味なのです。「席巻」も、たいへんな勢いで広まっていく、と言う意味を持ちますから、大ブームをおこすと言う意味合いの「風靡する」も類義語としてふさわしいですね。

「風靡」の使い方も、例文で確かめてみましょう。

・このアニメは、放映当時いろいろな世代の人に愛され、一世を風靡した。

「席巻」の対義語は?

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「席巻」の対義語には「日の目を見ない」が挙げられます。

「日の目を見ない」

「日の目を見ない」は「日の目を見る」の否定形です。「日の目を見る」は、日陰から日の光にあたることを例えにして、埋もれていた物や人が、世に認められるようになることですので、否定形の「日の目を見ない」は、物事が注目されず、埋もれたままになっている、と言う意味になります。よって、「席巻」を世の中の注目を浴び勢いよく広まっていくという意味で用いた場合には、「日の目を見ない」が対義語としてふさわしいでしょう。

では、「日の目を見ない」の使い方も、実際の例文で見てみましょう。

・今の時代、面白い動画を気軽に世界に発信できるようになったが、あなたの芸はちっとも日の目を見ないね。

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「席巻」を使いこなそう

この記事では「席巻」の意味・使い方・類語などを説明しました。「席巻」とは、むしろをくるくると巻くように、容易に領土を広げていく、と言う意味でしたね。「席」がむしろの事を指すことを知らなかった方も多いと思いでしょう。むしろは一般的に「莚」や「筵」と漢字で書きます。どの字も、藁などで編んだ敷物を意味しますが、人の座る位置に敷物をしき、「席」としたため、「席」や「蓆」を「むしろ」の意味で使うようになったのかも知れませんね。

また、「席巻」の読み方は間違いが多く、「巻」は珍しい読み方で「けん」と読みます。正しくは「せっけん」ですので、間違えないように覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

「席巻」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

・新店舗はユニークなサービスが人気となり新聞に取り上げられ、外食産業の中で脚光を浴びた。

「風靡」

風靡」は「ふうび」と読みます。「風靡」とは、強い風が吹くと草が、広い範囲にわたってなびき従うことを例えにして、多くの人をある方向に従わせることを表した言葉です。「一世を風靡する」と言う表現を聞いたことがあるでしょう。「一世」とは世の中のことですから、世の中を全て同じ方向に向かわせる、つまり、大ブームを起こす、と言う意味なのです。「席巻」も、たいへんな勢いで広まっていく、と言う意味を持ちますから、大ブームをおこすと言う意味合いの「風靡する」も類義語としてふさわしいですね。

「風靡」の使い方も、例文で確かめてみましょう。

・このアニメは、放映当時いろいろな世代の人に愛され、一世を風靡した。

「席巻」の対義語は?

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「席巻」の対義語には「日の目を見ない」が挙げられます。

「日の目を見ない」

「日の目を見ない」は「日の目を見る」の否定形です。「日の目を見る」は、日陰から日の光にあたることを例えにして、埋もれていた物や人が、世に認められるようになることですので、否定形の「日の目を見ない」は、物事が注目されず、埋もれたままになっている、と言う意味になります。よって、「席巻」を世の中の注目を浴び勢いよく広まっていくという意味で用いた場合には、「日の目を見ない」が対義語としてふさわしいでしょう。

では、「日の目を見ない」の使い方も、実際の例文で見てみましょう。

・今の時代、面白い動画を気軽に世界に発信できるようになったが、あなたの芸はちっとも日の目を見ないね。

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