3分で簡単可逆反応!どんな反応?不可逆反応とは?理系学生ライターがわかりやすく解説!
2-2アンモニアの生成
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触媒を用いて、水素分子H2と窒素分子N2を反応させると、アンモニア分子NH3が生じます。化学反応式で表現すると、H2+N2⇄NH3となりますよ。これは、アンモニアを工業的に量産する際に用いられている化学反応です。このようなアンモニア製造法は、ハーバー・ボッシュ法と呼ばれています。触媒には、酸化鉄Fe3O4が用いられることが一般的ですよ。
この反応は、可逆反応ですから、時間が経過すると平衡状態に達します。平衡状態に達すると、それ以上アンモニア分子を生じさせることは不可能となりますよね。これは、用意した水素分子と窒素分子のすべてをアンモニアにすることができないことを意味しますよ。
このような理由から、実際にアンモニアを製造する際は、工夫が必要となります。その工夫とは、温度や圧力をコントロールし、生成されるアンモニアの量を最大化することです。ただし、このような工夫には手間がかかるので、経済性が低下します。
2-3ニクロム酸イオンとクロム酸イオンの反応
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最後に紹介する可逆反応の例は、ニクロム酸イオンCr2O72-とクロム酸イオンCrO42-の反応です。両者は、簡単な操作で相互変化することが知られており、可逆反応と捉えることができます。簡単な操作というのは、pHの操作のことです。pHは溶液に含まれている水素イオン数を指標化したもので、酸を加えるとpHは小さくなり、塩基を加えるとpHは大きくなりますよ。
クロム酸イオンCrO42-が多く含まれる水溶液は、黄色を示します。ここに、酸を加えてpHを大きくすると、溶液は橙赤色に変化しますよ。ニクロム酸イオンCr2O72-を含む水溶液は橙赤色ですから、クロム酸イオンCrO42-がニクロム酸イオンCr2O72-に変化したことがわかりますね。一方、ニクロム酸イオンCr2O72-が含まれる水溶液に塩基を加えてpHを小さくすると、クロム酸イオンCrO42-が生じて溶液は橙赤色から黄色に変化します。
可逆反応について学ぶ意義
可逆反応は、物理化学の基礎的内容の一つです。それゆえ、化学平衡などの発展的内容を理解するためには、可逆反応の知識が不可欠となります。今回、具体例としてとりあげた化学反応の最適条件を求めるためにも、発展的内容が必要なのです。
また、このような発展的な内容を学ばない場合であっても、可逆反応の概念は知っておいて損はしないであろうものですよ。ぜひ、この記事を読んで、可逆反応についての理解を深めてみてくださいね。