この記事では「イデオロギー」について解説する。

端的に言えばイデオロギーの意味は「思想」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「イデオロギー」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻していた。私のイデオロギーはとりわけて言うべきものはないが、しいて挙げるとすれば「人に迷惑を掛けない」と「頑張り過ぎない」くらいであろう。

「イデオロギー」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「イデオロギー」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「イデオロギー」の意味は?

「イデオロギー」には、次のような意味があります。

1.政治・道徳・宗教・哲学・芸術などにおける、歴史的、社会的立場に制約された考え方。観念形態。
2.一般に、思想傾向。特に、政治・社会思想。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「イデオロギー」

辞書には詳しい説明が記載されていますが、ようするに「イデオロギー」とは「考え方、思想」のことです。主に政治や社会に関する考え方を表しますが、今ではそれらに限られません。哲学や宗教など一般的には考えることがとても難しいものから、音楽やスポーツといった身近なものにまでに「イデオロギー」という言葉を使うことがあります。

「イデオロギー」の語源は?

次に「イデオロギー」の語源を確認しておきましょう。ギリシャ語の「idea」(イデア)と「logos」(ロゴス)を合わせたものです。イデアは「言語」、ロゴスは「観念」という意味ですので、合わせて「観念を言語化したもの」となります。

「イデオロギー」が専門用語として初めて登場したのは、1801年より刊行が始まったデステュット・ド・トラシーの著書『観念学原論』でした。この「観念学」こそが「イデオロギー」です。日本には、マルクスやエンゲルスらの影響で、ドイツより「イデオロギー」がもたらされました。

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「イデオロギー」の使い方・例文

「イデオロギー」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.アイツとはイデオロギーが違うから相容れることはない。
2.ニュースアプリは毎日チェックしているが、たまにイデオロギー色の強い記事があって面食らう。
3.イデオロギーの対立を軸とした米ソ中心の冷戦はしばらく続いたが、ベルリンの壁は崩壊し、のちにソビエト連邦は消滅して冷戦は終結へと向かった。

まず、例文1や3のように「イデオロギー」が単独で使われることがあります。3のような小難しい話だけでなく、1のような軽い話題にも「イデオロギー」を耳にすることがあるでしょう。

また、例文2のように「イデオロギー」の後に別の言葉を付けて使うこともあります。「イデオロギー的」「イデオロギー観」「イデオロギー闘争」「イデオロギー分析」といった具合です。

「イデオロギー」の類義語は?違いは?

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ところで、「イデオロギー」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「ドグマ」「イズム」

まず、「ドグマ」という言葉にも「独断」という意味があり、個人的な「思想」という意味の「イデオロギー」に近いとも言えます。しかし、「ドグマ」の元の意味は「宗教の教義」ですので、主として「政治的思想」という意味で使われる「イデオロギー」とは本質的に違うと言わざるを得ません。

また、「主義、主張」を表すカタカナ語として「イズム」があります。「イズムが違う」などとも使いますが、元を正せば「イズム」はそれだけで成り立つ言葉ではなく、英語の接尾辞の1つです。「ヒューマニズム」や「フェミニズム」などはよく知られているでしょう。これらを応用した表現として、「松下イズム」や「ジーコイズム」など、特定の個人や団体の名前の下に「イズム」を付けて特定の考え方や流儀などを表すことがあります。念のため補足しますと、「松下イズム」は経営の神様こと松下幸之助氏の経営理念、「ジーコイズム」は元サッカー日本代表監督ジーコ氏のプロサッカー選手としてのあり方を表す言葉です。このように、「イズム」は「イデオロギー」と比べると、より狭い範囲の主義主張を表しています

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「イデオロギー」の対義語は?

さらに「イデオロギー」の対義語も見ていきましょう。

「アイデンティティ」「ノンポリ」

「イデオロギー」が国家や社会全体に深く関わる考え方だとすれば、その対極にあるのは個人の意義や価値観を重視する考え方です。そのことを表す言葉は「個人主義」や「利己主義」ですが、「アイデンティティ」という言葉が「イデオロギー」と同じカタカナ語ですので、対義語としてよりふさわしいでしょう。

さらに、「イデオロギー」が政治的な考えを持っている状態を表しているとすれば、その対となるのは考えを持っていないことにもなります。「ノンポリ」とは「政治活動に興味がないこと、またはその人」を言いますので、これも「イデオロギー」の対義語になり得る言葉です。

「イデオロギー」の英訳は?

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ついでに「イデオロギー」の英訳を確認しておきましょう。

「ideology」

「イデオロギー」は英語で「ideology」と表記します。ただし、これは「イデオロギー」と発音しません。カタカナで表すとすれば「アイディオロジー」となります。というのも、語源の項で説明しましたが、日本には「イデオロギー」という概念がドイツからもたらされました。その影響で日本ではドイツ語の発音である「イデオロギー」の方が定着し、今に至ります。

「イデオロギー」を使いこなそう

この記事では「イデオロギー」の意味・使い方・類語などを説明しました。

人間誰しも自分なりの思考方法や論理だったり、「イデオロギー」というものを持っています。ですが、芸能やスポーツの場で特定の「イデオロギー」を主張するのはなじまないと批判する人もいるのが事実です。しかし、政治や宗教などを超越した、人類なら誰しもが関係する普遍的な問題もあるのではないでしょうか。戦争や自然災害、貧困や人種差別など、「イデオロギー」以前に解決すべき問題があるはずです。どんな「イデオロギー」を持とうが自由で人それぞれかもしれませんが、その前に余すところなく個人個人を思いやる気持ちが大切ではないでしょうか。自分ばかりを正当化するのではなく、他人の意見をちゃんと聞く余裕が大事です。

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国語言葉の意味

「イデオロギー」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「イデオロギー」について解説する。

端的に言えばイデオロギーの意味は「思想」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「イデオロギー」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻していた。私のイデオロギーはとりわけて言うべきものはないが、しいて挙げるとすれば「人に迷惑を掛けない」と「頑張り過ぎない」くらいであろう。

「イデオロギー」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「イデオロギー」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「イデオロギー」の意味は?

「イデオロギー」には、次のような意味があります。

1.政治・道徳・宗教・哲学・芸術などにおける、歴史的、社会的立場に制約された考え方。観念形態。
2.一般に、思想傾向。特に、政治・社会思想。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「イデオロギー」

辞書には詳しい説明が記載されていますが、ようするに「イデオロギー」とは「考え方、思想」のことです。主に政治や社会に関する考え方を表しますが、今ではそれらに限られません。哲学や宗教など一般的には考えることがとても難しいものから、音楽やスポーツといった身近なものにまでに「イデオロギー」という言葉を使うことがあります。

「イデオロギー」の語源は?

次に「イデオロギー」の語源を確認しておきましょう。ギリシャ語の「idea」(イデア)と「logos」(ロゴス)を合わせたものです。イデアは「言語」、ロゴスは「観念」という意味ですので、合わせて「観念を言語化したもの」となります。

「イデオロギー」が専門用語として初めて登場したのは、1801年より刊行が始まったデステュット・ド・トラシーの著書『観念学原論』でした。この「観念学」こそが「イデオロギー」です。日本には、マルクスやエンゲルスらの影響で、ドイツより「イデオロギー」がもたらされました。

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