この記事では「憂鬱」について解説する。

端的に言えば憂鬱の意味は「気持ちがふさぐこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「憂鬱」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「憂鬱」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「憂鬱」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「憂鬱」の意味は?

「憂鬱」には、次のような意味があります。

1.気持ちがふさいで、晴れないこと。また、そのさま。
2.草木が暗くなるほどに茂ること。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「憂鬱」

憂鬱と書いて「ゆううつ」と読みます。心配なことがあって気分が重いときの気持ちを「憂鬱だ」と表しますよね。そのような気分を、精神医学の分野では抑うつ気分と呼びます。

抑うつ気分があって何もする気になれないという状態は、うつ状態と呼ばれるものです。うつ状態におちいると「自分はうつ病かもしれない」と心配する人もいるでしょう。厚生労働省が関わるある調査によると、16人のうち1人は生涯の中でうつ病を経験するといわれています。

うつ状態には、より大きな脳の病気や身体的な原因(別の病気で飲む薬の副作用など)がひそんでいることも。憂鬱な気持ちが長く続くときは、専門医に相談するのが安心です。

「憂鬱」の語源は?

次に「憂鬱」の語源を確認しておきましょう。憂鬱という言葉は、中国の古典である「管子」(紀元前8世紀~紀元前5世紀)や「韓詩外伝」(紀元前3世紀~紀元1世紀)の中にすでに存在します。

」は「憂う(うれう)」「憂い(うれい)」とも使い、それぞれ「心配する」「心配」という意味です。「」はそれだけで「気持ちがふさぐこと」を意味しますが、草木が生い茂る様子も表します。「鬱」を使う言葉には「鬱蒼(うっそう)」もありますが、草木が茂ってなんとなく薄暗いイメージが想像できますよね。「鬱」とはまさにそのような心情を表す言葉なのでしょう。

\次のページで「「憂鬱」の使い方・例文」を解説!/

「憂鬱」の使い方・例文

「憂鬱」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.友人から恋人との不仲についてえんえんと聞かされ、こちらまで憂鬱になってしまう。
2.今の環境にストレスを感じていて、いつも憂鬱で食欲も低下していることを、誰かに打ち明けてもよいだろうか。
3.憂鬱な気分が続いて苦しいことをかかりつけの内科医に相談したところ、精神科や心療内科について教えてくれた。

「憂鬱」な状態は、率直にいって悪い状態といえます。社会生活において「憂鬱」はうつ病や自殺などにつながるイメージもあり、受診して医師に診てもらうことは、今ではごく一般的なことです。

一方で「憂鬱」は芸術を生み出す存在でもあります。「メランコリア(憂鬱質)」なムードに傾倒していた中世ヨーロッパでは、悩みや不機嫌といった感情をモチーフにした作品が多く描かれました。死を題材にした「メメント・モリ(死を忘るなかれ)」を追究する作品は、その時代を象徴するものといえます。現代でも、虚無感や疎外感を前面にだした音楽や小説・マンガなどがあり、それを好むファンもいるようです。

「憂鬱」の類義語は?違いは?

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「憂鬱」の類義語には「気鬱(きうつ)」「憂愁(ゆうしゅう)」などがあります。

その1「気鬱(きうつ)」

「気鬱(きうつ)」は「気分が晴れ晴れしないこと」という意味です。「憂鬱」とほぼ同じ意味ですね。「気鬱な日々が続いている」のように「憂鬱」と同じ使い方をします。入れ替えて使っても差し支えないでしょう。

ただし「憂鬱」は、暗くなるほど茂る草木の様子に使われることもあります。「気鬱」は「気」の字が示すとおり「気分」についてのみ使う言葉です。

\次のページで「その2「憂愁(ゆうしゅう)」」を解説!/

その2「憂愁(ゆうしゅう)」

「憂愁(ゆうしゅう)」は「気分が晴れず、沈むこと」という意味です。「憂鬱」と同じ「憂」の字が使われていますね。「憂」とは「憂う(うれう)」、つまり「心配する」「思い悩む」気持ちを表します。

「愁」には「悲しむ」という意味があり、「ご愁傷様(ごしゅうしょうさま)です」と使われる「愁傷(しゅうしょう)」は「なげき悲しむこと」という意味です。

「思い悩む」気持ちや「悲しむ」気持ちで、沈んでいる様子を表すのが「憂愁」。「憂愁の色が浮かんだ表情」のように使います。

「憂鬱」の対義語は?

「憂鬱」の対義語には「爽快」「明朗(めいろう)」などがあります。

その1「爽快」

「爽快」は「さわやかで気持ちが良いこと」という意味です。晴れ晴れとした気分を表すにはピッタリの言葉ですね。気分が晴れないことを表すのが「憂鬱」であるため、まさに対義語といえるでしょう。

「爽」の字は「爽やか(さわやか)」とも読みます。そのイメージからか「爽快」には、「スッキリ」「すがすがしい」といった切れ味あるニュアンスを感じませんか。「爽快な苦み」という言葉からは「ピリッ」とした感じが伝わります。ただの「苦み」というと否定的な感じがしますが、「爽快な」がつくと苦みが持ち味であることが伝わってきますね。

その2「明朗(めいろう)」

「明朗(めいろう)」は「ほがらかで明るいこと」という意味です。「明朗な人柄」のように、明るい性格を表すときに使われます。

「憂鬱」は本来、気分がふさいでいることを表す言葉です。しかし「ハムレット王子のような憂鬱な人物」のように、性格を表す言葉として使われることがあります。この場合の「憂鬱」は「いつも思い悩んでいるような性格」という意味です。「明朗」とは逆といえますね。

また「明朗」には「うそやごまかしがない」という意味もあります。「明朗会計」という場合にはこちらの意味です。

「憂鬱」の英訳は?

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「憂鬱」の英訳は「melancholy」です。

「melancholy」

「melancholy」の意味は「もの思いに沈んでいる様子」です。つまり「憂鬱」と和訳して大丈夫。日本語を英訳するとき、英語を和訳するときと、相互に使うことができます。「melancholy」を日本語読みすると「メランコリー」です。なんとなく聞いたことがあるかもしれませんね。

「憂鬱」の英訳として「ナーバス」「ブルー」も思い浮かんだでしょうか。「ナーバス」は英語で「nervous」であり、意味は「神経質な」。「ブルー」は英語で「blue」であり、意味は「切ない」です。日本語の「ナーバス」「ブルー」は「憂鬱」の意味に近いかもしれませんが、英訳としては適切ではありません。

\次のページで「「憂鬱」を使いこなそう」を解説!/

「憂鬱」を使いこなそう

この記事では「憂鬱」の意味・使い方・類語などを説明しました。

少しの寄り添う気持ちをもつことで、この世の中の「憂鬱」は減っていくかもしれませんね。

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国語言葉の意味

「憂鬱」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「憂鬱」について解説する。

端的に言えば憂鬱の意味は「気持ちがふさぐこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「憂鬱」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「憂鬱」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「憂鬱」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「憂鬱」の意味は?

「憂鬱」には、次のような意味があります。

1.気持ちがふさいで、晴れないこと。また、そのさま。
2.草木が暗くなるほどに茂ること。また、そのさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「憂鬱」

憂鬱と書いて「ゆううつ」と読みます。心配なことがあって気分が重いときの気持ちを「憂鬱だ」と表しますよね。そのような気分を、精神医学の分野では抑うつ気分と呼びます。

抑うつ気分があって何もする気になれないという状態は、うつ状態と呼ばれるものです。うつ状態におちいると「自分はうつ病かもしれない」と心配する人もいるでしょう。厚生労働省が関わるある調査によると、16人のうち1人は生涯の中でうつ病を経験するといわれています。

うつ状態には、より大きな脳の病気や身体的な原因(別の病気で飲む薬の副作用など)がひそんでいることも。憂鬱な気持ちが長く続くときは、専門医に相談するのが安心です。

「憂鬱」の語源は?

次に「憂鬱」の語源を確認しておきましょう。憂鬱という言葉は、中国の古典である「管子」(紀元前8世紀~紀元前5世紀)や「韓詩外伝」(紀元前3世紀~紀元1世紀)の中にすでに存在します。

」は「憂う(うれう)」「憂い(うれい)」とも使い、それぞれ「心配する」「心配」という意味です。「」はそれだけで「気持ちがふさぐこと」を意味しますが、草木が生い茂る様子も表します。「鬱」を使う言葉には「鬱蒼(うっそう)」もありますが、草木が茂ってなんとなく薄暗いイメージが想像できますよね。「鬱」とはまさにそのような心情を表す言葉なのでしょう。

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