気体分子数と質量
気体だけには限りませんが、通常物質の量は分子数約6×10^23個で、1mol(モル)として数え、物質量と言い、1molあたりの分子の個数(約6×10^23)をアボガドロ数と言います。
少し話がそれますが、塩と砂糖(ショ糖)は同じ質量で混ぜるとしょっぱくなりますね。これは塩の方が分子1粒あたりの質量が軽いため、同じ質量にて換算すると塩の方が物質量(分子の個数)が多くなるためです。塩および砂糖などの糖類の分子量(1mol辺りの質量)は以下の通りです(小数点2桁以下四捨五入)。
塩=NaCl→58.4
ショ糖(スクロース)=C12H22O11→342.3
2.ドルトンの分圧の法則を使った例題
ここからは、分圧の法則を使った例題の解説に移りたいと思います。今回の例題は常温常圧で液体である水を気体に変化させるという内容の計算問題です。窒素と酸素からなる空気に加え、水蒸気という気体も登場しするため、分圧の法則を活用しましょう。
減圧させて水蒸気発生
image by Study-Z編集部
断面積Sのシリンダ内に液体の水18gを入れてピストンを付けて引っ張り、シリンダ内を減圧することで液体の水を蒸発させて気体に変える実験を考える問題です。これを行う実験室の温度を25℃とし、シリンダやピストンは十分な強度を有し、仮にシリンダ内が完全真空になるまで引っ張てもリークしたり破損したりしないものとします。また、水の分子量は18とし、液体の水の体積はシリンダ内体積に比べ十分に小さく無視できるものとして以下の問を考えましょう。
問1
質量mの物体を吊り下げることでシリンダ容器内を減圧します。大気圧をP0、減圧後のシリンダ内圧力をP、重力加速度をgとして鉛直方向の力のつり合い式を立てましょう。ただし、ピストンとシリンダ間の摩擦力は無視します。
問2
問1で重りを吊り下げた後のシリンダ内高さをL’として、PをL’、L、P0、m、gのうち必要なパラメータを用いて表しましょう。ただし、シリンダ内の温度は25℃のまま変わらないものとします。
問3
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水は大気圧下では約100℃で沸騰し気体となりますが、雰囲気圧力が低くなるとより低い温度で沸騰し気体になります。例えば、富士山頂では0.63気圧程度と圧力が低く、水が87℃で沸騰するのはこのためです。気圧を大気圧の0.03倍(大気圧の3/100の圧力、ここでは0.03P0)程度より小さくすると約25℃で水が蒸発することが分かっているとしましょう。
つまり、ある一定以上の重さの重りを吊るすとシリンダ内圧が低くなりやがて蒸発して水蒸気になります。今回の実験条件にて、水が蒸発するためには重りの質量はいくら以上にすればよいか計算しましょう。
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