この記事では「適宜」について解説する。

端的に言えば「適宜」の意味は「適している事」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「適宜」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で日本語を分かりやすく解説していく。

「適宜」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「適宜」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「適宜」の意味は?

「適宜」には、次のような意味があります。

1.状況によく合っている事。また、そのさま。適当。
2.便宜に従うこと。その時々に応じて、各自の判断で行動する様。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「適宜」

「適宜」には、その状況にぴったり合っているさまその時々に応じて適切だと思う行動を自分の判断でするという二つの意味があります。

その状況にぴったり合っているさまとは、その時々の状況に対して一番適切な行動を選択すること。つまり、誰が見てもふさわしいと思う行動をとるということを意味します。一方で、その時々に応じて適切だと思う行動を自分の判断でするというのは、例え客観的に見たら違う判断だとしても自分が一番適切だと思う行動を優先するということです。

どちらにしても自分が適切だと思う行動をとるということには変わりありませんが、常識的に考えればどの行動を選択すればいいのか分かる場合と、どの選択をするかは各自の判断に預けられるという状況の場合があるということが出来るでしょう。

「適宜」の語源は?

次に「適宜」の語源を確認しておきましょう。

「適宜」は、「適」と「宜」という漢字で成り立っていますよね。このそれぞれの意味を組み合わせることによって、「適宜」の語源を理解することが可能です。

「適」には当てはまる、ふさわしいという意味、「宜」にはよろしい都合がいいという意味があります。この二つの意味は、どちらも状況に合っている、適当といった意味があることが分かりますね。この様に同じ意味の漢字を二つ組み合わせることによって、「状況に合った行動をとること」という意味を強調していることが分かります。

\次のページで「「適宜」の使い方・例文」を解説!/

「適宜」の使い方・例文

「適宜」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大手企業では仕事が締切りまでに完了すれば、空き時間のタイミングを利用して適宜小休憩をとることが出来る。
2.開催日時と場所に関しては、秘書が適宜対応します。
3.ビジネスマナー講座の募集に関して、お申込み人数が上限に達した場合適宜締切らせていただきます。

例文の1番は、状況に応じて自分の判断で行動するという意味での「適宜」を用いた表現です。「適宜」はビジネス用語として用いられることが多いですが、この場合に関しても休憩を自分の好きなタイミングで取ってよいというビジネス用語になります。

例文の2番と3番はもう一つの意味である、その状況にふさわしい適当な行動をとるという方の用い方です。自分の好きなタイミングや正しいと思うタイミングを自由に選択する1番目の例文と違って、2番と3番は誰にとっても正しいと思える行動を選ぶ必要があるというニュアンスが含まれているということがお分かりいただけるでしょうか。

「適宜」の使用例として、2番目の例文の「適宜対応」の他にも、「適宜確認」「適宜変更」「適宜調整」など他の熟語と組み合わせて用いられることも多くあります。この様に後に続く熟語も一緒に覚えておくと、誤った使い方をするリスクを減らすことが出来ますね。

「適宜」の類義語は?違いは?

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「適宜」には、「その状況にふさわしい様」を表現する場合と「各自状況に合わせて対応すること」を表現する場合の二つの意味があることが分かりました。この二つの意味に対するそれぞれの類義語を見ていきましょう。

「適切」

まず初めに、「その状況にふさわしいこと」の類義語は、「適切」です。

「適切」は、少しのずれもなく物事に対して丁度良く当てはまっている様子を表現する言葉。「適宜」がビジネスシーンで多く用いられるのに対して、「適切」は日常的に用いられることが多い、なじみ深い言葉です。

「適切な判断」、「適切な対応」、「適切な場所」など、「適切だ」を「適切な」に変えることによって他の術語を組み合わせることが出来ます。

\次のページで「「然るべく」」を解説!/

「然るべく」

次に、「その状況に合わせて自分の判断で行動する」という方の類義語は、「然るべく」です。

「然るべく」とは「しかるべし」の活用形で、「都合の良いように」「適当に」といった意味があります。ぴったりと丁度良い様子を表す「適切」に対して、「自由に自分のタイミングで」という意味合いが強いということが分かりますね。

よって「適宜」は、「適切」と「然るべく」の二つの意味を併せ持った言葉ということになります。この二つの意味を正しく理解して、適宜使い分けましょう。

「適宜」の対義語は?

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類義語を、「適宜」の二つの意味に沿ってそれぞれに対応する形で紹介してきました。対義語も、それぞれの意味に適宜する二つを紹介していきます。それでは見ていきましょう。

「常時」

まず一つ目は、「常時」です。「常時」は、「いつでも」「常に」「普段」といった意味があります。「常に同じ状態である」ということは、「その状況に合わせてその都度ふさわしい選択をする」という意味と反対の意味を持っていることが分かりますね。

つまり、「適宜対応する」は状況に合わせて対応の仕方を変えるという意味ですが、「常時対応する」は常に対応できる状態にあるという意味を表現します。似ている表現ですが、示す内容には大きな違いがありますよね。

「定時」

もう一つの対義語は、「定時」です。「定時」は、「一定の時間」「一定の期間」を表現する言葉、すなわちいつも決まった時刻や同じ期間を意味します。よって、「状況に合わせて自分で判断する」という意味の「適宜」の対義語だということが分かりますね。

「適時休憩をとってください」は、自分の好きなタイミングで休憩をとってくださいという意味になりますが、「定時の休憩をとってください」だと、いつもと同じ時間の休憩を今日も同じように取ってくださいという意味になります。

「適宜」を使いこなそう

この記事では「適宜」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「適宜」は日常的に用いられる言葉ですが、二つの意味があるということをきちんと理解した上で使いこなすことが出来ている人は意外と少ないのではないでしょうか。

ビジネスシーンで用いられることも多いので、この機会にしっかりとマスターしてしまえば、どんな状況でも適宜対応できるかもしれませんね。二つの意味をそれぞれしっかりと理解した上で、ぜひ使いこなしてみてください。

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国語言葉の意味

「適宜」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

「適宜」の使い方・例文

「適宜」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大手企業では仕事が締切りまでに完了すれば、空き時間のタイミングを利用して適宜小休憩をとることが出来る。
2.開催日時と場所に関しては、秘書が適宜対応します。
3.ビジネスマナー講座の募集に関して、お申込み人数が上限に達した場合適宜締切らせていただきます。

例文の1番は、状況に応じて自分の判断で行動するという意味での「適宜」を用いた表現です。「適宜」はビジネス用語として用いられることが多いですが、この場合に関しても休憩を自分の好きなタイミングで取ってよいというビジネス用語になります。

例文の2番と3番はもう一つの意味である、その状況にふさわしい適当な行動をとるという方の用い方です。自分の好きなタイミングや正しいと思うタイミングを自由に選択する1番目の例文と違って、2番と3番は誰にとっても正しいと思える行動を選ぶ必要があるというニュアンスが含まれているということがお分かりいただけるでしょうか。

「適宜」の使用例として、2番目の例文の「適宜対応」の他にも、「適宜確認」「適宜変更」「適宜調整」など他の熟語と組み合わせて用いられることも多くあります。この様に後に続く熟語も一緒に覚えておくと、誤った使い方をするリスクを減らすことが出来ますね。

「適宜」の類義語は?違いは?

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「適宜」には、「その状況にふさわしい様」を表現する場合と「各自状況に合わせて対応すること」を表現する場合の二つの意味があることが分かりました。この二つの意味に対するそれぞれの類義語を見ていきましょう。

「適切」

まず初めに、「その状況にふさわしいこと」の類義語は、「適切」です。

「適切」は、少しのずれもなく物事に対して丁度良く当てはまっている様子を表現する言葉。「適宜」がビジネスシーンで多く用いられるのに対して、「適切」は日常的に用いられることが多い、なじみ深い言葉です。

「適切な判断」、「適切な対応」、「適切な場所」など、「適切だ」を「適切な」に変えることによって他の術語を組み合わせることが出来ます。

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