この記事では「コンセプト」について解説する。
端的に言えばコンセプトの意味は「概念・観念」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「コンセプト」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/AYA
長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「コンセプト」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。
それでは早速「コンセプト」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。
「コンセプト」とは、「概念」や「観念」のことです。横文字が多く普及している昨今、「コンセプト」という言葉はよく耳にしますね。「一貫した基本的な概念」を意味する言葉として日本でも広く浸透しています。
「コンセプト」には、次のような意味があります。
本来は、心に抱くという英語「conceive」の名詞形で、直訳すると「概念・観念」。「概念」には「物事についての大まか意味・知識」というニュアンスがあるので、「物事に取り組む際の方針・思想」を表す言葉として使われています。
ただし、日本語で使うときは「全体を通して一貫した基本方針」といった意味合いが強く、ビジネスで使う時も「基本的な方向性」を意味している事が多いです。
1.概念や観念のこと
2.全体を通して一貫した基本的構造
3.物事に取り組む際の姿勢・方針・思想を表す
出典:デジタル大辞泉(小学館)「コンセプト」
「コンセプト」という単語は、今でこそビジネスシーンで一般的に使われるので馴染みのある言葉ですが、元は広告業界で使われていた言葉です。店舗や作品など「制作物の意図」を表現する意味。わかりやすく言うと「基礎となっている考え方」です。
次に「コンセプト」の語源を確認しておきましょう。
英語の「concept( 概念)」やラテン語の「conceptum(心に抱かれた考え)」に由来する言葉で、それを和訳して「基本概念」「骨格となる理念」という意味で認知されています。
\次のページで「「コンセプト」の使い方・例文」を解説!/
「コンセプト」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.新規オープンしたレストランは、ニューヨークがコンセプトのスタイリッシュな雰囲気である。
2.シンプルをコンセプトとした新感覚の家電製品。
3.あのコンセプトカーは、不動の人気だ。
3つの例文を用意しましたが、少し違ったニュアンスがあるので見ていきましょう。
例文1つ目と2つ目は、一般的に使われているニュアンスを含みます。そのお店や商品の「テーマとなる基本的な構想」に当てはまりますね。対象となるモノの「ベースとなる考えで一貫した基本理念」です。
例文3つ目は「コンセプト+名詞」の例を挙げてみました。この場合「特定の思想を持った上で試作する」という意味があります。制作物の今後の方針や方向性を示していますよ。このようにコンセプトの前後に名詞をつけて、その制作物を通して企業理念などを表すニュアンスも含まれます。また「デザインコンセプト」のように「名詞+コンセプト」の組み合わせもありますよ。
「コンセプト」と一番近い類義語が「テーマ」です。「テーマ」とは「theme」というドイツ語が語源で「行動や創作の基調となる考え」の意。「コンセプト」は、「一貫した基本理念」でしたね。「基本・基調」がベースになっていることから、「コンセプト」の類義語にあたります。
「テーマ」は、「中心的課題」と覚えておくといいでしょう。
\次のページで「その2「モチーフ」」を解説!/
「コンセプト」の2つ目の類義語は「モチーフ」です。
「モチーフ」は、フランス語の「motif(芸術表現などの中心となる思想や動機)」が語源で、ラテン語の「 motus(動き)」も由来していますよ。主に芸術や創作分野で幅広く使われている言葉ですね。
「コンセプト」「テーマ」と違うところは、芸術表現において題材になる物事を指す語であるという点です。
「コンセプト」の3つ目の類義語は「イメージ」です。
「イメージ」はコンセプトよりも馴染み深い言葉として知られていますね。「印象」という意味で使っている人も多いと思います。辞典には「心に思い浮かべる像や情景」「物事に対して抱く全体的な感じ」と書かれているので間違いではありませんよ。ですが直訳すると「像・画像」という意味で、実はIT用語とされています。「イメージ検索」「イメージファイル」という言葉をよく聞くと思いますが「イメージ」の部分を「画像」に置き換えてもしっくりくることから分かりますね。
「コンセプト」との違いは、「モチーフ」同様具体的な物事を対象としているという点。
「コンセプト」の対義語は、どんな言葉があるでしょうか。一緒に考えてみましょう。
「コンセプト」はもともとカタカナ語です。意味は「概念・観念」でしたね。「概念」の反対の意味として「具象」が挙げられます。「具象」を英語にすると「concrete」で、「はっきりした姿・形を備えていること」の意。同じ意味で「実体(entity)」も具体的な形を持ったものとして「概念」の対義語と考えられています。
思想の形式を表す「概念」⇔具体的な形で表しているモノ「具象」
先に述べたように「コンセプト」はカタカナ語で、「concept」という英語からきています。
日本では、広告の表現から始まった言葉で、現在では商品のリニューアルなど独自のマーケティング戦略において、他との差別化を図る目的で使用する時に使う事が多い。「モチーフ」や「イメージ」との意味の違いをしっかりと理解した上で使う事が大切で、今回は英単語の説明と日本語の例文を紹介しているので、英文の例文はありません。
\次のページで「「コンセプト」を使いこなそう」を解説!/
この記事では「コンセプト」の意味・使い方・類語などを説明しました。
カタカナ語が増えている中で、「コンセプト」はビジネスシーンで使える言葉です。似たニュアンスの言葉も多くあるので、この機に違いを覚えておくと、仕事をする上で的確に相手に伝えることはもちろん、提案の幅も広がり効率化にも繋がると思いますよ。