この記事では「リスクヘッジ」について解説する。

端的に言えばリスクヘッジの意味は「危険回避」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「リスクヘッジ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いてご紹介。

「リスクヘッジ」の意味や語源・使い方まとめ

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今回のテーマは「リスクヘッジ」です。聞いたことはあるし言葉のイメージはなんとなくつくけど、実際にどう使えばいいのか…という方もいるのではないでしょうか。それでは早速「リスクヘッジ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「リスクヘッジ」の意味は?

「リスクヘッジ」は「起こりうる危険を予測し、それに対して行う予防策や対処法」のことを指す言葉です。将来的に起こり得る様々な危険(リスク)やアクシデントなどに備え、あらかじめ体制を整えておくという意味合いで使われ、単に「ヘッジ」と呼ばれることもあります。予測されるリスクを軽減させる工夫ということですね。

相場変動などによる損失の危険を回避すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「リスクヘッジ」

上記の文章を見てわかるように、「リスクヘッジ」は元々は投資などの金融関連業界での取引上で用いられていた言葉の一つです。

具体的には、保有している金融商品の価格変動に備えた「ヘッジ取引」や、一つの銘柄に集中するのではなく複数の銘柄に投資をする「分散投資」などで、損失のリスクを低減させることを指して言います。

しかし今は金融業界だけではなく、ビジネスや医療現場など様々なシーンで頻繁に使われるようになりました。ですがその場合、元々のリスク分散という意味とは多少異なり、「リスク予防策」「リスク対処法」を表す言葉として使われています。より多角的な意味に変化しているということですね。

「リスクヘッジ」の語源は?

リスクヘッジを英語で書くと「risk hedge」となります。

リスクは「危険」、ヘッジは「回避」という意味ですが、ヘッジという言葉にはもともと「生垣」という意味がありました。生垣が、家の周りを植栽によって取り囲んでプライバシーを守る目的のものであったことから、「境界線」や「仕切り」、「防衛手段」といった意味に派生して行ったのだとか。

ちなみにこのほかにも、「はぐらかす」「言葉を濁す」といった意味もあるようです。

\次のページで「「リスクヘッジ」の使い方・例文」を解説!/

「リスクヘッジ」の使い方・例文

それでは、ここからは「リスクヘッジ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

1.ビジネスシーンにおける「リスクヘッジ」
「資産運用を実践していく中では、発生するリスクやコストを低減するためのリスクヘッジ手法をとる必要がある。」

2.投資における「リスクヘッジ」
「為替予約や通貨デリバティブとは、外国為替相場の変動リスクに備えるための為替リスクヘッジ商品だ。」

3.医療現場における「リスクヘッジ」
「病院では通常、医療過誤や医療ミスなどのリスクヘッジとして、賠償責任保険への加入などが行われている。」

1.ビジネスシーンにおける「リスクヘッジ」

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会社経営を行う上で考えられるリスクは、経営および経営資源リスク、組織体制リスク、情報管理リスクなど多岐にわたります。経営者はこれら様々なリスクに対する危機回避手段を講じる必要があり、これがビジネスシーンでの「リスクヘッジ」です。「リスクヘッジをとる」「リスクヘッジをする」「リスクヘッジを図る」などという言い方をします。

さらに、このビジネスシーンでの「リスクヘッジ」は、「危機回避」のほかにも「不安材料」「懸念事項」といった意味を持って使われることも。例えば「この案件にはどんなリスクヘッジがある?」と言い方をした場合、これは「この案件にはどんな不安要素がある?」という意味と同意です。

2.投資における「リスクヘッジ」

投資における「リスクヘッジ」は、上記でもご説明したように投資する際に資産を分散してリスクを抑えたり、商品相場や株価や為替の変動など、不確定要素であるリスクに対応した打ち手のことを言います。

投資業界には昔から、「卵は一つのカゴに盛るな(Don't put all your eggs in one basket.)」という言葉が存在しています。これは欧米で古くから伝えられている格言で、「複数の卵を一つのカゴに盛ると、そのカゴを落とした場合にはすべての卵が割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて卵を盛っておけば、その内の一つのカゴを落としたとしてもすべての卵が割れることは防げる。さらにそこからヒヨコが生まれ、ニワトリになるかもしれない。」という意味であり、リスクヘッジの重要さを説いている言葉です。

3.医療現場における「リスクヘッジ」

医療や介護現場で取り組むべき「リスクヘッジ」も多岐にわたりますが、最も重要なのが患者や利用者、およびスタッフなど、関わる人々の健康や命に関わるようなリスクを防ぐことです。医療事故や医療過誤などを防ぐため、医療方法や医療器具、人材や人員などを十分に用意したり管理する必要があります。

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「リスクヘッジ」の類義語は?違いは?

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「リスクヘッジ」の類義語でよく挙げられるのが「リスクマネジメント」です。

「リスクマネジメント」

損失を回避するためにリスクを管理することを指しますが、「リスクヘッジ」が個人の責任の範囲で行うものに比べ、「リスクマネジメント」は組織全体のためのリスク回避の運用といった、より広範囲で行うプロセスを指して使います。

リスクマネジメントでは主に、リスクの発見と評価、対策の実施と評価などが行われますが、その中の「対策」というのがリスクヘッジに当たるため、「リスクヘッジ」は「リスクマネジメント」の中の一つのプロセスであると考えて良いでしょう。

企業においてリスクマネジメントすべきものは主に以下のようなものがあります。

・顧客情報、社内機密情報などの「情報漏洩リスク」
・火災、台風、地震などの「自然災害リスク」
・業務システムやサーバーのダウンなどの「システム障害リスク」
・法令違反に全般に関する「コンプライアンスリスク」
・経営上の「財務・人事リスク」
・特にものづくりを行なっているメーカーなどでの「リコールリスク」

「リスクヘッジ」の対義語は?

「リスクヘッジ」の明確な対義語は「リスクテイク」です。

「リスクテイク」

「リスクテイク」は、主に金融業界で使われる「危険を承知であえて行う」という意味の言葉です。為替投資などを行う際に、損失の可能性があることを知りながら、あえて戦略的かつ意図的に投資することで大きな利益を得るという意味の言葉で、そのリスクが大きい分利益も大きい場合が多いとされています。いわゆるハイリスク・ハイリターンです。

「リスクヘッジ」が損失を最小限に留めようとする保守的な意味であるのに対し、「リスクテイク」は危険を知りつつもチャレンジするという積極的で挑戦的な意味を持っていますね。

\次のページで「「リスクヘッジ」を使いこなそう」を解説!/

「リスクヘッジ」を使いこなそう

この記事では「リスクヘッジ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

リスクヘッジは今や、私達の日常生活においても必要不可欠となっています。例えば、資格取得などでスキルアップするというのも仕事をしながら生きていくためのリスクヘッジですし、PCや使用アプリなどのパスワードを定期的に変更するというのも情報漏洩をさせないためのリスクヘッジです。

ビジネスシーンでのリスクマネジメントのプロセスに、発見・検討・実行・評価があります。リスクを見つけ回避策を考え、実際に行動してみてそれを振り返るということです。これは私たちが普段の生活においても実践できる手順かと思います。

「備えあれば憂いなし」という言葉もありますが、将来のリスクやトラブルを回避するためにも、様々な場面での「リスクヘッジ」をあらためて考えてみるのも良いのではないでしょうか。

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国語言葉の意味

「リスクヘッジ」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「リスクヘッジ」について解説する。

端的に言えばリスクヘッジの意味は「危険回避」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「リスクヘッジ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いてご紹介。

「リスクヘッジ」の意味や語源・使い方まとめ

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今回のテーマは「リスクヘッジ」です。聞いたことはあるし言葉のイメージはなんとなくつくけど、実際にどう使えばいいのか…という方もいるのではないでしょうか。それでは早速「リスクヘッジ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「リスクヘッジ」の意味は?

「リスクヘッジ」は「起こりうる危険を予測し、それに対して行う予防策や対処法」のことを指す言葉です。将来的に起こり得る様々な危険(リスク)やアクシデントなどに備え、あらかじめ体制を整えておくという意味合いで使われ、単に「ヘッジ」と呼ばれることもあります。予測されるリスクを軽減させる工夫ということですね。

相場変動などによる損失の危険を回避すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「リスクヘッジ」

上記の文章を見てわかるように、「リスクヘッジ」は元々は投資などの金融関連業界での取引上で用いられていた言葉の一つです。

具体的には、保有している金融商品の価格変動に備えた「ヘッジ取引」や、一つの銘柄に集中するのではなく複数の銘柄に投資をする「分散投資」などで、損失のリスクを低減させることを指して言います。

しかし今は金融業界だけではなく、ビジネスや医療現場など様々なシーンで頻繁に使われるようになりました。ですがその場合、元々のリスク分散という意味とは多少異なり、「リスク予防策」「リスク対処法」を表す言葉として使われています。より多角的な意味に変化しているということですね。

「リスクヘッジ」の語源は?

リスクヘッジを英語で書くと「risk hedge」となります。

リスクは「危険」、ヘッジは「回避」という意味ですが、ヘッジという言葉にはもともと「生垣」という意味がありました。生垣が、家の周りを植栽によって取り囲んでプライバシーを守る目的のものであったことから、「境界線」や「仕切り」、「防衛手段」といった意味に派生して行ったのだとか。

ちなみにこのほかにも、「はぐらかす」「言葉を濁す」といった意味もあるようです。

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