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5分でわかる「極性溶媒」なぜ塩は油に溶けない?京大卒研究員がわかりやすく解説!

2.極性溶媒の特徴

前の章では分子の中でプラスとマイナスの電荷の偏りがあるものを極性分子と呼び、そのような液体を極性溶媒と呼ぶことを説明しました。では極性溶媒はどのような性質を持っているのでしょうか。この章では極性溶媒と無極性溶媒の沸点の違いや、極性溶媒はどのような物質を溶かすのか、などの点を見ていきましょう。

2-1.極性溶媒の沸点が高い理由

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極性溶媒では分子の中でプラスとマイナスの性質を持った原子があるということを述べました。では極性溶媒の中でそれぞれの分子のプラスとマイナスの部分が近づいたらどうなるでしょうか。プラスの電荷とマイナスの電荷を持ったものはお互いに引き合うため、極性分子もプラスとマイナスの部分がお互いに引き合います。

例えば水はプラスの電荷に偏った水素原子とマイナスに偏った酸素原子の間で静電気の引力が強く働く、代表的な極性溶媒の一つです。つまり電気の力によって水分子がお互いにしっかりと繋がっているということですね。アンモニアや水がメタンよりも沸点が高いのはこの静電気の引力のおかげであり、この力に勝つためにより高い温度が必要となって沸点が高くなるのです。特に水ではこの引力は非常に強いため、水はメタンやアンモニアに比べて沸騰させるために相対的に高温での加熱が必要となります。

2-2.極性分子に特徴的な水素結合

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ちなみに水やアンモニアでも見られたとおり、水素原子はプラスになりやすい代表的な原子です。そして静電気的な引力の中でも、水素原子がプラスになって他の分子とくっつく場合を水素結合と呼んでいます。

水素結合は様々な分子で見られ、特に生物、バイオ系の分子で重要な結合です。例えばタンパク質は複雑な立体構造を作っていますが、立体構造を作るために隣り合うペプチド分子同士が水素結合を形成しています。

2-3.極性溶媒が溶かしやすい物質

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極性溶媒は極性を持った化合物を溶かしやすい傾向を持っています。「ものが溶ける」とは化学の用語で書くと「溶質(もの)が溶媒(溶かす液体)に混和する(均一に溶解する)」ということ。ここでは水に塩が溶けるという現象を分子の目線から見てみましょう。

塩(塩化ナトリウム)はナトリウムと塩素の化合物です。電気陰性度の値はナトリウムで0.9、塩素で3.0と大きな差があるため塩化ナトリウムではナトリウムから塩素は電子を完全に引っこ抜いてしまいます。ちなみにこのような片方の原子に電子が完全に移った分子の結合をイオン結合と呼び、ナトリウムやハロゲン化物、酸性分子の水素イオン(プロトン)などがイオン結合を作る代表です。

では、このように電子が偏った塩化ナトリウムは水とサラダ油、どちらのほうが馴染みそうでしょうか。水は分子の中にプラスとマイナスの部分があり、塩化ナトリウムもプラスとマイナスの部分を持っているため、水と塩化ナトリウムは電気的にくっつくことが可能になります。

なお、サラダ油のような主に水素と炭素から作られる分子ではプラスとマイナスの部分がありません。そのため水は塩を溶かしますがサラダ油には塩がほとんど溶けないのです。

電子の偏りという分子の特徴が沸点や溶解性に影響する

私たちの身近に存在する水やエタノール、これらは極性溶媒の一種であり、分子の中で原子が電子を引っ張ることで電気的にプラスとマイナスの部分が生まれます。この電気的な引力によって水などの極性溶媒は他の分子よりも沸点が高くなることを学びました。

水の沸点が100℃であったり、水が塩を溶かすという現象は私たちにとって当たり前のことかもしれません。しかしこれらは水が極性を持っているために起こる現象です。当たり前に見える現象の裏にどのような自然のルールがあるのか、それを探すのも化学の面白さの一つですし、自然現象を理解することで最新のテクノロジーの発展につながるとも言えるでしょう。

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