
5分で分かる「原子価」原子の結合数と電子の関係とは?京大卒の研究者がわかりやすく解説!
では原子価の値はどのように決まるのでしょうか。キーワードになるのが原子が持っている電子の数です。化学に詳しいライター珈琲マニアと一緒に解説していきます。
ライター/珈琲マニア
京都大学で化学を学び、今はメーカーの研究職として勤務。高校理科の教員免許も有しており、高校化学で学ぶ内容についても詳しい。
1.原子の中にある電子と原子価

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世の中には数え切れないほど多種多様な物質が存在しており、全ての物質は炭素や酸素、水素などの原子の組み合わせによって形成されています。では原子の組み合わせにはどのようなルールがあるのでしょうか。
今回お話する「原子価」は原子が結合を作るときのルールに関する用語の一つです。高校の化学でよく似た言葉である「価電子」とセットで勉強したり、テストや模試対策で先生から覚えなさいと言われて各原子の原子価を暗記した人もいるのではないでしょうか。今回は原子価を丸暗記するのではなく、なぜ原子価が重要なのか、という点も含めて一緒に学んでいきましょう。
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1-1.原子の中にある電子の数

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まずは各原子が持っている電子の数から確認していきましょう。すべての原子は原子核と電子から構成され、原子核は陽子と中性子から構成されています。そして炭素や窒素などの各原子が持っている電子、陽子の数は原子番号と同じ数になる、つまり異なる元素で電子、陽子の数が同じになることはありません。
原子中の電子は原子核の周りに存在しており、この電子が存在する空間を「電子殻」と呼びます。電子が卵の殻のような球状の空間を飛び回っているとイメージするとわかりやすいですね。この電子殻は内側からK殻、L殻、M殻と呼ばれており、それぞれの電子殻で電子が入ることができる数、つまり「定員」が決まっています。
1-2.原子の最外殻電子
さて、原子同士が分子を形成するときに重要なのが一番外側の電子、つまり「最外殻電子」の数です。原子の間で最外殻電子の受け渡しが起こることで分子が作られたり、化学反応が起こります。極端に言えば「最外殻電子以外の電子は無視しても良い」と言ってもいいかもしれません。
このように化学反応、物質の変化を考える上で重要な最外殻電子の数を「価電子」と呼びます。周期表で同じ族である原子の価電子は同じ値で、例えば炭素やケイ素などの14族元素の価電子は4、フッ素や塩素などの17族元素(ハロゲン)の価電子は7です。典型元素においては周期表の族の1の位の数字と価電子の数は同一になります。
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