この記事では「オーセンティック」について解説する。

端的に言えばオーセンティックの意味は「本格的」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「オーセンティック」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「オーセンティック」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「オーセンティック」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「オーセンティック」の意味は?

「オーセンティック」には、次のような意味があります。

1.本物(ほんもの)であるさま。正統的であるさま。
2.ファッションで、着こなしなどが本格的なさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「オーセンティック」

「オーセンティック」は「本物の」というよりは、「正統的な」「本格的な」という意味の言葉です。「ホンモノかニセモノか」というだけの「本物」ではなく、「ホンモノの中のホンモノ」という意味で使います。

「オーセンティックなバーを紹介」という記事を見ることもありますね。「オーセンティック」という言葉で「正統な北欧風の」「本場イギリス風の」といった格式の高さを伝えているのです。居酒屋ではなく正真正銘のバーですよ、というだけの単純な意味ではありません。

ただし、「正真正銘の本物」という意味で使われる場合もあります。サッカーチームのユニフォームには、「オーセン」と「レプリカ」という2つのタイプがあるのを知っていますか。「オーセン」とは「オーセンティック」のことで「本物」、つまり選手が試合中に着ているのと全く同じものです。「レプリカ」はファンの観戦用で、観戦には必要ない機能を省いて作ってあります。

「オーセンティック」の語源は?

次に「オーセンティック」の語源を確認しておきましょう。オーセンティックの語源は英語の「authentic」。代表的な意味は「真正な」「信頼できる」です。

「authentic」には「authority(権威)」にも含まれる「auth」がついています。つまり「authentic」とは、権威のお墨付きがあるほどの「本物」ということなのです。なぜオーセンティックという言葉に品格がただようのか、理由が分かった気がしますね。

ちなみに「authentic」の語源をさらにさかのぼると、ギリシャ語の「authentikos」になります。「主要な」「根源となる」という意味です。

日本語の「オーセンティック」は、雰囲気のある飲食店やファッションを紹介するときによく使われるため、なんとなく「おしゃれな」という雰囲気をまとっています。語源となる英語の「authentic」とは、少し違うところです。

\次のページで「「オーセンティック」の使い方・例文」を解説!/

「オーセンティック」の使い方・例文

「オーセンティック」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.軽井沢にあるオーセンティックなハンバーガーのお店を知ってる?レベルの高い正統派の絶品バーガーが食べられるんだ。
2.鎌倉周辺に住む友人からの情報によると、そこのランチは上品な和風オーセンティックで、食べログでも評価が高いらしい。
3.娘の花嫁衣裳には、自分が若いころにパリで見たような、オーセンティックなデザインのドレスを用意してあげたいわ。

オーセンティックという言葉は、高級路線の店や商品だけに使う言葉ではありません。「本格的」なものや「正統的」なものを形容する用語ですから、アメリカ生まれのおいしさを追求した本物志向のハンバーガーも「オーセンティック」でしょう。

日本にも「オーセンティック」を感じるものがあるはずですね。着物などの和装やお寿司や歌舞伎…日本文化の世界にも、こだわりをもって本質を引き継ぐ人たちがいます。

料理でも職人の技でも「正統的なおもむきが素敵だな」と感じた時、オーセンティックという言葉を使ってみてください。表現をちょっと格上げしてくれる、とても使い勝手の良い言葉ですよ。

「オーセンティック」の類義語は?違いは?

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「オーセンティック」の類義語には「トラディショナル」「オリジナル」などがあります。

その1「トラディショナル」

「トラディショナル」は「伝統的な」という意味の言葉です。

ファッション業界で「オーセンティック」という場合、昔ながらの保守的な正統派スタイルをさすことが多く、そのまま「トラディショナル・スタイル」に通じます。イメージとしては、英国紳士調のスリーピーススーツやアイビールック(1950年代にアメリカの学生のあいだで流行した、七三分けの髪型、三つボタンのブレザー、ボタンダウンのシャツ、コットンのパンツを基本にしたスタイル)などです。かつては多くの男性の憧れの象徴でした。

しかし、トラディショナルスタイルはときに「古くさい」、もっと悪くいうと「ダサい」ときもありますよね。その点「オーセンティック」だと、否定的な意味はもたないのです。「オーセンティック」はトラディショナルスタイルの中でも、カッコイイ部分だけにスポットをあてた表現ともいえます。

\次のページで「その2「オリジナル」」を解説!/

その2「オリジナル」

「オリジナル」は「原型、最初のかたち」という意味です。

「オーセンティック」には「正真正銘の、本物の」という意味があります。共通するのは「まねて作ったものではなく本物」というニュアンスです。

有名スニーカーブランド「VANS」に「AUTHENTIC(オーセンティック)」というモデルがあるのを知っていますか。「AUTHENTIC」の名の通りシンプルかつ正統派のデザインが特徴です。1966年に作られた1番最初のオリジナルと比べると、ソールの反りなど改良した部分があるものの、デザインはほぼ変わりません。

最初に作ったものこそオリジナルであり原点ですが、「AUTHENTIC」モデルもまた系譜を引き継ぐものであり、VANSの原点と称されます。「オリジナル」が生まれたのち、原点といえるような正統性をもって君臨するものを「オーセンティック」と表現するのでしょう。

「オーセンティック」の対義語は?

「オーセンティック」の対義語には「フェイク」があります。

「フェイク」

「フェイク」は「にせもの」という意味の言葉です。「本物の、真正の」という意味をもつ「オーセンティック」の対義語にあたります。

「フェイク」を使った言葉には「フェイクニュース」や「フェイクファー」がありますね。「フェイクニュース」は直訳すると「虚偽報道」。一般的に、SNSなどで流されるデマ情報をさします。事実と違うことをあたかも事実であるかのように伝えるもの、それを信じた人が新たにシェアしたもの、残念ながらどちらも虚偽報道です。フェイクニュースによるデマ情報の拡散は、これまでも世間に悪影響をおよぼしてきました。

「フェイクファー」とは、本物の毛皮を使っていない、にせものの毛皮のことです。化学繊維や羊毛などで人工的に作ります。リーズナブルに毛皮ファッションを楽しむことができるのですから、「にせもの」であっても全く問題はありませんね。動物愛護の観点からもベターです。

「オーセンティック」の英訳は?

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「オーセンティック」の英訳は「authentic」です。

「authentic」

日本語の「オーセンティック」がもつ「本格的」であることや重厚さのニュアンスは、「authentic」で同じように表現できます。

「本当の」と表すときは「genuine」を使ってもよいでしょう。英語の「authentic」にも「本当の」という意味はありますが、「正真正銘の」「信頼できる」といった、正統性を主張するような気高い雰囲気があります。もう少し単純に「にせものではなく本物」という意味を表したいときは、「genuine」がピッタリです。

\次のページで「「オーセンティック」を使いこなそう」を解説!/

「オーセンティック」を使いこなそう

この記事では「オーセンティック」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「オーセンティック」の言葉を使いこなすと同時に、「オーセンティック」なお店も使いこなしてみたいものですね。大切な人を誘って、出かけてみてはいかがでしょうか。

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国語言葉の意味

「オーセンティック」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「オーセンティック」について解説する。

端的に言えばオーセンティックの意味は「本格的」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「オーセンティック」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「オーセンティック」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「オーセンティック」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「オーセンティック」の意味は?

「オーセンティック」には、次のような意味があります。

1.本物(ほんもの)であるさま。正統的であるさま。
2.ファッションで、着こなしなどが本格的なさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「オーセンティック」

「オーセンティック」は「本物の」というよりは、「正統的な」「本格的な」という意味の言葉です。「ホンモノかニセモノか」というだけの「本物」ではなく、「ホンモノの中のホンモノ」という意味で使います。

「オーセンティックなバーを紹介」という記事を見ることもありますね。「オーセンティック」という言葉で「正統な北欧風の」「本場イギリス風の」といった格式の高さを伝えているのです。居酒屋ではなく正真正銘のバーですよ、というだけの単純な意味ではありません。

ただし、「正真正銘の本物」という意味で使われる場合もあります。サッカーチームのユニフォームには、「オーセン」と「レプリカ」という2つのタイプがあるのを知っていますか。「オーセン」とは「オーセンティック」のことで「本物」、つまり選手が試合中に着ているのと全く同じものです。「レプリカ」はファンの観戦用で、観戦には必要ない機能を省いて作ってあります。

「オーセンティック」の語源は?

次に「オーセンティック」の語源を確認しておきましょう。オーセンティックの語源は英語の「authentic」。代表的な意味は「真正な」「信頼できる」です。

「authentic」には「authority(権威)」にも含まれる「auth」がついています。つまり「authentic」とは、権威のお墨付きがあるほどの「本物」ということなのです。なぜオーセンティックという言葉に品格がただようのか、理由が分かった気がしますね。

ちなみに「authentic」の語源をさらにさかのぼると、ギリシャ語の「authentikos」になります。「主要な」「根源となる」という意味です。

日本語の「オーセンティック」は、雰囲気のある飲食店やファッションを紹介するときによく使われるため、なんとなく「おしゃれな」という雰囲気をまとっています。語源となる英語の「authentic」とは、少し違うところです。

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