この記事では「ご教示」について解説する。

端的に言えばご教示の意味は「教え示すことの敬語」ですが、正確な意味や使用場面を理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学者である船虫堂を呼んです。一緒に「ご教示」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/船虫堂

今回の記事を担当するのは文学博士で日本語学の研究者の船虫堂だ。言葉に対して幅広い興味を持つ船虫堂が、丹念な調査をもとに語句の解説をわかりやすくしていく。

「ご教示」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ご教示」の意味や使い方を見ていきましょう。

「ご教示」とは、「教え示す」と言う意味の漢語である「教示」に「ご」のついた敬語表現で、「ご教示ください」や「ご教示願います」のように相手から何かを教わりたい時に使用することが多い語です。

ややかしこまった表現であるため、使用場面としてはビジネスのメールや文書などが考えられます。書き言葉では定型文のように使用される一方で話し言葉では、使えないこともないですが、やや硬い印象を与えるかもしれません。

「ご教示」の意味は?

「ご教示」の「ご」を除いた「教示」には、次のような意味があります。『精選版 日本国語大辞典』(小学館)を参照してみましょう。

教示

〘名〙 (「きょうし」とも) 教え示すこと。また、教え示された事柄。示教。

※白石先生手簡(1725頃)三「尊兄御教示のごとくに仕候て」

※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉前「巴比陀君の教示に随ひ」 〔韓愈‐贈張籍詩〕

 

『精選版 日本国語大辞典』(小学館)より

漢語「教示」を構成する字のごとく、「教え示す」ことが第一に示されている意味です。また、「教示」は用例のように、「教え示された事柄」を表す用法もあります。

「ご教示」は「教示」の敬語表現(尊敬語)ですから、自分から見て目上の立場の人が教え示すこと、もしくは教え示してくれる事柄に対して用いるわけです。

「ご教示」の使い方・例文

それでは、「ご教示」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「ご教示」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.次回の会議の詳細についてご教示いただきたくご連絡差し上げました。
2.今回の作業で使うソフトの操作方法についてご教示いただけますでしょうか。
3.お忙しいところご教示いただきありがとうございます。

このように、「ご教示」は、かしこまった文体で、目上の人に対して情報を求める依頼やお願いをする時に用い、例文3で挙げたように、教わった場合のお礼の文にも使えます。

「ご教示」の類義語は?違いは?

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「ご教示」の類義語としてよく言われるのが「ご教授」です。大学生や新社会人など、硬い文章に慣れない方で「ご教示 ご教授 違い」などのキーワードでWeb検索をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

どちらも教えることには変わりがないのですが、「教示」が日程や操作方法など、1回教われば住む事柄を対象にするのに対し、「教授」はちょうど学校で先生から授業を受けるように体系的・継続的に物事を教えることを対象にします。

「ご教授」

「ご教示」の類義語「ご教授」は厄介な存在です。読みが「ごきょうじ」・「ごきょうじゅ」と似ているのに加え、「教える」という基本的な意味は共通しています。では、「ご教授」の「ご」を除いた「教授」にはどんな意味があるのでしょうか。

教授

〘名〙
① (━する) 学問や技芸などを継続的、組織的に教え授けること。また、その人。
※続日本紀‐天平二年(730)三月辛亥「但見諸博士、年歯衰老、若不教授、恐致業」 〔史記‐仲尼弟子伝〕
② 大学や高等専門学校、旧制高等学校などの教員の職階の最高位。また、その人。
※帝国大学令(明治一九年)(1886)一一条「各分科大学の教官は教授及助教授とす」
③ 「きょうじゅあじゃり(教授阿闍梨)①」の略。
※金剛寺文書‐延暦一四年(795)四月九日・沙彌空海戒牒写「大徳豊安律師 奉請為教授」
 
『精選版 日本国語大辞典』(小学館)より
 

\次のページで「「教授」の意味」を解説!/

「教授」の意味

『精選版 日本国語大辞典』の「教授」の項目の1が今回の「ご教示」との使い分けのポイントと関わるところです。「教授」は「学問や技芸など」とあるように、あるまとまった知識や技術の体系を継続して教わることを言います。

例えば、プログラミングに詳しい人に「Pythonで統計解析をする方法についてご教授いただきたいのですが...」と頼む場合、一言で伝えるのは難しいでしょうからこの場合は「教示」ではなくて「教授」の方が適当となるわけです。

「ご教示」と「ご教授」の使い分け

ここで、「ご教示」と「ご教授」の使い分けをまとめると、

「ご教示」は「教え示す」ことの敬語で、日程や方法、話の内容など、1回(もしくは少ない回数で)伝わればことが済む時に使います。

それに対し「ご教授」は、「教え授ける」ことの敬語で、学問や語学、芸術、スポーツなど継続的・体系的に教える内容が対象です。

「ご教示」の対義語は?

厳密に言うと対義語ではないのですが、今回は敬語表現ということで、尊敬語である「ご教示」、つまり目上の人が教えるのに対し、目下の者が目上の人に教える場合、謙譲語でどのように言葉を使えば良いのかについて説明します。

「ご案内します」「ご説明します」

目下の者が目上の人に教える場合、これという定型的な後はありません。その代わりに見出しにも挙げたような「案内する」、「説明する」などの言葉を使って「明日のスケジュールについてご案内申し上げます」だとか、「機器の操作方法についてご説明いたします」のように敬語表現を作っていきます。ここでは「教示」、「教授」という言葉は普通使いません

実践として、先ほど挙げた例文1,2を謙譲語に変えてみましょう。

1.次回の会議の詳細についてご案内申し上げたくご連絡差し上げます。
2.今回の作業で使うソフトの操作方法についてご説明いたします。

「ご教示」の英訳は?

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「教示」という語を辞書で引くと"teach"や"instruct"といった語が掲載されることが多いようですが、実際のビジネス場面では他にも色々な表現が用いられているようです、

\次のページで「"teach", "tell", "let me know" プラス丁寧な言い回し」を解説!/

"teach", "tell", "let me know" プラス丁寧な言い回し

それでは先ほどの例文を英訳してみましょう。いずれもかしこまった表現を用いています。例文2はバリエーションを出すために疑問文に変えました。なお、例文4としてビジネスメールの依頼文で頻出の"I would appreciate it if〜."を使った表現を追加しています。

1.I am sending you this email to tell me about the details of the next meeting.
次回の会議の詳細についてご教示いただきたくご連絡差し上げました。
2.Could you please teach me how to operate the software used for this work?
恐れ入りますが、今回の作業で使うソフトの操作方法についてご教示くださいますでしょうか。
3.I'm sorry to bother you, but thank you for letting me know.
お忙しいところご教示いただきありがとうございます。
4.I would appreciate it if you could teach me the order of the class presentations.
授業の発表の順番についてご教示ください。

「ご教示」を使いこなそう

この記事では「ご教示」の意味・使い方・類語などを説明しました。第1のポイントは敬語表現であること。「よろしくご教示のほどお願い申し上げます」のように他の敬語表現とうまく組み合わせることによって適切な表現を作り上げてください。

第2のポイントは「ご教授」との使い分け。今自分が何を教えて欲しいのかについて理解した上で「ご教示」を使うべきなのか「ご教授」の方が適当なのか、判断をしていきましょう。

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国語言葉の意味

「ご教示」の意味や使い方は?例文や類語を日本語学者がわかりやすく解説!

この記事では「ご教示」について解説する。

端的に言えばご教示の意味は「教え示すことの敬語」ですが、正確な意味や使用場面を理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学者である船虫堂を呼んです。一緒に「ご教示」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/船虫堂

今回の記事を担当するのは文学博士で日本語学の研究者の船虫堂だ。言葉に対して幅広い興味を持つ船虫堂が、丹念な調査をもとに語句の解説をわかりやすくしていく。

「ご教示」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ご教示」の意味や使い方を見ていきましょう。

「ご教示」とは、「教え示す」と言う意味の漢語である「教示」に「ご」のついた敬語表現で、「ご教示ください」や「ご教示願います」のように相手から何かを教わりたい時に使用することが多い語です。

ややかしこまった表現であるため、使用場面としてはビジネスのメールや文書などが考えられます。書き言葉では定型文のように使用される一方で話し言葉では、使えないこともないですが、やや硬い印象を与えるかもしれません。

「ご教示」の意味は?

「ご教示」の「ご」を除いた「教示」には、次のような意味があります。『精選版 日本国語大辞典』(小学館)を参照してみましょう。

教示

〘名〙 (「きょうし」とも) 教え示すこと。また、教え示された事柄。示教。

※白石先生手簡(1725頃)三「尊兄御教示のごとくに仕候て」

※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉前「巴比陀君の教示に随ひ」 〔韓愈‐贈張籍詩〕

 

『精選版 日本国語大辞典』(小学館)より

漢語「教示」を構成する字のごとく、「教え示す」ことが第一に示されている意味です。また、「教示」は用例のように、「教え示された事柄」を表す用法もあります。

「ご教示」は「教示」の敬語表現(尊敬語)ですから、自分から見て目上の立場の人が教え示すこと、もしくは教え示してくれる事柄に対して用いるわけです。

「ご教示」の使い方・例文

それでは、「ご教示」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「ご教示」の類義語は?違いは?」を解説!/

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