

端的に言えば割愛の意味は「省く」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回はロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生の「むかいひろき」を呼んだ。一緒に「割愛」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/むかいひろき
ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を活かし、「言葉」について分かりやすく解説していく。
「割愛」の意味は?
「割愛」には、次のような意味があります。
1.惜しいと思うものを、思いきって捨てたり、手放したりすること。「紙数の都合で―した作品も多い」
2.公務員が、他の自治体や民間企業などへ籍を移すこと。また、大学の職員が、他大学へ籍を移すこと。手続きの形式上、移籍先が「人材を割愛してほしい」と申請することから。「―願い」「―申請書」
3.愛着の気持ちを断ち切ること。恩愛や煩悩(ぼんのう)を捨て去ること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「かつ‐あい【割愛】」
1が基本の意味、2は1から派生した意味になります。
「割愛」は、最近ではバラエティー番組の中でも見かけるようになりました。ですが、最近は本来の意味とは違う意味で使う人が増えているそうです。
文化庁が発表した平成23年度「国語に関する調査」では、割愛の本来の意味である「惜しいと思うものを手放す」で使う人は17.6%、本来の意味とは違う「不必要なものを切り捨てる」という意味で使う人が65.1%…という結果が出ています。
また、養蚕業では、「交尾しているオスとメスの蛾を離すこと」という意味で「割愛」を使用することがあるのですが、こちらは一般的な使い方ではありません。

言葉の意味は時代とともに変化していくものだ。現在辞書に載っている「割愛」の意味も、10年後には別の意味に変わっているかもしれないな。
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