
「佳境」の対義語は?

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「佳境」は舞台や物語の山場、と言う意味ですから、ぴったりとした対義語はありません。ですが、対義語に近い表現として「興が醒める」が挙げられますので説明しましょう。
「興が醒める」
「興が醒める」は「きょうがさめる」と読みます。「興」は、「はじめる」「おこす」、の他にも「おもしろみ」と言う意味を持っている漢字です。そして、「醒める」は、正気を取り戻す、と言うことですから、つまり、それまでせっかく楽しんでいたものに、興味や面白みがなくなることですね。「佳境」が物語などの盛り上がりの面白いところ、と言う意味ですから、面白みが失せて白けると言う「興が醒める」は、対義語に近い表現だと言えるでしょう。
「佳境」は「終盤」ではない!
「佳境」の誤用例として多いのが、物語などの終盤を指して「佳境」と言う使い方です。確かに、物語の盛り上がりと言うのは終盤に多い物ですが、「佳境」の意味はあくまでも、一番興味深い場面、盛り上がる場面、と言うことですから、終盤とは限らないのですね。また、ビジネスシーンで使う場合に「プロジェクトが佳境に入る」と言った場合、プロジェクトが終わりに近づいていると間違った解釈をする場合がありますが、これも間違いです。この場合、重要な局面に入った、と言うのが正しい意味ですね。他にも、ビジネスシーンなどで「大変な苦労をするところ」と言う意味で「佳境」を使う誤用例もありますので、気をつけましょう。
「佳境」を使いこなそう
この記事では「佳境」の意味・使い方・類語などを説明しました。「佳境」は、誤用や、本来の意味とは違っているが一般的に認知されている使い方が多い言葉です。例えば、「年末の買い物の来店客数が佳境に入った」など、「佳境」を、一番最盛期である、と言う意味で用いた場合などですね。これは本来の意味とは違いますが、一般的には違和感なく使われています。言葉は変遷していくものなので、いつかは誤用が正しい使い方になっていく可能性もあるでしょう。しかしまずは正しい意味を知ることが大事です。正しい意味を知ったうえで、本来の意味と違う使い方が一般的にされているのだ、と言う理解をしましょう。