酸 :水溶液中で電離して水素イオン(H+)を生じる物質(A)
一般式:HA → H+ + A–
例 :HCl → H+ + Cl–
塩基:水溶液中で電離して水酸化物イオン(OH–)を放出する物質(B)
一般式:BOH → B+ → OH–
例 :NaOH → Na+ → OH–
2-2. アレーニウスの定義に残された課題
アレーニウスの定義は多くの水溶液の酸・塩基について論理的に説明できるため画期的なものでしたが、それでもまだ大きく3つの欠点が残されていました。
1. 対象が水溶液中に限定されており、溶媒が水以外では定義ができない。
2. ほとんど水に溶けない、例えばFe(OH)3・Al(OH)3の塩基性が定義できない。
3. ヒドロキシ基(OH-)もたないアンモニア(NH3)の塩基性が定義できない。
それらの欠点を補うために提唱されたのが、ブレンステッド・ローリーの定義です。
3. ブレンステッドとローリー
Peter Elfelt – Britannica, パブリック・ドメイン, リンクによる
ヨハンス・ニコラウス・ブレンステッド(Johannes Nicolaus Brønsted、1879-1947)はデンマークの物理化学者で、コペンハーゲン大学で無機化学と物理化学の教授をしていました。触媒の研究でも実績を残した人物です。
一方トマス・マーティン・ローリー(Thomas Martin Lowry、1874-1936)はイギリスの物理化学者で、ケンブリッジ大学で物理化学の教授をしていました。
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