この記事では「鑑みる」について解説する。

端的に言えば鑑みるの意味は「手本に照らして考える」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国文学専攻の大学を卒業し、日本語教師の資格を持つasukaを呼んです。一緒に「鑑みる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/asuka

国文学専攻の大学を卒業。日本文学や日本語学を学ぶうちに、言葉が持つ意味の奥深さに魅了され、在学中に日本語教師の養成講座を修了する。これまで学んだこと、経験を活かし、丁寧に解説していく。

「鑑みる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは、早速「鑑みる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鑑みる」の意味は?

「鑑みる」には、次のような意味があります。

先例に照らして考える。他とくらべあわせて考える。

出典:広辞苑 第六版(岩波書店)「鑑みる」

「鑑みる」とは、先例や他と照らして考えるという意味の言葉。ただ考える時に使うのではなく、過去の出来事や現状の出来事、またはお手本や規範となることなど、比較・参考対象があるときに、照らし合わせて考える時に使用できます。

「鑑みる」という言葉は新聞や雑誌、テレビのニュース番組などあらゆるメディアで目にしたり、耳にしたりする機会が多いのではないでしょうか。また、ビジネスシーンでもよく聞くことがありますね。使用できる場面が様々ありますので、この機会に正しい使い方を覚えましょう。

「鑑みる」の語源は?

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次に「鑑(かんが)みる」の語源を確認しておきましょう。

鑑みる」の「」という漢字は、図鑑(ずかん)、印鑑(いんかん)、鑑識(かんしき)など「カン」と読むことができますが、一文字でかがみと読むこともできます。「鑑」の語源は、光の反射を利用して、顔や姿を映し見る道具の「鏡」と同じです。姿を映して見る「鏡」と同じく「鑑」にも映しだすという意味があります

また、「鑑」という言葉には、手本や規範、模範という意味もあります。例えば「あの先生は、医者の鑑だ」や「彼は人柄も良く非常に仕事熱心で、鑑とすべき人だ」というように使用することがありますね。これらは、あの先生は、医者の手本となるような人だということや彼は人柄もよくその上仕事も熱心で、模範とすべき人だということです。
こうした言い回しをするとき、「鏡」という字は使いませんよね。例で挙げた言い方のように、参考とする対象が、よきお手本として映し出される場合に「鑑(かがみ)」という字があてられます。「鏡」と「鑑」は同じ読み方でも、使い方によって意味が全く変わってしまうので、注意が必要です。

\次のページで「「鑑みる」の使い方・例文」を解説!/

「鑑みる」の使い方・例文

「鑑みる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.過去の事例に鑑みて、今回のプロジェクトは改善の余地がありそうだ。
2.現状の売上に鑑みて、生産の増大をはかる。
3.昨今の国内情勢に鑑みると、景気回復は難しいだろう。

「鑑みる」は、先例や他とくらべあわせて考えるという意味でしたね。この意味を意識しながら例文をみていきましょう。

例文1は、過去の事例と比較して、今回のプロジェクトに改善の余地があると考えています。前例と比較して考えている行為が伺えますね。続いて、例文2では、現状の売上を参考に、生産数を増やそうという考えに至っていて、例文3では、近頃の国内情勢を参考にして、景気が回復することは難しいだろうと考えているのが分かります。このように、1~3の例文全てにおいて、お手本となる比較または参考対象があって、それと照らし合わせて考えるという行為に至っている様子が見受けられますね。

「鑑みる」の類義語は?違いは?

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次に、「鑑みる」の類義語を紹介します。

1.「顧みる」

「顧(かえり)みる」とは、過ぎ去ったことを思い起こして考える、後ろを振り返るという意味があり、過去のことを思い返している様子をいいます。

「過去を顧みる」や「幼少期の頃を顧みる」などと使用することができますが、これは、過去のことを思い返して考えていることや、幼少期の頃を思い起こして振り返っているということです。こうして使用例を挙げてみると、「顧みる」とは思い起した過去を参考にしたり、照らし合わせて考えているわけではないことが分かります。使い分けに気を付けましょう。

\次のページで「2.「踏まえる」」を解説!/

2.「踏まえる」

「踏(ふ)まえる」とは、ある物事を判断や考えのよりどころにしたり、根拠とする。または、あれこれと思案する考え合わせるという意味です。

例えば、「これまでの反省を踏まえてより良い結果が出せるよう努める」や「調査結果を踏まえて、論文を執筆する」という使い方があります。これは、これまでの反省という比較するものがあって、その反省を考えによりどころとして良い結果が出せるよう努力することや、調査結果を根拠として考えの参考にし、論文を書くということです。

「踏まえる」には考えの根拠として、比較や参考にする対象があることが分かります。先例やお手本と照らし合わせて考える「鑑みる」と似ているといえるでしょう。

「鑑みる」の対義語は?

「鑑みる」には、はっきりとした対義語がないので、類義語で挙げた「顧みる」と「踏まえる」の後ろに「ない」という言葉を繋げて、「顧みない」「踏まえない」などを使用しましょう。

「鑑みる」を使いこなそう

この記事では「鑑(かんが)みる」の意味・使い方・類義語などを説明しました。

「鑑みる」の類義語には、「顧みる」や「踏まえる」などがあり、「考える」という行為に至るという大きな意味は同じでも、それぞれの言葉をかみ砕いていくと、それぞれに違う性質があることが分かりました。「鑑みる」は先例や他のこと、お手本に「照らし合わせて考える」という意味があることを抑えましょう。

「鑑(かんが)みる」という言葉は、よく耳にする機会があっても、正しい意味をきちんと理解した上で使用している人は、実は少ないのではないでしょうか。これまで、「昨今の国内情勢を鑑みて」など「を」を用いて、「鑑みる」という言葉を使用していた人もいるかもしれません。「鑑みる」という言葉は、幅広い場面で使用できる言葉ですので、誤用しないよう、正しく使えるようにしましょう。

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国語言葉の意味

「鑑みる」の意味や使い方は?例文や類語を国文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「鑑みる」について解説する。

端的に言えば鑑みるの意味は「手本に照らして考える」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国文学専攻の大学を卒業し、日本語教師の資格を持つasukaを呼んです。一緒に「鑑みる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/asuka

国文学専攻の大学を卒業。日本文学や日本語学を学ぶうちに、言葉が持つ意味の奥深さに魅了され、在学中に日本語教師の養成講座を修了する。これまで学んだこと、経験を活かし、丁寧に解説していく。

「鑑みる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは、早速「鑑みる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鑑みる」の意味は?

「鑑みる」には、次のような意味があります。

先例に照らして考える。他とくらべあわせて考える。

出典:広辞苑 第六版(岩波書店)「鑑みる」

「鑑みる」とは、先例や他と照らして考えるという意味の言葉。ただ考える時に使うのではなく、過去の出来事や現状の出来事、またはお手本や規範となることなど、比較・参考対象があるときに、照らし合わせて考える時に使用できます。

「鑑みる」という言葉は新聞や雑誌、テレビのニュース番組などあらゆるメディアで目にしたり、耳にしたりする機会が多いのではないでしょうか。また、ビジネスシーンでもよく聞くことがありますね。使用できる場面が様々ありますので、この機会に正しい使い方を覚えましょう。

「鑑みる」の語源は?

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次に「鑑(かんが)みる」の語源を確認しておきましょう。

鑑みる」の「」という漢字は、図鑑(ずかん)、印鑑(いんかん)、鑑識(かんしき)など「カン」と読むことができますが、一文字でかがみと読むこともできます。「鑑」の語源は、光の反射を利用して、顔や姿を映し見る道具の「鏡」と同じです。姿を映して見る「鏡」と同じく「鑑」にも映しだすという意味があります

また、「鑑」という言葉には、手本や規範、模範という意味もあります。例えば「あの先生は、医者の鑑だ」や「彼は人柄も良く非常に仕事熱心で、鑑とすべき人だ」というように使用することがありますね。これらは、あの先生は、医者の手本となるような人だということや彼は人柄もよくその上仕事も熱心で、模範とすべき人だということです。
こうした言い回しをするとき、「鏡」という字は使いませんよね。例で挙げた言い方のように、参考とする対象が、よきお手本として映し出される場合に「鑑(かがみ)」という字があてられます。「鏡」と「鑑」は同じ読み方でも、使い方によって意味が全く変わってしまうので、注意が必要です。

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