この記事では「承知しました」について解説する。

端的に言えば承知しましたの意味は「分かりました」「理解しました」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回はロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生の「むかいひろき」を呼んです。一緒に「承知しました」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を活かし、「言葉」について分かりやすく解説していく。

「承知しました」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「承知しました」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「承知しました」は「承知」の形で辞書に載っています。

「承知しました」の意味は?

「承知」には、次のような意味があります。

1.事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。「無理を―でお願いする」「君の言うことなど百も―だ」「事の経緯を―しておきたい」
2.依頼・要求などを聞き入れること。承諾。「申し出の件、確かに―した」
3.相手の事情などを理解して許すこと。多く下に打消しの語を伴って用いる。「この次からは―しないぞ」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「しょう‐ち【承知】」

「承知」には3つの意味があります。その中で「承知しました」は、主に2の意味で使われることが多いです。

「承知」の語源は?

次に「承知」の語源を確認しておきましょう。「承知」の語源は諸説あり不明ですが、とても古くから使われてきた言葉のようです。平安時代には既に使われていた言葉のようですね。

\次のページで「「承知しました」の使い方・例文」を解説!/

・江談抄〔1111年頃〕「粗依先父之談説、纔置文字之様、所承知也」
・滑稽本・浮世風呂〔1809~13年〕「そりゃア百も承知(シャウチ)だけれど」
・吾輩は猫である〔1905~06年〕〈夏目漱石〉「一斤(いっきん)位ぢゃあ承知が出来ねえんだが、仕方がねえ、いいから取っときや、今に食ってやらあ」

出典:日本国語大辞典「しょう‐ち【承知】」

「承知しました」の使い方・例文

「承知しました」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.明日は新宿駅に10時に集合ですね。承知しました。
2.上司「Aくん!今からC社に営業に行くんだが、君も一緒に来てくれ。」 部下「承知しました!」
3.先生が学会にご欠席された理由を承知しました。
4.なるほど。あなたの意見は承知しました。

「承知しました」は、「分かりました」や「理解しました」の謙譲語です。例文から意味を見ていきましょう。

例文1と2は、ともに「分かりました。」の意味で使われています。
例文3と4は、「先生が学会にご欠席された理由を理解しました。」「あなたの意見は理解しました。」という意味で使われています。

”謙譲語”というのは、相手に対して自分がへりくだって、相手より低い立場から敬意を示して発言する場合に使う敬語の1つです。上司や目上の人に対して、自分の行動について言及するときに使います。
ちなみに”尊敬語”も相手や第三者に敬意を示す言葉ですが、尊敬語は相手や第三者の行動に使用する表現です。自分の行動には使用できません。

「承知しました」の類義語は?違いは?

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では、「承知しました」の類義語を見ていきましょう。

\次のページで「「了解しました」」を解説!/

「了解しました」

「了解しました」も「分かりました」という意味で使われる表現です。
「承知しました」との違いは、誰に対して使うかがポイントとなります。「承知しました」は上司など目上の人に対して使いますが、「了解しました」は目上の人に対して使うのは不適切です。

「了解」という言葉には、「何かを認める」「受け入れる」というニュアンスがあります。そして、「了解しました」は、謙譲語ではなく”丁寧語”に分類される表現です。以上が目上の人に対して使うのが不適切とされる理由になります。

”丁寧語”は、謙譲語と同じく話し相手に対して敬意を示す敬語で、「~です」「~ます」などが当てはまる表現です。ただ、謙譲語に比べて敬意が弱いため、上司などの目上の人に対して、自分の行動には謙譲語を使うのがビジネスマナーとなります。

「了承しました」

「了承しました」は「承知しました」と同じような意味を持つ表現です。

相手の提案や申し出を受け入れることを表す時、「了承しました」とを使います。(「承知しました」も使用可能です。)

たとえば…
「こちらの計画、予算は700万円でよろしいでしょうか?」
「了承しました。問題ないでしょう。」

「了承しました」は上司など目上の人に対して使うのは失礼で、マナー違反に当たります。

「かしこまりました」

「かしこまりました」も「承知しました」と同じような意味を持つ表現です。

目上の人やお客さんからの指示や命令に対して「わかりました」ということを表現するときは、「かしこまりました」も「承知しました」も両方使うことができます

たとえば…
「山田くん!明日悪いんだけど8時に会社に来て、プレゼンの準備を手伝ってくれないか?」
「かしこまりました。/ 承知しました。」

「理解しました」ということを表現するときは「承知しました」は使うことができますが、「かしこまりました」は使えません。

たとえば…
〇「なるほど。あなたの意見は承知しました。」
×「なるほど。あなたの意見はかしこまりました。」

「承知しました」の方が「かしこまりました」よりも、使用できる場面が広いですね。「かしこまりました」が使用できるのは目上の人やお客さんからの指示や命令に対して「わかりました」ということを表現するときだけです。

「承知しました」の対義語は?

「承知しました」に対義語はありません。ただ、打消しの意味で「承知できません」と表現することができます。
しかし、「承知できません」は、相手にやや粗雑な印象を与えてしまう表現です。同僚や目下の人に対して使うには問題はありませんが、上司や目上の人に対して使うとやや失礼な印象を与えてしまいます。そこで別の表現を見ていきましょう。

「承知いたしかねます」

「承知いたしかねます」は、「承知できません」の謙譲語です。指示や命令、提案に対して「納得できない」「その通りにできない」という意味を表します。

たとえば…
「社長のご提案を拝見しました。ですが、この案は承知いたしかねます。」は、「社長の提案について、その通りにできない」ということです。

\次のページで「「承知しました」を使いこなそう」を解説!/

「承知しました」を使いこなそう

この記事では「承知しました」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「承知しました」は「分かりました」や「理解しました」の謙譲語で、とてもよく使われる言葉です。そして「承知しました」の「承知」はとても古くから使われている歴史のある言葉でした。

ビジネスの場面では「了解しました」「了承しました」「かしこまりました」との区別が大切になります。どんな場面で誰に対して使うのかをよく考えて使い分けをしましょう。ただ、「承知しました」は使用可能な範囲が広いので、どれを使えばいいか分からない時は、「承知しました」を使うのが無難です。

「承知しました」を活用して、日々のお仕事を頑張りましょう!

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国語言葉の意味

「承知しました」の意味や使い方は?例文や類語を日本語教師がわかりやすく解説!

この記事では「承知しました」について解説する。

端的に言えば承知しましたの意味は「分かりました」「理解しました」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回はロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生の「むかいひろき」を呼んです。一緒に「承知しました」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/むかいひろき

ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を活かし、「言葉」について分かりやすく解説していく。

「承知しました」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「承知しました」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。「承知しました」は「承知」の形で辞書に載っています。

「承知しました」の意味は?

「承知」には、次のような意味があります。

1.事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。「無理を―でお願いする」「君の言うことなど百も―だ」「事の経緯を―しておきたい」
2.依頼・要求などを聞き入れること。承諾。「申し出の件、確かに―した」
3.相手の事情などを理解して許すこと。多く下に打消しの語を伴って用いる。「この次からは―しないぞ」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「しょう‐ち【承知】」

「承知」には3つの意味があります。その中で「承知しました」は、主に2の意味で使われることが多いです。

「承知」の語源は?

次に「承知」の語源を確認しておきましょう。「承知」の語源は諸説あり不明ですが、とても古くから使われてきた言葉のようです。平安時代には既に使われていた言葉のようですね。

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