この記事では「ベンチマーク」について解説する。

端的に言えばベンチマークの意味は「水準」や「基準」「指標」となるが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「ベンチマーク」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いて紹介する。

「ベンチマーク」の意味や語源・使い方まとめ

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「ベンチマーク」という言葉はビジネスシーンで多用されている印象が強いですが、それだけではなくさまざまな意味合いがあり、大変広く使われています。それでは早速「ベンチマーク」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ベンチマーク」の意味は?

「ベンチマーク」には、次のような意味があります。

1.物事の基準となるもの。基準点。指標。
2.測量における水準点。
3.投資商品の収益率や、特定の銘柄の騰楽率を比較・評価するための指標。多く、平均株価や指標銘柄の騰落率を用いる。
4.コンピューターのハードウェアおよびソフトウェアの動作速度を調整・評価するための基準。
5.他社の優れたところを学び、それを基準にして自らの業務や経営を改善する方法。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ベンチマーク」

このように、「ベンチマーク」にはたくさんの意味があり、使われる場面や分野、業界によって意味が異なります。以下の項目で、語源と共にそれぞれの意味を詳しくご説明していきましょう。

1.物事の基準となるもの

「ベンチマーク」は「基準」「水準」をあらわします。その語源は英語で、「何かを置く水平な台」の意味を持つ「bench(ベンチ)」と、「目印」の意味を持つ「mark(マーク)」を組み合わせた言葉です。

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「ベンチマーク」は、元々測量の分野で使われていた言葉で、「基準になる何か」「基準点を設け、計測したものと比較する」という意味です。測量や地図作成を行う際、測量士が座っていたベンチが海抜何メートルであるかを目印にしていたことから、このように言われるようになったとされています。ここから派生して、実に様々な分野で「ベンチマーク」という言葉が使われるようになりました。

2.測量における「水準点」

建築物、建造物などを作る際に、その位置や高さの基準として設置する標識のことです。

建物を建てる土地は全面が平らな土地ではないため、設計時には基準となるGL(グランドライン)を定めます。これが設計GLと呼ばれるものです。この設計GLを決めるために測量を行うのですが、まずどこからこの測量を行うのかを、そのポイントを決めます。このポイントが「ベンチマーク」です。「ベンチマークポイント」とも呼び、BMと略されます。このBMは水準点となるため、側溝やマンホールなど、簡単に移動することができない誰が見ても分かる場所に設定するのがポイントです。その地点から、敷地内の四隅や中間地点などの高さを計測していきます。

この測量で出た設計GLを元に、どれぐらいの高さを建物を建てるのか、各フロアの高さはどれぐらいか…などをを決めていく、大変重要な作業です。

3.投資における「運用基準」

金融分野で言うところの「ベンチマーク」は、主に投資信託(ファンド)などの資産運用において、運用の目標や運用成果・運用成績を評価する際に用いる指標のことです。市場平均とも呼びます。

多くの場合、ファンドが投資対象とする商品や市場の各種指数が用いられますが、その代表的なものとしては「東証株価指数(TOPIX)」、「日経平均株価(225社平均)」「JPX日経インデックス400」「ニューヨークダウ」などが挙げられるでしょう。

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関連語で「インデックスファンド」という言葉があります。上記ベンチマークとして挙げた「東証株価指数(TOPIX)」など代表的な指数をベンチマークとし、その指標に連動するように作られているファンドのことです。

4.ITにおける「性能測定基準」

IT分野における「ベンチマーク」は、ハードウェアやシステム開発を行う際の性能測定の基準を指します。開発したハードウェアやシステムの能力を検証する際は、まずテスト用プログラムを実際に実行。その上で、CPUの処理速度やグラフィックの描画速度、メモリのアクセス速度の性能などを全体的に計測します。出た結果の数値を分析して、更なるスペックの向上を図っていくというものです。この際に用いられる指標が「ベンチマーク」であり、ちなみにこのベンチマークテストの結果を「ベンチマークスコア」と言います。

5.経営とマーケティングにおける「比較指標」

経営やマーケティングにおける分野では、自社の経営を他社と比較して改善する際に「ベンチマーク」という言葉を用います。企業がより優れた経営手法を取り入れたい場合、競合他社にベンチマークを設定するのは非常に有効な手段です。

ある企業を比較のベンチマーク対象として選び、その企業が行なっている経営とマーケティング手法を分析し、自社の経営とはどう違うのかを比較。そして、その上で自社の問題点を洗い出して総合的に経営戦略を立てていくというものです。

この、ベンチマークを用いて自社の経営の改善を図る手法を「ベンチマーキング」と言います。

\次のページで「「ベンチマーク」の使い方・例文」を解説!/

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「ベンチマーキング」は、1970年代初めアメリカ企業のサウスウエスト航空(SWA)が最初に用いた手法と言われています。飛行機が空港に駐機している時間を短縮するため、世界三大自動車レースの一つと言われる「インディ500」のに参加しているチームの、ピットクルーの効率的な動きを参考にしたことが始まりとされているようです。

「ベンチマーク」の使い方・例文

それでは実際の使い方を例文を使って見ていきましょう。

1.水準測量においては出発点となる基準点はベンチマークと呼ばれ、「BM」と略されて使われることが多い
2.投資信託の購入する際、ベンチマークに対するファンドのパフォーマンスは投資家にとって一つの判断材料だ
3.ベンチマークテストでは、 新しいモデルのパソコンに内蔵したCPUは旧型の 2 倍の速度であることを実証した
4.より優れた車を作り出ために、世界トップレベルの自動車メーカーをベンチマークに掲げて開発を競う

「ベンチマーク」の類義語は?違いは?

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「ベンチマーク」は広義の意味を持つ言葉のため、類義語も多岐にわたります。いくつかピックアップしてご紹介しましょう。

「標準/スタンダード」

「一般的である様子」という意味の言葉です。「ベンチマーク」と同じく基準を意味する言葉ではありますが、「ベンチマーク」が一つの水準点をあらわす言葉であれば、「標準/スタンダード」は平均的であるというニュアンスを含みます。

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「指標/メルクマール」

「ベンチマーク」と同義の言葉で物事を判断する際の基準や目印を指しますが、その中でも「最終目標まで到達するまでの道のり」「その中間地点」を指します。元々はドイツ語で、「気づく」という意味の「merken」が語源です。

「バロメーター」

これはおなじみの言葉かと思いますが、元々は気圧計のことを指します。そこから派生し、状態・程度を推し量る基準を「バロメーター」と言うようになりました。「血圧や体温や健康状態を知るバロメーターだ」などという使い方をしますね。

「目安」

おおよその基準を指します。「ベンチマーク」が明確な水準点をあらわすのであれば、「目安」は「だいたいこれぐらい」という、多少ゆるい指標といったニュアンスがありますね。

「ベンチマーク」を使いこなそう

この記事では「ベンチマーク」の意味・使い方・類語などをご説明しました。「基準」という基本的な意味は共通ではあるものの、使われる分野、文脈によってあらわす内容が異なります。それぞれの意味を把握したうえで、適切な場面で活用してみてください。

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国語言葉の意味

「ベンチマーク」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「ベンチマーク」について解説する。

端的に言えばベンチマークの意味は「水準」や「基準」「指標」となるが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「ベンチマーク」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いて紹介する。

「ベンチマーク」の意味や語源・使い方まとめ

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「ベンチマーク」という言葉はビジネスシーンで多用されている印象が強いですが、それだけではなくさまざまな意味合いがあり、大変広く使われています。それでは早速「ベンチマーク」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ベンチマーク」の意味は?

「ベンチマーク」には、次のような意味があります。

1.物事の基準となるもの。基準点。指標。
2.測量における水準点。
3.投資商品の収益率や、特定の銘柄の騰楽率を比較・評価するための指標。多く、平均株価や指標銘柄の騰落率を用いる。
4.コンピューターのハードウェアおよびソフトウェアの動作速度を調整・評価するための基準。
5.他社の優れたところを学び、それを基準にして自らの業務や経営を改善する方法。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ベンチマーク」

このように、「ベンチマーク」にはたくさんの意味があり、使われる場面や分野、業界によって意味が異なります。以下の項目で、語源と共にそれぞれの意味を詳しくご説明していきましょう。

1.物事の基準となるもの

「ベンチマーク」は「基準」「水準」をあらわします。その語源は英語で、「何かを置く水平な台」の意味を持つ「bench(ベンチ)」と、「目印」の意味を持つ「mark(マーク)」を組み合わせた言葉です。

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