

今回は雌雄モザイクがなぜ起こるのかを、生物に詳しいライターオリビンと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/オリビン
医学部の研究室で実験助手をしている。主な仕事は患者さんの遺伝子を解析すること。他には動物実験や細胞培養も行っている。
性別が決定される仕組み

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今回のテーマに入る前に、生き物の性別がどのようにして決まるのかを解説します。
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遺伝子によって性が決定される場合
生き物の体細胞には核と呼ばれる器官があり、その中には染色体といって体の設計図の情報であるDNAが保管されている器官が収まっているんです。染色体には常染色体と性染色体の2つから構成されています。常染色体には生き物が生命活動を行うために必要な情報がおさめられているんですよ。そして、性染色体にはオスメス(男女)の性を決めるための情報がおさめられています。性染色体にはX染色体とY染色体があり、どのような組合せ化によって性が決まるのです。このように遺伝によって性が決定されることを遺伝性決定といいます。
環境によって性が決定される場合

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生き物によっては遺伝ではなく、その時にどのような環境に置かれていたかによって性が決定される生き物もいます。たとえば、ワニや亀は卵が低温で孵化するとメス、高温で孵化するとオスになるそうです。環境によって性が決定されることを環境性決定といいます。

性別が環境で決まるなんて初耳だろう。ここでは温度による性決定について解説したが、それ以外の環境要因でも性が決まるんだよ。例えばカクレクマノミは孵化後群れで一番大きな個体が雄になり、その他は全て雌になるんだ。他にも環境性決定の生き物はたくさんいるぞ。
雌雄モザイクとは

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多くの生物は先ほど解説した通り、遺伝的若しくは環境的要因でオスかメスのどちらかの性を持ちます。よって、1つの個体に1つの性ということが常識です。しかし、まれに1つの個体のなかにオスの部分とメスの部分がはっきりとした境界線で区別できる形で混在する生き物が存在します。このような現象を雌雄モザイクと呼ぶのです。
雌雄モザイクがみられる生き物

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雌雄モザイクは昆虫やザリガニなどの甲殻類や節足動物にみられることが多いです。ごく稀に鳥類でも見られる場合があります。雌雄モザイクが発生する確率は10000分の1ともいわれ、めったに見ることはできません。
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