「何卒」
「何卒」は「なにとぞ」と読みます。自分の願いや要望を強調して伝える時に使う言葉です。相手に対して「どうぞ○○してください」と言う気持ちを表現することができます。親しい仲や日常会話で使うことはあまりありませんが、目上の人に対して使ったり、ビジネスシーンなどで丁寧に伝えたい際に適した言い方です。「是非」を、「ぜひ~したい」などと相手に強く依頼する意味合いで使った場合、「何卒」が類義語としてふさわしいでしょう。
「是非」の対義語は?
「是非」の対義語には「なるべく」が挙げられます。
「なるべく」
「なるべく」は漢字で「成る可く」と書くこともできます。普通はひらがな表記で記しますね。動詞の「成る」と「べし」の活用形の「べく」で成り立っている言葉で、意味は、できるだけ、と言うことです。「是非」は強く希望を表現する言葉ですから、希望を消極的に伝える「なるべく」は対義語としてふさわしいでしょう。また、「なるべく」は目上の人に使う場合は失礼にあたる場合がありますので、丁寧に伝えたいときには「できるだけ」を使った方がよいでしょう。
「是非に及ばず」の意味は?
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「是非」について、関連語など説明してきましたが、「是非」を使った表現で「是非に及ばず」という言い方がありますので、併せて覚えておきましょう。
「是非」に「及ばず」の「是非」は、「良し悪しを評価すること」で、「及ばず」は「到達しない」と言う意味です。そして、良し悪しを判断する必要もないと言うことから、「どうしようもない」、「仕方がない」と言う意味になりました。また、同じ意味で違う言い回しをする言葉に「是非もない」があります。併せて覚えておきましょう。
実はこの「是非に及ばず」と言う言葉ですが、本能寺の変で最期を迎えた織田信長が口にしたと言われています。明智光秀に追い詰められ、諦めの気持ちで仕方ないと言う意味で「是非に及ばず」と言ったと言う説や、本当に明智光秀の謀反なのかどうなのか考えている暇はない、と言う意味で「是非に及ばず」と言ったという説もあります。歴史好きな人には覚えやすい言葉ですね。
「是非」を使いこなそう
この記事では「是非」の意味・使い方・類語などを説明しました。「ぜひ~してほしい」と言う使い方は、日常会話でも良く使いますから、知らない人はいないでしょう。ですが、もう一つの意味である、良し悪し、または良し悪しを判断する、と言う「是非」の方は使う頻度は少ないかも知れません。名詞として使われている場合は、良し悪し、の意味ですから、間違えて解釈しないよう気をつけて下さいね。良く使われるのは「是非を問う」や「是非を論じる」、などの言い方です。覚えておきましょう。