この記事では「お高くとまる」について解説する。

端的に言えば「お高くとまる」の意味は「気位が高いこと、その様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「お高くとまる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「お高くとまる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「お高く(おたかく)とまる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お高くとまる」の意味は?

「お高くとまる」には、次のような意味があります。

気位が高く、とりすましている。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「お高くとまる」

この言葉は「気位が高い、尊大である」という意味の慣用表現です。ここから派生した意味として「人を見下している」や「もったいぶる」という意味を掲載している辞書もありました。一緒に押さえておきましょう。

「気位(きぐらい)」とは、「他に対して自分の品位を保とうとする心の構え方」のこと。簡単に言えば「自分のプライドを守ろうとする気持ち」でしょうか。場合によっては、その気持ちのために相手を悪く扱おうとすることもあるかもしれません。「相手を見下す」といった良くないイメージを伴うことも、ここから納得できますね。

「お高く」が尊敬表現ということもあってか、「私はお高くとまる」のように自分に対しては使わないこともポイント。他者に対して使うことになりますが、「あの人はお高くとまっている」と言った場合、まず褒め言葉にはならないことも必ず留意しましょう。使い方に注意したい表現です。

「お高くとまる」の語源は?

次に「お高くとまる」の語源を確認しておきましょう。「物事の程度が、他よりも優れている」と言う意味を持つ「高い」。それに、丁寧語の「お」をわざわざ付けることで、相手に対する嫌味・冷やかしを含む表現になっているのがこの表現です。

言い換えれば「優れていらっしゃる(おつもりなのですね)」「余裕がおありなのですね」といったニュアンスになるでしょうか。言われた方としてはあまり良い気持はしないことがわかるでしょう。ただ、本当に高貴な人であればそんなことを言われないでしょうから、その澄ました感じどこか嘘っぽい、と推測もできます。

一方で、わざわざそんな言い方をする人の性格も、あまり良いとは言えないかもしれませんね。どんな人が、どんな人に対してこの言葉を使うだろうかと自分なりに想像してみると、理解が深まるでしょう。

\次のページで「「お高くとまる」の使い方・例文」を解説!/

「お高くとまる」の使い方・例文

「お高くとまる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・「彼女はきれいだからとお高くとまっている」と女性ならではの同性間の皮肉や嫌味はよくあるだろうけど、男性間だって見えにくいだけでそういうことは意外とある。

・会員登録していたランキングサービスで、評価の操作を断ったらお高くとまっていると内部でウワサになったらしく、月間人気で最下位に表示されるようにされてしまった。ひどい話だ。

・一流企業に就職したら、忙しくて遊びの誘いの返事もできずにいたら「あいつはお高くとまっている」と友人から反感を買ったらしく、飲み会の連絡まで来なくなってしまい大きく失望した。

プライドが高い、そのような様子」といったニュアンスが伝わりますでしょうか。イメージとしては、つんと上を向いて周りを顧みずにスタスタと歩いているような姿を連想させるでしょうか。

ただ語源の項でも解説したように、この言葉自体がやや嫌味な言い方です。「お高くとまっている」のが事実かどうかはこれだけでは判断できず、その人に対する話し手の感情表現が主体の場合であることも押さえましょう。

どういうことかと言うと、「美しさを鼻にかけている」「成功したことを自慢している」人に対して使った場合、そう言っている人の「うらやましい」「逆恨みしている」感情が表れているだけかもしれません。

わざわざ「お高く~」などと言うくらいですから、その言葉の裏には複雑な感情が含まれていることも考えられます。このように色々なことが推測できるため、見かけた際には注意して読み取りたい表現です。

「お高くとまる」の類義語は?違いは?

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「お高くとまる」の類義語は「取り澄ます」「上品ぶる」などがいいでしょう。

「取り澄ます」「上品ぶる」

「取り澄ます」は「わざとすました風をする、気取る」と言う意味の慣用句。「取り」は「取り仕切る」「取りつくろう」などと同じ接頭語で「ちょっと~する」と動作を強める働きがあり、これが「わざと~」という意味合いを加えています。

「上品ぶる」も、「上品」なのではなく「ぶる=な風を装う、ふりをする」という表現。本当は上品ではないということがわかります。

どちらの表現も、「お高くとまる」と同様に他者に対して使った場合は皮肉・嫌味な感じになりますので、やはり注意が必要です。

\次のページで「「お高くとまる」の対義語は?」を解説!/

・朝礼の時は、社長の前だからと言ってみんな取り澄ましているのだが、終わったとたんに態度が切り替わってしまうのがうちの会社だ。

・初めて営業の仕事に就いた時、上品ぶらずに正直になった方が結局はうまくいくんだよと先輩が教えてくれた。

「お高くとまる」の対義語は?

「お高くとまる」の対義語は「慎み深い」などがいいでしょう。

「慎み深い」

「慎み深い」は「差し出がましいところがなく、控え目であること」。「お高くとまる」とは反対に、上品でないのに上品なふりをすることもなく、出しゃばらないと言う意味の慣用表現です。

主張しないというのは、時と場合によっては良し悪し両方の評価があるでしょうが、これは前向きなニュアンスで使われます。誉め言葉として使っても構いません。

・お隣の奥様は、出歩くときには必ず日傘に手袋を欠かさず、誰にでも丁寧にあいさつをするなど、とても慎み深い人だ。

「お高くとまる」の英訳は?

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「お高くとまる」の英訳は「put on airs」で表すことができます。

「put on airs」

これは「高いところに(自分を)置いている」ということで、「気取っている、偉そうにしている」と言う意味になる慣用表現です。直訳では意味が通じなくなってしまうため覚えてしまいましょう。

英単語であれば「proud(いばる、うぬぼれた)」「haughty(傲慢な、横柄な)」なども存在します。「誇り高い」という意味でよく使われる「pride(proud)」も、文脈によっては悪い意味になることも。前後の内容から注意して判断できるようになりましょう。

\次のページで「「お高くとまる」を使いこなそう」を解説!/

・I don\'t like her, because she put on airs.
彼女はお高くとまっているから好きじゃない。

「お高くとまる」を使いこなそう

この記事では「お高くとまる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「取り澄ましている」とそのまま言えばいいのに「お高く」とわざわざ丁寧語で言うわけですから、やはりそこには色々な含みを感じてしまう言葉でした。言葉の使い方ひとつから、色々なことを推測できるようになるのも面白いものですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「お高くとまる」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「お高くとまる」について解説する。

端的に言えば「お高くとまる」の意味は「気位が高いこと、その様子」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「お高くとまる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「お高くとまる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「お高く(おたかく)とまる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お高くとまる」の意味は?

「お高くとまる」には、次のような意味があります。

気位が高く、とりすましている。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「お高くとまる」

この言葉は「気位が高い、尊大である」という意味の慣用表現です。ここから派生した意味として「人を見下している」や「もったいぶる」という意味を掲載している辞書もありました。一緒に押さえておきましょう。

「気位(きぐらい)」とは、「他に対して自分の品位を保とうとする心の構え方」のこと。簡単に言えば「自分のプライドを守ろうとする気持ち」でしょうか。場合によっては、その気持ちのために相手を悪く扱おうとすることもあるかもしれません。「相手を見下す」といった良くないイメージを伴うことも、ここから納得できますね。

「お高く」が尊敬表現ということもあってか、「私はお高くとまる」のように自分に対しては使わないこともポイント。他者に対して使うことになりますが、「あの人はお高くとまっている」と言った場合、まず褒め言葉にはならないことも必ず留意しましょう。使い方に注意したい表現です。

「お高くとまる」の語源は?

次に「お高くとまる」の語源を確認しておきましょう。「物事の程度が、他よりも優れている」と言う意味を持つ「高い」。それに、丁寧語の「お」をわざわざ付けることで、相手に対する嫌味・冷やかしを含む表現になっているのがこの表現です。

言い換えれば「優れていらっしゃる(おつもりなのですね)」「余裕がおありなのですね」といったニュアンスになるでしょうか。言われた方としてはあまり良い気持はしないことがわかるでしょう。ただ、本当に高貴な人であればそんなことを言われないでしょうから、その澄ました感じどこか嘘っぽい、と推測もできます。

一方で、わざわざそんな言い方をする人の性格も、あまり良いとは言えないかもしれませんね。どんな人が、どんな人に対してこの言葉を使うだろうかと自分なりに想像してみると、理解が深まるでしょう。

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