タイムパラドックスって何?タイムトラベルした時に何が起こるの?理科教員を持つライターがわかりやすく解説
時間遅れの原理で過去へのタイムスリップを考えると
上記の時間遅れの式から、時間が逆行するような条件を考えてみましょう。移動系の経過時間を負の値にするのは不可能、つまり時間の逆行は出来ないことが分かります。時間遅れの原理による過去へのタイムスリップアは説明が成り立たないようです。
ただし、2乗して-1になる数を虚数単位iのように0.5乗して負の数になる数を定義し説明できれば話は別ですが。
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タイムパラドックスを解決する考え方
さてタイムパラドックスに話を戻しましょう。上記のように、そもそも過去へのタイムスリップが不可能という考え方も1つですが、それ以外には以下のような考え方もあります。
事後選択説
仮に過去に戻ることが出来たとしても、矛盾が起きないような選択肢しかできないという考え方です。そもそも、過去へのタイムトラベルをするためには時間的閉曲線という概念を成立させる必要があります。パラドックスを起こしてしまうと、そもそも時間的閉曲線が成立しなくなるため、過去に戻って歴史を変えようとしても矛盾が起きないようすべて出来事が修正されるという考え方が事後選択説です。
例えば、感染症のパンデミックが起きる前にタイムスリップして対策をしようと試みても何らかの干渉が入り、結局失敗するというようなもの。パンデミックが起きるという情報をそのトラベラーが知っているという事象に矛盾を生じさせないように出来事が起きるわけですね。
パラレルワールド
日本語でいう多世界説で、今我々が見ている世界の他に同時刻に無数の世界が存在するという考え方です。それもそんな気がしますね。ビリヤードの玉を全く同じ配置にして打ってみるということを複数回繰り返しましょう。これはビリヤードを打つ前の過去に行って打ち直す(歴史を変える)ことに相当します。ビリヤードを打ち直すと、その当り方は打つたびに変わることでしょう。
1回目に打った時の挙動は偶然発生したのもので、確率論で考えると他の当り方も無数に存在することでしょう。他の当り方は見ることは出来ませんが、確かに存在しているものと考えることができ、それがパラレルワールドです。
こういったモデルで考えると、A君が5年前に行って昔から大事にしている傘を壊してしまっても、持って行った傘には変化がありません。タイムスリップした世界はその時点で傘が壊れてしまった場合の世界となり、それから5年が経過してもA君が知っている現在とは異なる現実となるわけです。
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