タイムパラドックスって何?タイムトラベルした時に何が起こるの?理科教員を持つライターがわかりやすく解説
未来へのタイムスリップは可能?
未来へのタイムスリップは超高速移動することで実現可能という考え方もあります。時間遅れと言って、光速度(秒速3億メータ)に近い速度で移動すると、「時間遅れ」が発生、外界(静止系)で1秒経っていても移動する系では0.9秒あるいは0.8秒、0.1秒しか経っていないといったことが起こるのです。
理論上、光速度に到達すれば時間は完全に止まります。外界でどれだけ時間が経過しようとも移動系では、時間が全く経過しないわけです。この原理を使えば、例えば外界で5年経過するまで光速度で移動し続けていれば外界では5年経過しているのに移動系では全く時間が経過していない。ということであたかも5年後にタイムスリップしたかのようになるわけです。
ただし、これは未来一方向のみであり、一旦に未来に行ったあと帰ってくることはできません。歳をとらずにただただ時間の経過を待っているようなイメージですね。
時間遅れについては高校物理で扱う「相対速度」の概念から導くことができます。以下、その解説に移りましょう。
相対速度
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同じ動きを観測していても、観測する基準によって速度が変わってきます。相対速度は、任意の観測基準(静止系とは限らない)から見た速度であり、絶対速度は静止系から観測しますが、相対速度の観測する基準は任意です(動いている系から観測してもよい)。
例えば、Aさんが時速21kmで壁と平行に走りながら時速72kmで壁に向かってボールをの相対速度を考えましょう。動いているAさんからみるとボールの速度は時速72kmですね。
一方、止まっている人から見たらボールは壁に真っ直ぐ向わずAさんと共に横方向に時速21kmの成分も加わり、その速度は三平方の定理から時速75kmとなります。このように、同じ動きを捉えていても系(観測する基準)によって速度は異なるものです。
光速度不変の原理
時間遅れを考える上でのルールは「光速度はどんな系から観測しても変わらない」ということ。普通は、上記のように観測する基準が変わると、物体(例えばボール)の相対速度が変わりますが、光を観測する場合はどの観測基準からであってもその速度は一定というルールです。
上記の例で、Aさんから見た時より静止している人から見た時の方がボールの移動距離は長くなっていますがその分速度も速くなっていて、壁に到達するまでの時間はAさんから見ても静止している人からも見ても同じと考えますね。
しかし、光を観測する場合は速度は同じというルールがあります。上記の例なら、Aさんから見ても、静止している人からみてもボールは時速72kmでなければなりません。しかし、静止している人から見たら移動距離が長くなっている。どこで埋め合わせをするのか。経過時間で埋め合わせとします。静止している人から観測した方が、ボールが壁にぶつかるまでに長く時間を要するように見えるという考え方をするのです。
異なる系から見た移動距離と時間遅れ
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前項で壁までの距離が24mだったとしましょう。ボールが壁にぶつかるまでの移動距離は何mでしょうか?
Aさんから観測するとボールは真っ直ぐ壁に向かって行ったように観測されるためボールの移動距離は24m。一方静止系から観測するとボールは斜めに投げられたように観測されるため作図よりその移動距離は25mと求まりますね。
光の場合、移動距離が長く観測される静止系でも、短く観測される移動系でも光速度は変わらない(というルールがる)ため、どの系から観測しても速度は同じになるため、静止系では光が移動する時間が長く、移動系では短くなります。移動系ではあまり時間が経過しない=時間遅れが発生するわけです。詳しい導出は以下に示します。
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