世界史中国史

道家の思想家「老子」の思想や考え方を元大学教員が5分で解説

困難な時代の悪あがきをNGとする

老子の考えは、無理に生き延びようとあがくよりも、ただ生きたほうがいいというもの。地球は生き延びようとせずに、ただそこに存在しているだけ。それと同じように人間も生きればいいと言いました。

これは同時代の権力者の争いを真っ向から否定するもの。生き延びるための思想を提唱するライバルを批判することでもあります。勢力争いそのものが無意味であると言うに等しい思想的に危うい要素を含んでいました。

相手に評価されることを気にしない

人間は生き延びるために相手に評価されようとします。そうすることで上下関係が維持され、組織が安定することは事実。しかしながら、それにより心がかき乱される必要はないと老子は考えます。

老子が大切にするのは、タオの流れに従って自然な状態でただ生きること。相手の評価を気にすると心が混乱。タオの道から外れた、不自然な状態になってしまうと考えました。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

老子がどうして詳細が不明なのか、その理由が見えてきた気がする。急進的な思想を唱えていたため、名前を知られることを避けていた。そこで老子というあいまいな敬称で後世に伝わったのだろう。

老子は人為的なものより自然を重視

image by PIXTA / 69408352

老子がタオの重要性を説くなかで何度も繰り返すのが自然であること。人間は、経験や技術を持つことで、多くのものをつくったり、変化させたりできるようになります。そのような人為的なものは不自然だと老子は考えました。

曲がったものは曲がったままでOK

老子は、曲がったものをまっすぐにしようとする、まっすぐに見せようとすること不自然なことであると表現。具体的には、自分を実際よりもよく見せる、大げさに自慢する、無知なのに知ったかぶりをすることなどです。そのような言動は、ありのままの状態からかけ離れていると考えました。

曲がったものはそのままでOKというのが老子の考え方。無理にまっすぐにしようとしなくていいと説きました。曲がったものを無理にまっすぐにしても評価されません。何事も自慢せず、誰ともくらべず、自分自身と勝負することで、成功できると老子は考えました。

従うべきものはそれぞれのタオ

老子は「どうしたら大物になれるか」とある人から質問されたとき、空気を読まないことが大切だと答えたという逸話があります。老子が考える「空気を読まない」とは自分勝手とは異なるもの。他人を思いやりながらも自分が正しいと信じる道を進むことが「空気を読まない」ことだとしました。

戦乱の世の中、何に従って生きればいいのか分からない人が多数。そのような人々に向けて老子が提案したのが、自分のなかにあるタオに従って生きること。人間が従うべきものは、ひとつの価値観や考え方ではなく、それぞれのなかにあるタオであるとしました。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

自分のなかにあるタオも不確かなもの。絶えず変化しており、手にとることができないものだ。つまり、その道が本当に正しいのかどうか、自分の心に問いかけながら進むことが大切。何も考えずに流れに身をまかせることがいいと言っているわけではないんだな。

戦乱の時代の心に響いた老子のタオイズム

老子という思想家は古代中国に存在したとされる半ば伝説上の人物。しかし、春秋戦国時代という政局が不安定なときに、老子のタオイズムが話題となった理由を考えて見ると、当時の人々の心のリアルが見えてきます。戦乱の世だったからこそ、ありのままに生きる、自分の心を大切にするという考え方が響いたのでしょう。

1 2 3 4
Share:
hikosuke