世界史中国史

道家の思想家「老子」の思想や考え方を元大学教員が5分で解説

老子が唱えたタオとは?

image by PIXTA / 12470027

タオとは、この世が生まれたときからある世界の根元。私たちが生きている宇宙や地球、人間を含むすべての生物の根本に流れているものです。老子によると人間の理想的な人生とはタオに従って生きること。そうすることで、人間はより自然なかたちで生きることができる考えました。

タオとは形が定まらない流れのこと

タオを漢字にすると道。そのため、「こうあるべき」「こうするべき」など、人間が歩むべき正しい道を示していると思う人もいるでしょう。このように考えてこのように行動すれば正しい道が歩めると教えてくれるのが老子なのでしょうか。

老子が考えるタオとは、そのような道とはまったく逆。タオは、流動的なもので、手に取ることができないものを指しています。手に取ろうとすると形を変える流動性が特徴。言葉で説明できない本質的なもの、「空」や「超越」に近い考えと言われることもあります。

規律に縛られずに生きることを推奨

春秋戦国時代は、政権が定まらない不安定な世の中。戦乱が続くなかで人々は裏切りや反乱を過度に恐れていました。そこで道徳や規律を重んじ、それを浸透させるための方法を求めます。方法の教えを乞うことで、組織や領地を安定させようとしていました。

そこで多くの思想家が規律を重んじる思想を提唱。どうすればそのような組織をつくれるのかを勢力者たちに提案しました。そのような流れを否定したのが老子。規律に縛られず、タオの流れに身をまかせることを提唱しました。当時の思想のなかでは異端な考え方と言えるでしょう。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

老子の教えに貫かれているのは人間は本来の姿に立ち返るべきというもの。人間は多くのことを考え多くのものを得ようとするからこの世は混乱すると言っているようにも感じる。今の自分にも当てはまりそうな言葉だと思うな。

老子のタオの教えは感性を重視

ThaySangLawCin.jpg
由widodo – D:\Photo’s\thaysanglawcin.jpg,CC BY-SA 3.0链接

古代中国の思想のベースにあるのが道徳。道徳とは、人間があるべき姿や正しい価値観、守るべき規律を重んじる学問でした。老子は道徳を習得した知識人ではありましたが、そのうえで重視したのが人間がそれぞれ内に持っている感性です。

言葉ほど不確かなものはない

私たちにとって言葉とは当たり前のように存在する表現の手段。それにより他人とコミュニケーションがとれないと、確実なものがなくなった気になり、不安に襲われることでしょう。しかし老子は言葉以上に不確かなものはないと考えました。

老子によると、人間は言葉によりたくさんのことを思いこみ、身動きが取れなくなっています。実際は、言葉から思い浮かべるものは人それぞれ。そのような不確かなものに縛られて生きる必要はないと老子は考えました。

自分自身のうちにある声を大切に

老子が言葉以上に重視するべきとしたのが自分自身のうちにある声です。混乱する時代のなかで、人間は余計な考えにとらわれ過ぎるように。その結果、自分の声に耳を傾けることができないでいると警告しました。

傾けるべきは、世間や組織の声ではなく自分の声。心の声が聞き取れないと、自分がすすむべき道が分からなくなると考えました。心の声を聞き取るためには、タオの流れと一体化することが大事ともしています。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

老子の考え方は不確かなものに不安を感じる今の時代にもマッチするものだ。実は世界で最も読まれている思想家のひとりが老子。とくに時代の転換期に読まれることが増えるそうだ。共感できることが多いと感じた人も多いのではないか。

生き延びようとすることを否定した老子

Linzi model 2010 06 06.jpg
Rolfmueller自己的作品CC BY-SA 3.0链接

春秋戦国時代は勢力の分裂と統合が繰り返された時代。生き延びることが容易ではない時代でした。生き延びるために思想にすがる権力者が多いなか、老子はそれを否定します。

次のページを読む
1 2 3 4
Share:
hikosuke