古代中国の春秋戦国時代に老子が提唱したタオイズムがどのような意味を持ったのか、世界史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していきます。
- 老子とはどのような人物?
- 河南省で生まれたとされる老子
- 実在が不詳のまま神格化される
- 老子の同時代の哲学者たち
- 老子は諸子百家のひとり
- 戦乱を生き残るための思想が必要とされる
- 老子を創始者とする道家とは?
- 老子と荘子の思想を合わせて道家と呼ぶ
- 儒教が王道となるなか危険視される
- 老子が唱えたタオとは?
- タオとは形が定まらない流れのこと
- 規律に縛られずに生きることを推奨
- 老子のタオの教えは感性を重視
- 言葉ほど不確かなものはない
- 自分自身のうちにある声を大切に
- 生き延びようとすることを否定した老子
- 困難な時代の悪あがきをNGとする
- 相手に評価されることを気にしない
- 老子は人為的なものより自然を重視
- 曲がったものは曲がったままでOK
- 従うべきものはそれぞれのタオ
- 戦乱の時代の心に響いた老子のタオイズム
この記事の目次
ライター/ひこすけ
アメリカ文化を専門とする元大学教員。老子が唱えたタオの道とは、自然さらには宇宙の流れに身をまかせる壮大なもの。自分自身のあり方や幸せをさまざまに考え直すきっかけになった。そこで老子の思想で実践できそうな点を考えてみた。
老子とはどのような人物?
Unknown (photo: Felix Andrews (Floybix)). – Gray Goat Temple (Qingyanggong), Chengdu, Sichuan, China. (photo: own work), パブリック・ドメイン, リンクによる
中国の思想史を学ぶときに必ず登場するのが老子。道家が確立したあと、創始者として神格化されたものの、本当に実在するのか不明な点も多く、謎が多い人物でもあります。
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河南省で生まれたとされる老子
老子という名前は尊称であり、本名は李耳(リ・ジ)。中国の河南省で生まれたと言われています。若いころの職業は古代王朝のひとつである周の書庫の書記官。そのような記述があるものの、本当かどうかは定かではありません。
儒学の創始者である孔子が老子に教えを請いに出向いたという記述から、孔子より年上という可能性大。晩年に老子が周を去るとき、教えを受けた関所の役人がまとめたものが『老子道徳経』として後世に伝わりました。
実在が不詳のまま神格化される
現在も議論されているのが本当に老子が実在するのかという点。本来は、孔子のように、名前と「子」をセットにする呼び名が一般的です。老子の本名は李耳。そのため李子と呼ばれるはずですが、そうではありません。
老というのは「昔の人」という意味で抽象的。生まれた場所も河南省ではなく江蘇省という説もあります。老子は星占家である、秘術家であるという説もあり、なかには200歳まで生きたというものまでありました。
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