1.「敵の軍隊、何するものぞ!我ら中隊は精鋭部隊。奴らなんぞは直ぐに逃げ帰るわっ!」この大尉の言葉に軍曹たちはみんな笑った。
2.「いつか大きな映画館で上映されるような作品を制作して…世界中から注目される監督になってやる」彼にあったのは根拠のない自信だけだったが、若い彼にはそれで十分だった。「ハリウッドなんか何するものぞ!」…この時、彼はこんな気概だったのだろう。
3.「私たちは今迄も幾多のウイルスを抑え込んできました。みなさん一人一人が気を付けて行動して下さったなら…今度もきっとできます。新型コロナウイルス、何するものぞ!」専門委員会のメンバーの一人がこう訴えたのをスマホのニュースで観た私は「そのとおりだ」と思った。
「何するものぞ」は「なにができようか。たいしたことはない」という意味ですが、例文1の「敵の軍隊、何するものぞ」は「敵の軍隊なんぞ、たいしたことはない」と言う…まさにその通りの使い方です。自分の方が優れていると思う時にこのような使い方をしますが、自分と相手の間に歴然とした差がある時…例えばおとなが小さな小学生を相手にしているような場合にはこの「何するものぞ」という言葉は使いません。
それに対して例文2,3は意味合いが変わってきます。例文2は若い無名の映画監督がハリウッドに対して「何するものぞ」と言い…例文3では専門委員会のメンバーが国民に対して「新型コロナウイルス、何するものぞ」と訴えていますよね。
例文1では大尉や軍曹たちは敵の軍隊に対して「自分たちの方が優位である」と思っているのに対し、例文2,3では「自分たちの方が優位だ」とは思っていません。「優位だ」とは思っていませんが「勝つことはできない」とは思っていないのです。「今は難しいけど、きっとできる。私(たち)はきっと勝つことができる」と自らを鼓舞する意味合いを持っているのが例文2,3の「何するものぞ」です。
「軽視」
「軽視」とは軽く見るという意味で…「何するものぞ」と同じように「たいしたことはない」という意味をもちます。例えば「彼はその問題を軽視した」というように自分に対して「影響力がない」「重要ではない」と考えられる場合に用いられる言葉ですね。
「何するものぞ」の対義語は?
次に「何するものぞ」の対義語をみていきましょう。
\次のページで「「一目置く」(いちもくおく)」を解説!/