この記事では「コンセンサス」について解説する。

端的に言えばコンセンサスの意味は「合意」や「同意」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「コンセンサス」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語やカタカナ語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いて紹介。

「コンセンサス」の意味や語源・使い方まとめ

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特にビジネスシーンではよく見聞きする「コンセンサス」という言葉。いったいどういう意味で、どんな時に使われる言葉なのでしょう?早速「コンセンサス」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「コンセンサス」の意味は?

「コンセンサス」には、次のような意味があります。

意見の一致。合意。「社内のコンセンサスを得る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「コンセンサス」

「コンセンサス」には「合意」「同意」「総意」などといった意味があります。ビジネスシーンだけではなく政治の場でもよく使われる言葉です。

厳密にいうと「複数人による合意」。単に対個人と自身の意見を一致させるだけではなく、その場にいる人や関わる人々全員の合意を得るという、対象が広い範囲の場合に使うのが本来の使い方です。しかし、往々にして自分対相手、個人対個人の狭い範囲でも使われます。

コンセンサスを得ることは、その事項について関係者たちの納得度と当事者意識が高まり、その後の実行に移しやすくなります。さらに全員の意識が同じベクトルであるため、コンセンサスをとる人数が多ければ多いほど多角的に物事を見られ、決定事項はブレずにより質の高い決定ができるというメリットも。

しかしコンセンサスをとることに時間を取られているとスピードを失い、刻一刻と変わる状況の変化についていけず、決定した時にはすでに状況や事情にそぐわないものになっていた…なんてリスクもあります。

複数人が関わる物事の決定においては全員のコンセンサスが必要なのか、それとも一部のコンセンサスで良いのかを見極めることも重要です。

「コンセンサス」の語源は?

英語では「consensus」と書き、語源はラテン語の「com(一緒に)」+「sentio(感じること)」です。意味合い的には現代の言葉とあまり変わりないですね。

ちなみに、「com」は「companion(仲間)」や「common(共通の)」など、複数のつながりを表す場合によく使われており、そこから派生して様々な言葉になっています。そして「sentio」は、「sensory(感覚の)」や「senstive(敏感な)」など、感覚的な事柄をあらわす言葉の語源です。

\次のページで「「コンセンサス」の使い方・例文」を解説!/

「コンセンサス」の使い方・例文

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さて、次の項目では「コンセンサス」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

・「明日の会議は全会一致でスムーズに議決されるよう、事前に全員のコンセンサスをとっておく必要がある」

全会一致で一つの結論を出す「コンセンサス方式」という会議の方法があります。この場合、一人でも反対意見が出ると議決はされません。そのため、前もって会議参加者一人ひとりに反対意見がないかどうか確認したうえ、当日はスムーズに議決を行うというのが進め方としては一般的です。ニュアンスとしては「根回し」という言葉と同義でしょう。

・「取引先へのこのプレゼンについては、上司のコンセンサスをとっておくべきだ」

これもビジネスシーンにおいてよく聞く使い方ですね。ニュアンスとしては「了解」「了承」という言葉と同義でしょう。「段取り」とも言えるでしょう。これが「上司のコンセンサスがない」となると「上司の了承を得ていない」ということになります。

「日本の未来の展望を切り開く国家的大事業を行うにあたり、まず第一に行うことは国民のコンセンサスを得ることだ」

これは、国の政策などについて、国民の合意形成を図り、大多数の国民が同意することを表します。「ナショナルコンセンサス(国民的同意)」とも表現。さらにこの同意に基づいた政治を「コンセンサスポリティックス」と呼びます。

\次のページで「「コンセンサス」の類義語や関連語は?違いは?」を解説!/

「医学的コンセンサスが確立された症例を発表する」

医療現場で「コンセンサス」という言葉を使う際は、検証や臨床を行った上でしっかりとした根拠(エビデンス)が確立されている状態をあらわし、さらに最新の知識に基づく公式声明であることを指します。

 

「コンセンサス」の類義語や関連語は?違いは?

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「コンセンサス」の類義語は以下のようなものがあります。

「アグリーメント」

混同されやすいのが「賛成」の意味を持つ「アグリーメント(agreement)」という言葉。決定事項において、賛成を得たい相手が複数ではなく一人の場合には、「コンセンサス」ではなくこの「アグリーメント」を使います。

言葉のニュアンスとしては、「コンセンサス」が関係者全員の考えや答えのベクトルが同方向に向いている状態です。これに対して、「アグリーメント」は何らかの案が提示されており、それについて一個人が同調するかどうかという違いがあります。一見同じような意味ではありますが、使用する場面は違うので注意ですね。

「オーソライズ」

これは特に混同しやすい言葉ですね。「オーソライズを得る」などという使い方をされますが、これは「認証・承認を得ている」という意味です。「コンセンサス」があらわす「意見の一致」というニュアンスとは違い、「正式に認められる」「認可される」などといった、ある権利を得る場合に使われます。

「コンセンサス」の対義語は?

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「コンセンサス」に明確な対義語はないようです。しかし反対の意味を表す言葉はいくつかあります。

\次のページで「「独断」「独断的」」を解説!/

「独断」「独断的」

「勝手に決めること」です。他人の意見を参考にせずに個人の意思のみで物事を判断して決めることをあらわします。この場合、決める人間は自分勝手であり、周囲の人間が口を出せない状況であることが多いです。「独断専行」などとも言います。

1.議長が独断で決定したため、会議は混乱に陥った
2.このプロジェクトについてはほぼ社長の独断で進められている

「裁量」

自分一人の意見で問題を判断し、決定して処理することを指します。上記の「独断」とは違い、自由に進めて良い、すべて任せるといったニュアンスです。元々は法律や行政の分野でよく用いられてきた言葉ですが、近年はビジネスシーンをはじめさまざまな場面で使われるようになりました。

1.この案件については彼の裁量に委ねることにする
2.会社の運営を一人で裁量する

「コンセンサス」を使いこなそう

この記事では「コンセンサス」の意味・使い方・類語などを説明しました。さまざまな意味が含まれていましたね。

ビジネスパーソンとしては、こういったカタカナ語は適切な場面でカッコ良く使いたいもの。そのためには日本語訳は何なのか?を日頃からチェックしておき、日本語で言い換えるとどうか?をよく考えておくと良いでしょう。

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国語言葉の意味

「コンセンサス」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「コンセンサス」について解説する。

端的に言えばコンセンサスの意味は「合意」や「同意」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「コンセンサス」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語やカタカナ語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いて紹介。

「コンセンサス」の意味や語源・使い方まとめ

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特にビジネスシーンではよく見聞きする「コンセンサス」という言葉。いったいどういう意味で、どんな時に使われる言葉なのでしょう?早速「コンセンサス」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「コンセンサス」の意味は?

「コンセンサス」には、次のような意味があります。

意見の一致。合意。「社内のコンセンサスを得る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「コンセンサス」

「コンセンサス」には「合意」「同意」「総意」などといった意味があります。ビジネスシーンだけではなく政治の場でもよく使われる言葉です。

厳密にいうと「複数人による合意」。単に対個人と自身の意見を一致させるだけではなく、その場にいる人や関わる人々全員の合意を得るという、対象が広い範囲の場合に使うのが本来の使い方です。しかし、往々にして自分対相手、個人対個人の狭い範囲でも使われます。

コンセンサスを得ることは、その事項について関係者たちの納得度と当事者意識が高まり、その後の実行に移しやすくなります。さらに全員の意識が同じベクトルであるため、コンセンサスをとる人数が多ければ多いほど多角的に物事を見られ、決定事項はブレずにより質の高い決定ができるというメリットも。

しかしコンセンサスをとることに時間を取られているとスピードを失い、刻一刻と変わる状況の変化についていけず、決定した時にはすでに状況や事情にそぐわないものになっていた…なんてリスクもあります。

複数人が関わる物事の決定においては全員のコンセンサスが必要なのか、それとも一部のコンセンサスで良いのかを見極めることも重要です。

「コンセンサス」の語源は?

英語では「consensus」と書き、語源はラテン語の「com(一緒に)」+「sentio(感じること)」です。意味合い的には現代の言葉とあまり変わりないですね。

ちなみに、「com」は「companion(仲間)」や「common(共通の)」など、複数のつながりを表す場合によく使われており、そこから派生して様々な言葉になっています。そして「sentio」は、「sensory(感覚の)」や「senstive(敏感な)」など、感覚的な事柄をあらわす言葉の語源です。

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