この記事では「プロパガンダ」について解説する。

「プロパガンダ」はニュースなんかで頻繁に出てくる言葉です。ですが、そのイメージのせいで難しそう、複雑な意味に違いない、と思っていないか?「プロパガンダ」はちゃんと学べば、案外簡単に意味の掴める言葉です。

元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「プロパガンダ」の意味や語源、言い換えなどを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「プロパガンダ」ってどういう意味?

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プロパガンダとは、以下のような意味の言葉です。

プロパガンダ(propaganda)とは、意図をもって、特定の主義や思想に誘導する宣伝戦略のこと。

出典:Weblio辞書 「プロパガンダ 意味」

押さえておくべきは、「誘導する」「宣伝」の部分です。プロパガンダとは上記2つを同時に兼ね備えた行為のことであり、片方だけの意味を持つわけではありません。

プロパガンダ」は簡単に言うと?

上記を見ると複雑そうな印象があるかもしれませんが、分解すると簡単に意味を捉えられます。まず、示す行為の内容としては「宣伝」です。プロパガンダは、「宣伝行為」を示しています。そして、ただの「宣伝」ではありません。「特定の思想への誘導」を目的とした「宣伝」です。

言い換えると、主義や思想への誘導へ結びつかない宣伝は「プロパガンダ」ではありません。また主義や思想を持っていても、宣伝行為をしていなければ、やはり「プロパガンダ」ではない、ということになります。

「プロパガンダ」の使い方

「プロパガンダ」は以下のように使います。

1.最近のニュースは「プロパガンダ」がひどい。
2.この事件は企業ぐるみの「プロパガンダ」だ。
3.そういった発言は「プロパガンダ」のように聞こえる。

\次のページで「世の中にある「プロパガンダ」」を解説!/

上記の文章を見て難しいな、と感じた場合、まずは「プロパガンダ」の部分を「宣伝」に置き換えてください。次に「何の宣伝なのか?」を考え、特定の思想へ結びつけるための宣伝なのだ、と考えるとわかりやすくなるはずです。

世の中にある「プロパガンダ」

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「プロパガンダ」は自分には縁遠い言葉だ、と思っている人は多いです。「プロパガンダ」を主に見かけるのはニュースなどである場合が多いため、身近な言葉ではない、という印象が強いのでしょう。しかし、「プロパガンダ」という言葉にされていないだけで、「プロパガンダ」そのものは、意外に身の回りにあることなのです。

「プロパガンダ」って政治の言葉じゃないの?

「プロパガンダ」は、政治用語ではありません。政治の話題に使われがちではありますが、本来の意味合いに政治的なニュアンスは入っていないのです。特定の思想へ誘導するための宣伝であれば、その思想がどのようなものであっても「プロパガンダ」には変わりがありません。

ビジネスに宗教に…実は身近な「プロパガンダ」

例えば「Aを食べなければ病気になる!」という宣伝は、Aを販売している企業の「プロパガンダ」ということになります。これは政治の話ではなく、ビジネスです。「Aを買ってくれ」と宣伝するのではなく、「健康であるにはAが必要」という思想に誘導しています。

宗教も同様です。例えば「この教えに背けば不幸になる」という宣伝は、「この宗教に入信してください」と直接宣伝しているわけではなく、「幸福であるためにはこの教えが必要」という思想に誘導しています。

移り変わっていった「プロパガンダ」の歴史

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「プロパガンダ」は、段々とニュアンスが変化していった言葉です。変化前の意味と変化後の意味、変化の理由も合わせて知ることで、より言葉は親しみやすく、簡単に感じられるようになります。難しいというイメージがある言葉こそ、しっかり成り立ちを知りましょう。

\次のページで「「プロパガンダ」が元々示していたこととは?」を解説!/

「プロパガンダ」が元々示していたこととは?

「プロパガンダ」の元々の意味は以下です。

プロパガンダの語は、1622年のカトリック教会の布教において設立された、布教聖省(Sacra Congregatio de Propaganda Fide)に由来している。宗教的な思想を宣伝し、その思想に誘導するための手段として、プロパガンダという概念が出来上がった。プロパガンダという語自体は本来、中立的なものであった

出典:Weblio辞書 「プロパガンダ 語源」

上記における「中立的」とは、宣伝行為のことを指しています。本来、宣伝という行為に善悪などありません。宣伝は宣伝でしかなく、善悪があるとすれば、それは宣伝されている中身にかかっています。

変化した「プロパガンダ」のニュアンス

上記の引用は、以下に続きます。

が、この宣伝活動は対立するプロテスタント教会には大いに脅威になったため、偏った考え方への誘導、情報操作による洗脳といった意味合いを持つようになり、プロパガンダは軽蔑的に使われる語に変わっていった。

出典:Weblio辞書 「プロパガンダ 語源」

現在「プロパガンダ」はどちらかというと、上記の意味合いを持つ言葉に変化しています。相手が偏った思想の持ち主であるという前提に立ち、公平な意見ではないと感じた時に「プロパガンダ」という言葉を使用する人は多いです。

本来そのようなニュアンスはありませんが、むやみに「プロパガンダ」という言葉を使っていると、相手を不快にさせてしまう危険がありますので注意しましょう。

「プロパガンダ」の語源・類義語

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「プロパガンダ」の語源、類義語を見ていきましょう。「プロパガンダ」の類義語は考えやすく、比較的想像がしやすいです。しかし、語源はやや意味が今とズレており、興味深いものとなっています。「プロパガンダ」をより深く知り、自分のものにしていきましょう。

「プロパガンダ」の語源とは?

プロパガンダの語源は以下になります。

\次のページで「「プロパガンダ」の言い換え」を解説!/

語源はラテン語で、「繁殖する」「種をまく」「挿し木」「接ぎ木」などの意味がある。

出典:Weblio辞書 「プロパガンダ 語源」

上記から分かる通り、元々は宣伝を指す言葉ではありませんでした。ただ、「繁殖する」「種をまく」という意味合いから、どこかの点を中心に周りへと広がっていくイメージは宣伝と共通しています。このことから現在の意味に移り変わったと捉えて間違いないでしょう。

やや意味がずれているのでは?という印象を持つかもしれませんが、「プロパガンダ」に関わらず、言葉とは長い歴史の中でしばしば意味がずれていくものです。この点を覚えておくと、他の言葉の学習もしやすくなります。

「プロパガンダ」の言い換え

「プロパガンダ」の言い換えとしては、「宣伝」「宣伝活動」などです。ですが人によっては「政治宣伝」「政治活動」「宗教宣伝」など、政治や宗教の意味合いをあらかじめ含めて使う場合もあります。他に、「宣伝工作」「政治工作」など、やや侮蔑的なニュアンスを含んで工作と言い換えるときもしばしばです。

「プロパガンダ」の意味は簡単!でも使いどころには要注意

「プロパガンダ」の意味を理解するのは難しくありません。特に政治などに詳しくなくても、整理して理解すれば、簡単に意味を掴めます。

むしろ難しいのは、意味の理解ではなく使いどころと言えるでしょう。「プロパガンダ」という言葉には、対象に向かって「あなたは公平ではありません」というニュアンスを含めてしまう場合があります。理解できたからといってむやみに使うのではなく、状況に応じて使っていきましょう。

" /> 政治の話でよく見る「プロパガンダ」って?意味や語源・類語を言葉大好きライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

政治の話でよく見る「プロパガンダ」って?意味や語源・類語を言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「プロパガンダ」について解説する。

「プロパガンダ」はニュースなんかで頻繁に出てくる言葉です。ですが、そのイメージのせいで難しそう、複雑な意味に違いない、と思っていないか?「プロパガンダ」はちゃんと学べば、案外簡単に意味の掴める言葉です。

元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「プロパガンダ」の意味や語源、言い換えなどを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「プロパガンダ」ってどういう意味?

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プロパガンダとは、以下のような意味の言葉です。

プロパガンダ(propaganda)とは、意図をもって、特定の主義や思想に誘導する宣伝戦略のこと。

出典:Weblio辞書 「プロパガンダ 意味」

押さえておくべきは、「誘導する」「宣伝」の部分です。プロパガンダとは上記2つを同時に兼ね備えた行為のことであり、片方だけの意味を持つわけではありません。

プロパガンダ」は簡単に言うと?

上記を見ると複雑そうな印象があるかもしれませんが、分解すると簡単に意味を捉えられます。まず、示す行為の内容としては「宣伝」です。プロパガンダは、「宣伝行為」を示しています。そして、ただの「宣伝」ではありません。「特定の思想への誘導」を目的とした「宣伝」です。

言い換えると、主義や思想への誘導へ結びつかない宣伝は「プロパガンダ」ではありません。また主義や思想を持っていても、宣伝行為をしていなければ、やはり「プロパガンダ」ではない、ということになります。

「プロパガンダ」の使い方

「プロパガンダ」は以下のように使います。

1.最近のニュースは「プロパガンダ」がひどい。
2.この事件は企業ぐるみの「プロパガンダ」だ。
3.そういった発言は「プロパガンダ」のように聞こえる。

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