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5分でわかる「凝析」塩析との違いを理系ライターがわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回のテーマは「凝析」。

半透明のコロイド溶液。そんなコロイド溶液も電解質を加えるとコロイド粒子が凝集して沈殿するが、そのコロイド粒子の性質によって大きく「凝析」と「塩析」の2つの形態に分けることが出来るんだ。

今回は特に「凝析」のメカニズムと自然現象、社会での使われ方まで国立大学の理系出身で環境科学を専攻、化学にも詳しいライターNaohiroと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/Naohiro

国立大学の理系出身。大学時代環境科学を専攻した経験をもとに、社会との関りから凝析にまつわる現象をわかりやすく解説する。

1. コロイド溶液の基礎

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それでは凝析の説明に入る前にまず、コロイドの基礎をおさらいしておきましょう。

1-1. コロイドの定義

コロイドは1861年にイギリスの化学者トーマス・グレアムにより”コロイドとは溶液中で拡散速度が非常に遅い物質”として定義されたことが始まりです。要は実験的にコロイドが半透膜を通過するときの速度が遅いということであり、この透過速度が遅いものの仲間にゼラチン(にかわの主成分)がありました。ギリシャ語の”にかわ状”(kolla-eidos)から、その仲間をcolloidと呼ぶこととしたのです。

それではコロイド溶液とその他になにがあるの?という点に関して説明していきましょう。実は水に何かものを混ぜた時、その混ぜたものの状態により3つの状態に分けることができます

image by Study-Z編集部

その3つとは大きく分けて「真の溶液」「コロイド溶液」「懸濁液」です。基本的には水に溶けた粒子の大きさが109m以下のものを真の溶液10910-7mのものをコロイド溶液10-7m以上のものを懸濁液と分けます。ちなみに109m=1nm(ナノメートル)で、原子の大きさが大体0.1nm単位になりますので真の溶液は原子とか分子レベルで水に溶けたものであることがわかりますね。その一方でコロイド溶液は1nmよりも大きい高分子化合物や、小さな分子やイオンが集まった微粒子で成り立っています

以上が一般的な説明にはなるのですが、要は真の溶液とコロイド溶液は透明か半透明かコロイド溶液と懸濁液は置いておくことで粒子が沈降するかしないかという観点で見分けられることを覚えておくとわかりやすいですね。

1-2. コロイド粒子の分類

コロイドは以下の観点から分類することができます。

・分散媒の状態   :ゾル ↔ ゲル ↔ キセロゲル(寒天、高野豆腐等)

・コロイド粒子の種類:分散コロイド↔会合(ミセル)コロイド↔分子コロイド

・コロイド粒子の電荷:正電荷 ↔ 負電荷

そして凝析反応を解説する上で必要不可欠なのが「疎水コロイド」「親水コロイド」の分類です。

1-3. 疎水コロイドと親水コロイド

1-3. 疎水コロイドと親水コロイド

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一般的に疎水コロイドには無機物質の分散コロイドが多く親水コロイドには有機物質の分子コロイドが多い特徴があります。これは親水コロイドとして代表的なタンパク質が、親水性の官能基であるカルボキシ基(-COOH)をもつことからもイメージはできますよね。

そしてもう一つ、疎水コロイドは同じ電荷同士(水酸化鉄ならプラス同士、粘土ならマイナス同士)の反発力で分散していますが親水コロイドは水分子を表面に吸着(水和)することにより分散しているという違いも覚えておきましょう。

また親水コロイドについては会合コロイドと分子コロイドに大別されることについても触れておきます。会合(かいごう)コロイド、別名ミセルコロイドの代表例としては挙げられるのは石けん。石けんの濃度が一定以上になると中心の油汚れに疎水基(親油基)を、外側に親水基を向けたミセルとなって会合コロイドを形成するのです。その一方分子コロイドはタンパク質、デンプンといった巨大分子そのものがコロイドとなるものでありタンパク質は正電荷をもつ正コロイドデンプンは負電荷をもつ負コロイドという特徴をもっています。

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その他にコロイド溶液の重要な性質として透析、チンダル現象、ブラウン運動、電気泳動などもあるから興味があれば調べてみてくれ。また、疎水コロイドは親水コロイドに比べるとシンプルなコロイドに見えるが、そのスケールはとても大きなものだ。次からは塩析と比較しながら凝析反応について詳しく説明していくぞ。

2. 凝析とは?

それでは凝析、そして凝析と混同しやすい塩析について解説していきましょう。

2-1. 疎水コロイドの凝集沈殿=「凝析」

2-1. 疎水コロイドの凝集沈殿=「凝析」

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疎水コロイドが少量の電解質を加えることで容易に沈殿するということを前述しましたが、その現象のことを特に「凝析」と呼びます。例えば図のようにプラスに帯電した疎水コロイド粒子が分散している系を考えた場合、電解質を加えることでマイナスの電荷をもつイオンがプラス電荷のコロイド粒子と引き寄せ合うことで最終的に巨大な粒子となり溶液中に沈殿物を形成することとなるのです。

自然現象では三角州の形成社会的には浄水処理場での水の浄化等にこの原理が用いられています。

2-2. 親水コロイドの凝集沈殿=「塩析」

2-2. 親水コロイドの凝集沈殿=「塩析」

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疎水コロイドは少量の電解質を添加することで凝集沈殿し、これを凝析といいます。しかし親水コロイドはその表面に水分子を吸着(水和)しているため、少量の電解質を加えただけでは水和した水分子を奪い取るだけで凝集沈殿させることができません。そこで多量の電解質や脱水剤を加えて沈殿させること塩析とよびます。

身近な例としては豆乳に大量のにがり(電解質)を加えると豆腐ができるという現象も塩析によるものです。

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