この記事では「杜撰」について解説する。

端的に言えば杜撰の意味は「いいかげんなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「杜撰」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「杜撰」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「杜撰」の意味や語源・使い方まとめ

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杜撰」の読み方は「ずさん」です。「杜撰」は日常会話や、ビジネスシーンにおいてもしばしば使われる言葉なので、この機会にしっかりと覚えておきたいですね。それでは早速「杜撰」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「杜撰」の意味は?

まず最初に「杜撰」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「杜撰」には、次のような意味があります。

1.押さえるべきだいじな点に手抜かりが多く、いいかげんである様子だ。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「杜撰」

杜撰」は、手抜かりによる誤りが多く、物事や行いがいいかげんだと言う意味です。また、特に詩文においては、典拠が明らかでないことを述べていたり、間違いが多いことを指して言います。

そして、「杜撰」と言う言葉を知っていても、漢字を知らない人は少なくありません。読み間違いには注意しましょう。

「杜撰」の語源は?

次に「杜撰」の語源について説明します。「杜撰」の由来は中国であり、「杜撰」は故事成語です。宋の時代、王楙(おうぼう)によって書かれた「野客叢書」の中に「杜撰」についての故事が記載されています。語源としては、この「野客叢書」が最も有名な説ですから紹介しましょう。

昔中国の宋に、杜黙と言う詩人がいました。そして、杜黙の作る詩は、規格、韻律がふさわしくないものばかりでした。このことから、規格にあっていないいい加減な詩文のことを「杜撰」と言うようになったのです。

「野客叢書」には、このように語源について書かれています。「杜撰」の「杜」は、杜黙の名前から取ったもので、「撰」は詩文を作ると言う意味です。つまり「杜撰」とは、「杜黙の作る詩文」と言うことなのですね。しかしながら、故事の記述には「杜黙の詩がいい加減である」とは言及されておらず、ただ型破りである、と言う意味合いの説明だったようです。もしかすると杜黙は、新進気鋭の詩人であったのかも知れませんね。

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「杜撰」の使い方・例文

それでは「杜撰」の使い方を、実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.杜撰な管理をしていたために、商品の在庫数が全く把握できていない。
2.君のレポートは、インターネットの情報からの寄せ集めで根拠がなく、杜撰だと非難されて当然だと思う。
3.最近、日々繰り返す業務が多く従業員の慣れがあるせいか杜撰さが目立ってきた。

1の例文のように「杜撰」は、「杜撰な○○」と言う使い方で形容詞として使われることが多いでしょう。2は、形容動詞で用いられています。また、3のように「杜撰さ」と活用する事で、名詞として使うこともできるでしょう。そして語源で説明したとおり、元々は詩文に対していい加減で間違いが多いと言うことを表す熟語でしたが、例文のように仕事などの行動、作品などにも使うことができます。

「杜撰」の類義語は?違いは?

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「杜撰」の類義語には、「粗雑」や「おざなり」が挙げられます。

「粗雑」

粗雑(そざつ)」とは、細かいところまで注意せず、いいかげんで大雑把である、と言うことです。「粗(あら)い」「雑(ざつ)」と言う漢字から成っていますから、大雑把で扱いが雑だ、と言う意味合いが感じられますね。使い方は、「粗雑な対応」「粗雑な文章」などと用いられ、人の行動や作品に対し形容詞などで使われます。また、「粗雑な布」など、物に対して用いた場合には、品質が劣っていることを表す場合もありますから覚えておきましょう。

\次のページで「「おざなり」」を解説!/

「おざなり」

おざなり」は「お座なり」と漢字で書かれることもあり、なすべき事柄をその場しのぎでいいかげんにやり過ごすことです。間に合わせで行動に誠意がない様子を表す言葉ですね。普通は人の行動に対して用いられ、「おざなりなやり方」と言うように、形容詞で使われます。同じ、いい加減と言う意味ですが、「杜撰」と違う点は、「おざなり」には成り行き任せと言うニュアンスがあるところ、「杜撰」には手抜かりがあると言う意味合いがあるところでしょう。

「杜撰」の対義語は?

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「杜撰」の対義語は、「緻密」や「入念」がふさわしいでしょう。

「緻密」

緻密(ちみつ)」は、日常でもよく見聞きする言葉ですね。意味は、細かく行き届いていて、正確であることです。「緻密な計画」など、人の行動にもよく使われます。その他には、単に物の作りが細かく小さい、と言う意味で用いられることもあります。「杜撰」はいいかげんで、正確さがないことですから、「緻密」と対義語であると言えるでしょう。

「入念」

入念(にゅうねん)」は、細かいところまで注意が行き届き、丁寧なことです。話し言葉ですと「念入り(ねんいり)」という言い方になりますね。使い方は「杜撰」や「緻密」と同じく、「入念な調査」など言うように、行動に対して形容詞として使われることが多いでしょう。「杜撰」がいいかげんで手抜かりが多い事ですから、対義語としてふさわしいですね。

「杜撰」に関連した四字熟語

「杜撰」に関連した四字熟語は二つあります。語彙力向上のために併せて覚えておきましょう。

一つめ「杜撰脱漏(ずさんだつろう)」です。「脱漏」とは、ぬけていて間違いが多いと言う意味ですから、「杜撰」と「脱漏」と言う類似した二つの熟語を組み合わせて作った四字熟語ですね。意味は「杜撰」と同じく、いい加減で誤りが多いと言うことです。

二つめは「杜黙詩撰」、「ともくしさん」と読みます。「杜黙」は、「杜撰」の語源でも登場した詩人です。「詩撰」は、詩や文章を作ることを意味します。「杜黙」が格式にふさわしくない「詩撰」をしていたことから、「杜黙詩撰」は、文章がいい加減で間違いが多い、と言うことを表しているのです。

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「杜撰」を使いこなそう

この記事では「杜撰」の意味・使い方・類語などを説明しました。「杜撰」には言い換えられる類義語が多くあります。先述した他には「やっつけ仕事」などもあり、いい加減で完成度が低いことを言いますね。状況によって使い分けられるといいですね。

そして、記事の中でも少し紹介しましたが、「アバウト」と言う和製英語も良く使われています。おおまかである、大雑把である、と言う意味で使われていますが、英語のaboutはこの意味では使われませんので気をつけて下さいね。

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国語言葉の意味

「杜撰」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

「杜撰」の使い方・例文

それでは「杜撰」の使い方を、実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.杜撰な管理をしていたために、商品の在庫数が全く把握できていない。
2.君のレポートは、インターネットの情報からの寄せ集めで根拠がなく、杜撰だと非難されて当然だと思う。
3.最近、日々繰り返す業務が多く従業員の慣れがあるせいか杜撰さが目立ってきた。

1の例文のように「杜撰」は、「杜撰な○○」と言う使い方で形容詞として使われることが多いでしょう。2は、形容動詞で用いられています。また、3のように「杜撰さ」と活用する事で、名詞として使うこともできるでしょう。そして語源で説明したとおり、元々は詩文に対していい加減で間違いが多いと言うことを表す熟語でしたが、例文のように仕事などの行動、作品などにも使うことができます。

「杜撰」の類義語は?違いは?

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「杜撰」の類義語には、「粗雑」や「おざなり」が挙げられます。

「粗雑」

粗雑(そざつ)」とは、細かいところまで注意せず、いいかげんで大雑把である、と言うことです。「粗(あら)い」「雑(ざつ)」と言う漢字から成っていますから、大雑把で扱いが雑だ、と言う意味合いが感じられますね。使い方は、「粗雑な対応」「粗雑な文章」などと用いられ、人の行動や作品に対し形容詞などで使われます。また、「粗雑な布」など、物に対して用いた場合には、品質が劣っていることを表す場合もありますから覚えておきましょう。

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