ライター/R175
とある国立大の理系出身。
1.トリチェリの真空とは
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シリンダ上の試験管に液体を満たして底面を上に向け、口側は液体が入っている容器に漬けましょう(イラスト)。水上置換法の時と同じ配置です。この時、シリンダ内の液面は容器の液面より高くすることができますね。しかしシリンダ液面高さには上限があり、ある一定高さ以上の管内は液が存在することができず真空となるのです。この現象は発見した人の名前を取ってトリチェリの真空と呼ばれています。
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なぜシリンダ内だけ液面を高くできるのか
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上記のように、シリンダを液体で満たして他容器に漬けた場合、なぜシリンダ内だけ液面を高くできるのでしょうか。液体を何かしらの力で持ち上げる必要があるのですが、その力を与えているものが空気です。空気は大気圧分の圧力で周囲を圧していますね。空気が液体を圧している力のお陰でシリンダ内の液面は高い位置に存在できるわけです。
シリンダ内外の圧力差と液面高さ
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大気圧の大きさは決まっていますので、液面を持ち上げようとする力にも上限があります。シリンダ内の液面が高ければ高いほど持ち上げるのに必要な力は大きくなりますね。液面をどんどん高くしていくと、やがて大気圧による力では持ち上げきれなくなります。液面はそれ以上上昇することはありまあせん。
大気圧で圧せる液面高さよりも長いシリンダに液体を充填し、逆さにして他容器に漬けるとどうなるか。液面高さは上限より高くなることはなく、シリンダ上面側は何もない部分(真空)ができます。シリンダ底面側の圧力が0(完全真空)で入口側が1気圧。その圧力差により液体が持ち上げられているわけです。
2.圧力差による液柱高さの計算
ここでは実際に液面高さの上限を計算しましょう。シリンダの断面積をS、シリンダ内の液面高さをh、液体の密度をρ、大気圧をPとします。
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