この記事では「意地になる」について解説する。

端的に言えば「意地になる」の意味は「自分の考えを押し通す」という意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

大学で日本文学と日本文化を専攻していたライターの「めありん」を呼んです。一緒に「意地になる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/めありん

文学部日本文学文化学科卒業のWEBライター。和歌や古典文学・日本語・漢字が好きで、得意教科は国語。今回は日常的にも使うシーンが多い「意地になる」という言葉について、わかりやすく解説する。

「意地になる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「意地になる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「意地になる」の意味は?

「意地になる」はひらがなだと「いじになる」となりますね。「意地になる」とはどのような意味なのでしょうか。辞書(コトバンク)では以下のように記されていました。

反対や障害などにあい、かえって頑固に自分の主張や行動を押し通そうとする。
※道草(1915)〈夏目漱石〉二〇「意地になってわざと見せろと逼る事があった」

出典:精通版 日本国語大辞典

「意地になる」には、自分の考えを押し通したり相手の意見を聞き入れないような頑なさを意味します。汎用性が高い慣用句なので、皆さんも日常的に使用することが多いのではないでしょうか。例えば、誰かと口論になった際に自分の主張を曲げない・相手のアドバイスを聞かずに自分のやり方を通すといったことが「意地になる」です。「もう後には引けない」状況ですね。素直になった方が得な状況だとしても、自分のプライドや見栄を優先する意味合いが強いでしょう。

「意地になる」の語源は?

次に「意地になる」の語源を確認しておきましょう。そもそも「意地」とはどういう意味なのでしょうか。「意地っ張り」「いじわる」「意地が悪い」「意地を張る」など、「意地」が付く言葉にはどちらかと言うとネガティブなイメージがあります。今回のテーマである「意地になる」もそうでしょう。

たまに「意地を見せる」といったようにポジティブ寄りの意味で使われることもありますが、基本的には前者の意味合いが強いです。

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もともとは仏教用語だった?

そもそも「意地」という言葉の語源はご存知でしょうか。この言葉は、なんと仏教用語が由来となっているのです。人間には五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)がありますが、仏教用語ではこの5つにプラスして「意」があると言われています。「意」とは人間の意識や直感のようなものです。

第六感という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。つまり、物理や理屈ではない五感を超えた本質・心のことです。心は様々な物事を作り上げていく上で「地」となることから、人間の意識のことを「意地」と呼ぶようになりました。そこから現代に至るまでに、現在のような意味が付与されていったのです。確かに「意地になる」という言葉には「理屈ではないけどそうしてしまう」といったイメージが強くありますね。

「意地になる」の使い方・例文

「意地になる」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば以下のように用いられます。

1.喧嘩をしたが、彼女は意地になって謝らないようだ。
2.彼はどうやら意地になっているようで、上司のアドバイスに聞く耳を持たない。
3.この試合はもう負けるとわかっているが、最後まで意地になって頑張りたい。

「意地になる」は単語ではないため、文章の中で使用する場合は「意地になって…」「意地になった」というような使い方をします。また、先ほど説明したように「しっかりした理由があって頑なになっているのではなく、理屈ではなくそうしている」といった意味合いが強いでしょう。また、自分に対して使うのではなく例文1と2のように他者に対して使うことが多いのも特徴となっております。「私は意地になっている」よりも「あの人は意地になっている」という使い方が一般的です。やはり少しネガティブな意味を含んでいるのがわかりますね。

「意地になる」の類義語は?違いは?

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「意地になる」の類義語や似たようなことわざにはどのようなものがあるのでしょうか。「自分の意見や考えを押し通す」という意味の「意地を張る」がかなり近い言葉ですが、今回は別の類義語をご紹介したいと思います。

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「ムキになる」

こちらもよく使われる言葉ですね。「ムキになる」とは、小さなことや些細なことで怒ったり反抗するといった意味になります。「意地になる」と同じでネガティブな意味合いが強く、主観よりも客観的な立場で使用されることが多いです。例えば、「あの人はムキになって反論している」「あなたはなんでこんなことでムキになるの?」というように。ちなみに、漢字で書く際は「向きになる」と表します。

「意地になる」の対義語は?

「意地になる」の対義語も見ていきましょう。

「素直」

「意地になる」は、人の意見を聞き入れず自分の主張や考えを押し通すという意味があります。言い換えれば「頑な」「頑固」ということですね。つまり、こちらの対義語は「素直」となります。「素直」には数通りの意味がありますが、性格面での意味は「従順でひねくれていないさま」です。「人の意見や考えを受け入れたり聞き入れる」ニュアンスであると認識しておきましょう。「素直」には他にも「ありのまま」「素朴さ」という意味もあります。

「意地になる」の英訳は?

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「意地になる」の英訳も見ていきましょう。

「to be stubborn.」

「意地になる」を英訳するならば、「to be stubborn」とするのが良いでしょう。「頑固」という意味の単語「stubborn」を用います。下記の例文を参考にしてください。

・She is stubborn.
彼女は意地になっている。

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「意地になる」を使いこなそう

この記事では「意地になる」の意味・使い方・類語などを紹介しました。「意地」とはもともと仏教用語で人間の本性や意識的なことを指しておりますが、現代に至るまでに少しずつ意味を変えていきました。現在日常的に使われている言葉や慣用句のルーツを調べてみると、今とは意味が異なることがよくあります。気になる言葉があったら調べてみるといいかもしれません。また、「意地になる」は「意地を張る」「片意地を張る」など様々な言い換えができますので、文脈に合わせて使い分けてみてくださいね。他にも「意地」が付く言葉はたくさんありますので、探してみても面白いと思います。私も意地になってしまうことが多いのですが、あらゆる物事に対して素直に、そして柔軟に対応していけるように心がけていきたいです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「意地になる」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒業Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「意地になる」について解説する。

端的に言えば「意地になる」の意味は「自分の考えを押し通す」という意味ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

大学で日本文学と日本文化を専攻していたライターの「めありん」を呼んです。一緒に「意地になる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/めありん

文学部日本文学文化学科卒業のWEBライター。和歌や古典文学・日本語・漢字が好きで、得意教科は国語。今回は日常的にも使うシーンが多い「意地になる」という言葉について、わかりやすく解説する。

「意地になる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「意地になる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「意地になる」の意味は?

「意地になる」はひらがなだと「いじになる」となりますね。「意地になる」とはどのような意味なのでしょうか。辞書(コトバンク)では以下のように記されていました。

反対や障害などにあい、かえって頑固に自分の主張や行動を押し通そうとする。
※道草(1915)〈夏目漱石〉二〇「意地になってわざと見せろと逼る事があった」

出典:精通版 日本国語大辞典

「意地になる」には、自分の考えを押し通したり相手の意見を聞き入れないような頑なさを意味します。汎用性が高い慣用句なので、皆さんも日常的に使用することが多いのではないでしょうか。例えば、誰かと口論になった際に自分の主張を曲げない・相手のアドバイスを聞かずに自分のやり方を通すといったことが「意地になる」です。「もう後には引けない」状況ですね。素直になった方が得な状況だとしても、自分のプライドや見栄を優先する意味合いが強いでしょう。

「意地になる」の語源は?

次に「意地になる」の語源を確認しておきましょう。そもそも「意地」とはどういう意味なのでしょうか。「意地っ張り」「いじわる」「意地が悪い」「意地を張る」など、「意地」が付く言葉にはどちらかと言うとネガティブなイメージがあります。今回のテーマである「意地になる」もそうでしょう。

たまに「意地を見せる」といったようにポジティブ寄りの意味で使われることもありますが、基本的には前者の意味合いが強いです。

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