
脳波と睡眠

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大脳には、微細な動作電流が流れています。その動作電流を脳波計により増幅記録したものを脳波と言いますよ。脳波の記録によって脳の活動自体の測定が可能となり、てんかんや脳器質疾患などの診断や認知機能の研究に役立てられますよ。正常なヒトの脳波は周波数0.5-35Hzの範囲内にあります。また、精神活動の状態によってδ(デルタ)波、θ(シータ)波、α波、β波の4つの周波数帯域があり、α波より周波数の小さいものを徐波、大きいものを速波と言いますよ。速波は、精神活動するときに見られます。
次に睡眠についてですが、レム睡眠とノンレム睡眠という性質の異なる睡眠が一晩のうちに90分の周期で3~5回程度繰り返されていることは知っていましたか。「レム」とは、「急速眼球運動」(Rapid Eye Movement)のことですよ。レム睡眠時には、この眼球運動が見られ、夢見の報告がたくさんなされています。レム睡眠は、身体は休んでいますが、脳波活動している状態なのですね。夢を見ない比較的深く眠っているノンレム睡眠は4段階に分けられ、一番深い眠りの時は、δ波が脳波の中で50%を占めるのですよ。
脳が損傷するとどうなるか
事故などにより脳に傷や病気を抱えてダメージを負わせると、記憶に障害をもたらしたり、ある対象について注意が持続しない障害などが起こることがあります。それを高次脳機能障害と言いますよ。脳の損傷部位によってどのような障害をかかえるかは変わってきます。それらについて詳しく見ていきましょう。
記憶障害と注意障害

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記憶障害において、健忘症候群があります。健忘症候群は、他の認知機能は正常なのに、記憶に関する機能が著しく障害されている状態ですよ。新しいことが覚えられない(前向性健忘)、前のことが思い出せない(逆向性健忘)があります。また、ここはどこか、自分が誰なのかわからない(失見当識)、病識欠如、性格が変わってしまったり、話をでっちあげること(作話)も見られることがありますよ。
社会的行動障害
社会的行動障害は、意欲、発動性の低下、情動抑制の障害、対人関係の障害、退行、依存、反社会的行動などが見られますよ。記憶障害と注意障害と社会的行動障害以外にも、失行、失認、失語がありますが、これは別の機会に詳しく説明しますね。
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