
端的に言えば「食うか食われるか」の意味は「命がけの戦い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
編集経験もあり、情報系のライターの経験が10年のコトバアソビを呼んです。一緒に「食うか食われるか」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/コトバアソビ
常に食うか食われるかの瀬戸際で生きているフリーライター。ペンの力で世界を変えると豪語するが、実現には至らない。
最近はモンスターハンターのゲームの初見で、エリア攻略(クエスト出現やイベント討伐)の動画を鑑賞し、適当によそ見をしつつ、ボーッとしている少しの時間に幸福を感じる。
今回は「食うか食われるか」について分かりやすく解説をする。
「食うか食われるか」の意味は?
「食うか食われるか」には、辞書から引用すると、次のような意味があります。
1.相手を倒すか、こちらが倒されるか。
2.命がけの勝負であるさま。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「食うか食われるか」
「食うか食われるか」は、勝敗のハッキリと分かっていない状態で、決死の戦いに挑むさまを言い表す言葉です。胸に決意がこめられており、決戦に挑むような心持ちの様子を形容する表現ですね。「食うか食われるか」の場合、あまり過去形では用いられません。未来形もしくは現在進行中の様子を主に表す言葉です。
しかし過去について「食うか食われるか」と用いても問題はありません。強いコミットメントをするときに用いることが多く、決起集会では「食うか食われるか!」と叫んだことがあります。筆者の体験談です。一体どんな団体にいたのでしょうか…。
「食うか食われるか」の語源は?
次に「食うか食われるか」の語源を確認しておきましょう。
「食うか食われるか」の語源は「弱肉強食」や「食物連鎖」です。動物とくに昆虫の共食いのところから生まれた説が有力。(諸説はあります。)
勝った個体が負けた個体を食べることから「勝ち」は「食う」という表現ですね。したがって「食うか食われるか」は、優劣を付けられない接戦だろうが、勝った方は負けた方を食べるというもともとの意味です。拮抗するような接戦を予感する言葉で、これから先には後戻りもできはしないという意味も多分に含みます。
また古来の中国より、目を射抜かれた武将がその目玉を食べて、敵をやっつけさまの劇にしたからとの説も有力です。この話を江戸時代に歌舞伎にして広まりました。
「食うか食われるか」の使い方・例文
「食うか食われるか」の使い方をみていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.この戦いは食うか食われるか。各々方油断は禁物。気を引き締められよ。
2.「今更来た依頼は断るな!今の時代は食うか食われるかの厳しい社会だ!」と上司は言う。
3.あの会社とは食うか食われるかの関係で、毎月営業成績を争っている。
4. 本日実施された大会にて、優勝候補の相手と食うか食われるかの戦いの末に勝利を収めた。トロフィーを掲げた勝者に、フォトグラファーが近寄り撮影をする。
5. 記事の世界では先に出したものが勝ちだ。本屋にて発売直後の本を手に「まさにこの世は、食うか食われるかだな。」と自分自身に言い聞かせた。
食うか食われるかは、戦いを形容しているさまの表現です。戦いといってもとくに激戦のことと、もしくは激戦になるだろうという点にフォーカスをしています。したがって食うか食われるかの戦いと、そのまま用いるケースはありますね。
争っているさまを言い表す表現のため、結果後に用いるのはレアケースです。ただし4の例文のように相手が強かったと形容して、過去形を使います。「激戦の末」や「激闘の末」などの相応しい、他の表現の言葉があるために「食うか食われるか」を用いることには、いささかの疑問を感じ得ますね。
5の例文は、まさに筆者の現在置かれている状況です。ネタを先に出されたという意味ですね。
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