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進化の過程で、多細胞生物は細胞を多様に分化させてきました。そのなかで、同じような機能をもち、同じような形態をしている細胞を”組織”というグループに分けて考えます。動物の場合、組織は「上皮組織、結合組織、筋組織、神経組織」の4種類に分けて考えるのが一般的です。
さらに、いくつかの組織は集まり、特定の機能をもった”器官”をつくります。これは、一般的にいう”臓器”と同じようなイメージのものです。例えば、心臓や肺、胃、小腸、大腸、肝臓などがそれぞれ”器官”の一種ととれます。

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これらの器官は、特定の機能を果たすために連携して機能します。たとえば、胃、小腸、大腸、肝臓はまとまって「食べ物の消化・吸収・運搬」などの役割を担うのです。この時、胃、小腸、大腸、肝臓などの「食べ物の消化・吸収・運搬」にかかわる器官をまとめて「消化器系(または消化系)」といいます。
このように、連携してはたらく器官のグループを”器官系”といい、複雑な多細胞生物の”個体”は器官系が集まって構成されていると考えることができるのです。
上皮組織
それでは、今回のテーマである上皮組織についてみていきましょう。
「上」や「皮」という字が入っていることからも想像できますが、上皮組織は基本的に「からだの表面や器官の表面をおおっている細胞」の集まりです。上皮組織をつくっている細胞はまとめて上皮細胞ともよばれます。上皮細胞間は密着、結合しており、すき間なく敷き詰められているのも特徴です。
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上皮組織とそのほかの組織が集まって器官をつくりますが、結合組織とそれ以外の組織の間には膜のような構造が存在し、これを基底膜(きていまく)といいます。基底膜はどこでもすべて同じ、というわけではなく、その成分は場所によってさまざまです。
さて、上皮細胞はその機能、形態、並び方(配列)に基づいて、さらに細かく分類することができます。
機能に基づく分類
上皮細胞がどんな機能をもっているかで、以下のように分類されます。
被蓋上皮(ひがいじょうひ)…からだの表面や、中空器官の内側を覆う。体内が傷つかないよう保護している。
腺上皮(せんじょうひ)…外分泌腺や内分泌腺を構成している。粘液やホルモンなどの物質をつくり、分泌する。分泌上皮とも。
吸収上皮…水分や栄養を吸収する機能がある上皮。腸の粘膜上皮など。
感覚上皮…外界の刺激を受け取り、それを神経系に伝える機能をもつ。網膜や、においを感じる鼻粘膜の上皮など。
呼吸上皮…ガス交換をする機能のある上皮。肺胞の上皮がこれにあたる。
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