この記事では「一から十まで」について解説する。

端的に言えば、「一から十まで」の意味は「何から何まで」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾で国語講師を4年間担当し、契約書校正業務を3年以上経験している、ミリーを呼んです。一緒に「一から十まで」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/持木ミリー

今回の記事を担当するのは、塾講師として国語などを4年間担当し、その後契約書作成や校正に3年以上携わっている、Webライターのミリー。間違った日本語に目ざといミリーが、慣用句の意味について、分かりやすく解説していく。

「一から十まで」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一から十まで」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一から十まで」の意味は?

「一から十まで」には、次のような意味があります。

何から何まで。始めから終わりまで。すべて。「一から十まで人に頼る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一から十まで」

「一から十まで」の意味は、「何から何まで。始めから終わりまで。すべて。」です。日常会話でも、よく耳にしたり使ったりする言葉なのではないでしょうか。実際どのように使われるのか、改めて確認してみましょう。

「一から十まで」の使い方・例文

「一から十まで」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 子供の時から、何でも一から十まで説明してもらわないと、理解できないタイプだった。

2. 教科書に書いてるので、わざわざ一から十まで用語を解説してもらわなくてもいいです。要点や補足だけ教えてもらえればいいので。

3. 無駄な失敗をさせるのもどうかと思い、後輩の良くないところは一から十まで指摘していたが、自分で気づかせるきっかけを与えればよかったと、今さら反省している。

4. うちの夫は、料理に関しては何にもできない人なので、一から十までやってあげないといけない。

5. 俺は、料理が全然できないので、その辺は妻に一から十まで頼りきりだ。

「一から十まで」の後に続くのは、「恩を着せる」系統の動詞(教える、説明する、指摘する、など)、や、「恩を着せられる」系統の動詞(頼る、してもらう、など)が、比較的多いですね。

このことから、「一から十まで」が、「すべて」という簡単且つ汎用的な意味であっても、使われるシチュエーションが限られてくることが分かります。

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「一から十まで」の類義語は?違いは?

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ここからは、「一から十まで」の類義語について、見ていきましょう。

「委曲」

「一から十まで」の類義語として、「委曲」が挙げられます。意味は、以下の通りです。

詳しく細かなこと。また、物事の詳しい事情。委細。詳細。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「委曲」

まず、「委」という漢字には、以下のような意味があります。

1.  自分ではしないで、他人にまかせる。「委譲・委嘱・委託・委任」

2.  放っておく。「委棄」

3.  細かくくわしい。「委曲・委細・委悉 (いしつ) 」

4.  「委員」「委員会」の略。「教委」

出典:大辞泉(小学館)「委」

また、「曲」には、実はこんなにたくさんの意味があります。

1. まがる。まげる。「曲折・曲線・曲面/迂曲 (うきょく) ・婉曲 (えんきょく) ・屈曲・湾曲」

2. ねじまげる。こじつける。「曲解・曲学・曲言・曲筆/私曲・邪曲・歪曲 (わいきょく) 」

3. 入りくんで細かい。くわしい。「委曲」

4. 曲がって入りくんだ所。くま。「河曲 (かきょく) 」

5. 音楽のふし。音楽作品。「曲調/音曲 (おんぎょく) ・歌曲・楽曲・作曲・序曲・新曲・選曲・箏曲 (そうきょく) ・舞曲・編曲・名曲・浪曲」

6. 詩。歌。「春風馬堤曲」

7. 脚本。「戯曲・元曲」

8. 変化のある技巧。「曲技・曲芸」

出典:大辞泉(小学館)「曲」

それぞれの漢字の意味の中には、意外なものもあるのではないでしょうか。「委曲」の「委」は、「細かくてくわしい」、「曲」は、「入りくんで細かい」という意味で使われています。

その他、同様の意味を持つ熟語には、「委細」、「詳細」、「子細」などが挙げられるでしょう。これらの熟語の方が、使われている漢字から、熟語の意味を推測しやすいかと思います。知らなかった熟語があれば、この機会に覚えておきましょう。

「首尾」

「首尾」という言葉も、「一から十まで」の類義語と言えるでしょう。意味は、以下の通りです、

[名](スル)《首と尾、頭と尾の意から》
1. 始めと終わり。始めから終わりまで。終始。「首尾を整える」

2. 物事の成り行きや結果。「事の首尾を説明する」「首尾は上々」

3. 物事がうまくまとまるように処理すること。「会えるようにうまく首尾してやる」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「首尾」

「首尾」の意味は、「始めと終わり。」、「物事の成り行きや結果。」、そこから転じて、「物事がうまくまとまるように処理すること。」です。「首」も「尾」も、具体的なものを表していますから、イメージの付きやすい漢字だと思います。

「首尾」が、「首尾する」という動詞で使われるのは、あまり馴染みがない人もいるのではないでしょうか。今回初めて知ったという人は、この機会に覚えておきましょう。

「一から十まで」の対義語は?

次に、「一から十まで」の対義語を見ていきましょう。とはいえ、「一から十まで」の意味が「何から何まで」ですので、その逆の意味となると「無」になると思います。それでは味気ないので、「一から十まで」の後によく続く、「教える」もしくは「頼る」を含めて、「一から十まで教える」、「一から十まで頼る」という表現の対義語を見ていきましょう。

「習うより慣れよ」

「習うより慣れよ」ということわざは、習わせる(教える)側から見れば「一から十まで教える」の対義語、習う(教えられる)側から見れば「一から十まで頼る」の対義語と言えるでしょう。意味は、以下の通りです。

人に教えられるよりも、自分で経験を重ねたほうが身につく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「習うより慣れよ」

「習うより慣れよ」の意味は、「人に教えられるよりも、自分で経験を重ねたほうが身につく。」です。「一から十まで教える」必要のある人と、「説明を受けるのは程々にして、あとは自分で経験を重ねて慣れて、身につけていく」ような人を比べると、その学習方法は正反対と言えますね。

学習する内容にもよりますが、いくら説明を受けて理解しても、実際に自分でやってみなければ、真の理解には到達できません。試行錯誤を繰り返すことが大切ですね。

\次のページで「「一から十まで」の英訳は?」を解説!/

「一から十まで」の英訳は?

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最後に、「一から十まで」の英訳についても見ていきましょう。

"From one to ten"

「一から十まで」をそのまま英語に訳すと、"From one to ten"となります。これでは単純に、数字としての「1」から「10」という意味になり、「何から何まで」という意味を表すことはできません。

"everything"/"through and through"

「一から十まで」という言葉を、「何から何まで」に変換し、さらにもっと簡単に「全て」とすると、現役中学生でも英訳可能になります。

「全てのこと」という意味を表す、"everything"という単語1つで、「一から十まで」を英訳することができますね。

また、「全て」という意味を表す表現として、"through and through"というものもあります。

「一から十まで」を使いこなそう

この記事では「一から十まで」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一から十まで」という言葉は、「何から何まで。始めから終わりまで。すべて。」という意味ですね。類義語や対義語、英訳も含め、実際の生活で使えるものがあれば使ってみて、使い方を体で覚えるようにしましょう。

「一から十まで」聞かないと分からないこともありますが、それよりも実際にやってみることで、「一から十まで」以上のことを知ることができます。言葉の意味を学習する時も同様で、意味を一通り理解したら、例文を作ってみたり、実際に使ってみるのがおすすめです。そうすれば、より理解が深まるでしょう。

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国語言葉の意味

「一から十まで」の意味や使い方は?例文や類語を元塾講師のWebライターがわかりやすく解説!

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端的に言えば、「一から十まで」の意味は「何から何まで」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾で国語講師を4年間担当し、契約書校正業務を3年以上経験している、ミリーを呼んです。一緒に「一から十まで」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/持木ミリー

今回の記事を担当するのは、塾講師として国語などを4年間担当し、その後契約書作成や校正に3年以上携わっている、Webライターのミリー。間違った日本語に目ざといミリーが、慣用句の意味について、分かりやすく解説していく。

「一から十まで」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一から十まで」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「一から十まで」の意味は?

「一から十まで」には、次のような意味があります。

何から何まで。始めから終わりまで。すべて。「一から十まで人に頼る」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「一から十まで」

「一から十まで」の意味は、「何から何まで。始めから終わりまで。すべて。」です。日常会話でも、よく耳にしたり使ったりする言葉なのではないでしょうか。実際どのように使われるのか、改めて確認してみましょう。

「一から十まで」の使い方・例文

「一から十まで」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 子供の時から、何でも一から十まで説明してもらわないと、理解できないタイプだった。

2. 教科書に書いてるので、わざわざ一から十まで用語を解説してもらわなくてもいいです。要点や補足だけ教えてもらえればいいので。

3. 無駄な失敗をさせるのもどうかと思い、後輩の良くないところは一から十まで指摘していたが、自分で気づかせるきっかけを与えればよかったと、今さら反省している。

4. うちの夫は、料理に関しては何にもできない人なので、一から十までやってあげないといけない。

5. 俺は、料理が全然できないので、その辺は妻に一から十まで頼りきりだ。

「一から十まで」の後に続くのは、「恩を着せる」系統の動詞(教える、説明する、指摘する、など)、や、「恩を着せられる」系統の動詞(頼る、してもらう、など)が、比較的多いですね。

このことから、「一から十まで」が、「すべて」という簡単且つ汎用的な意味であっても、使われるシチュエーションが限られてくることが分かります。

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