
端的に言えば「首をはねる」の意味は「首を切り落とす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
編集経験もあり、ライターを10年経験したコトバアソビに解説を頼もう。一緒に「首をはねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/コトバアソビ
現在は自宅部屋を改装し、数々のプロジェクトにて、首をはねられるのは時間の問題だと悟っているライター。プレミアムな言葉を探しさまよっているが、SNSなどのつぶやきは相変わらずさえない。
音楽・楽曲の制作に一時期のめり込み、動画配信をする。また出版社に自作の書籍を持ち込む勇気ある経験はあるが、編集からダメ出しを食らい、折れた心と自分の才能のなさに自ら首をはねた。
今回は「首をはねる」について分かりやすく解説をする。
「首をはねる」の意味は?
「首をはねる」には、次のような意味があり、辞書にはこう記載されています。
1.刃物を使って首をすっぱりと切断することを意味する語。
出典:実用日本語表現辞典(実用日本語表現辞典 )「首をはねる」
「首(くび)をはねる」とは、刃物などを使い、首を切り落とすことです。「首をはねる」は「死」を意味し、生死の概念では終わりを表します。このことから意味を拡大解釈し、ものごとを無効にするという使われ方をしていますね。首は、そのものも部首の文字で、頭と胴体をつなぐ重要な体の部位です。首をはねることや切断することは、ものごとの根底を断ち切ると捉えられます。
したがってものごとの終わりという意味で「首をはねる」と使いますね。この場合には自分に悪い理由を持ち、相手から言い渡されるという意味を含みます。首をはねるには、首を切り落とす相手(対象・事象)が必要です。
自分に対してもまれですが「自ら首をはねる」と使います。一般的に「首を切る」と同じようだと、混合している人が多いようです。しかし首を切るとは、解雇を意味することに対し、首をはねるのは、解雇を意味しません。
「首をはねる」の語源は?
次に「首をはねる」の語源を確認しておきましょう。
「首をはねる」は、武士の世界で介錯を意味します。この介錯はなぜ存在するのかというと、切腹の際に「苦しまずに済むように」です。首をはねる行為は、死を意味しますが、首をはねる相手に対する思いやりがこもっています。
また「首をはねる」には「死刑にしろ」という意味でも使いますね。時代劇や大河ドラマにて「首をはねよ」と主君が命ずることも数々の作品で観かけます。
「首をはねる」そのものの語源は、古く中国の楚漢戦争の項劉記、それから三国志の記載ですね。しかし両方の物語とも、正史には記述されておらず、のちのちに作られたフィクションです。
ヨーロッパでも中世より「首をはねる」刑は実施されており、こちらの説からモンゴル経由にて伝わった説もあります。日本では鎌倉時代には定着をしており、御成敗式目にて斬首刑が存在しました。武家の社会になり、一般に広まっていますが、死刑にすることや、首を切り落とすことの意味以外では使われなかった慣用句です。
「首をはねる」の使い方・例文
「首をはねる」の使い方の例文を挙げ、みていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.「ええい!さばきを下す。このものの首をはねよ!」
2.歴史上で彼ほどに無念な形で、首をはねられた人はいないだろう。
3.この案件はもう終わりだ。業務がダメダメだ。首をはねて次へ向かうぞ。
4.人気漫画家へインタビューをしたが、まさかのボイスレコーダーを忘れ、首をはねる思いで、何とか掲載までこぎつけた。
5.あなたは刎頸の友だ。あなたに首をはねられても悔いはない。
「首をはねる」はそのまま死刑と意味します。1と2の例文は辞書通りの意味合いです。
3の例文は筆者の体験談ですね。この意味については、近年は用いられるようになりました。したがった多くの辞書には載っておらず、一部の辞書には、ものごとを終わりにするさまや無効にすることと記載しています。今後はうまくいかないであろうものごとを、打ち切る際に使うこともあるでしょう。
4の例文については、終わりにするという意味で使いました。ただ非常にレアケースですね。
5の例文の漢字「刎頚の友」は読み方で(ふんけいのとも)などといいます。首をはねるからできた言葉で、あなたになら首をはねられてもよいぐらいに信頼しているという意味です。
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