
端的に言えば「興に乗る」の意味は「面白そうなことをやる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
編集経験もあり、言葉をあやつるライターとして、10年経験したコトバアソビを呼んです。一緒に「興に乗る」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/コトバアソビ
トキメキを求めるライター。自ら行ったクラウドファンディングの経験から、興に乗る気持ちを確かに覚えている。興味をひかれた言葉について、徹底的に調べることは日課。しかしながら自分のワードセンスのなさを嘆いている。
「興に乗る」の意味は?
「興に乗る」(きょうにのる)には、次のような意味があります。
1.おもしろさにまかせて物事を行なう。
2.おもしろさの勢いにまかせて調子づく。
出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「興に乗る」
「興に乗る」とは、自分が興味を惹かれるようなウキウキとする事象に、心おどり動かされているさまを言い表しています。勢いにまかせてという意味から、勝ち馬に乗るというニュアンスでも使いますね。面白みがあって、夢中になり取り組んでいるさまです。その結果、信頼を勝ち取ったり、効果が出たりと、思い通りになっているという言葉ですね。
「興」とは興ずることから興味と、そのまま理解できます。「乗る」とは、上に乗る動作を示しますね。したがって自由気ままに自分のやりたいことに向かい、行っているさま(がうまくいっている)を表す慣用句です。
ことわざの「玉の輿に乗る」はよく使われますが、意味は似ていても、興に乗るとは別の意味ですよ。興については、一興や興味など、非常に慣用句が多い単語です。「興に乗る」は「調子に乗っているから軽率な」という意味も含み使います。
「興に乗る」を文章としてきれいに成立させるため、誰かが何かをやって結果はどうなったのかを、ハッキリと明示するとよいでしょう。特に興に乗る原因を明示しないと、文章としては成り立ちません。
「興に乗る」の語源は?
次に「興に乗る」の語源を確認しておきましょう。
「興に乗る」は「けふにのる」とひらがなで昔は表記されており、けふの「け」は「此れ」の「此」で、けふの「ふ」は「日」を表しました。「興」の意味は、本日という言葉と、輿の由来である4本の腕で担いだ輿(こし)の意味と、組み合わさった言葉です。
興より「けふ」の方は記述が古く、奈良時代には貴族の間で広まっていました。今日はやる気が起こるぞという表現から「興に乗る」と当て字をして、使われます。輿そのものの乗る意味があり、「乗る」に「乗る」を掛け合わせて、勢い付くさまを言い表した言葉です。
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