この記事では「赤面の至り」について解説する。

端的に言えば赤面の至りの意味は「非常に恥ずかしがること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

小説や記事の執筆など、言葉に多く携わっている中低青黄を呼んです。一緒に「赤面の至り」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/中低青黄

大学生ライター。大学生活を送る傍ら、PR会社にて記事の添削・校正などを担当。また、高校生の頃から小説をはじめとした書籍を多数通読。小説の執筆や記事の作成なども行っている。

「赤面の至り」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「赤面の至り」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「赤面」の意味は?

「赤面の至り」の意味を早速確認していこうと思います。しかし、辞書には「赤面の至り」でなく「赤面」の記載のみしかありませんでした。ですのでまず「赤面」の意味を把握していきましょう。

1.赤い顔面。あからがお。
2.恥じて顔を赤らめること。また、恥じること。「赤面の至り」「おとなげなかったと赤面する」
3.感情が顔に表れて赤くなること。「興奮のあまり赤面する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「赤面」

ます読み方は「せきめん」。面は顔を表しています。それが赤くなっているので、「赤面」という訳なんですね。それでは、3つの意味を順に確認していきましょう。

意味1は赤い顔面。そのまんまですね。日焼けをして赤くなってしまった顔や、お酒を飲んで赤くなった顔がこちらに当たります。それに似ているのが意味3です。こちらはお酒や日焼けなどの外的要因から顔が赤くなる訳でなく、精神的なことを理由に顔が赤くなることを表しています。興奮や怒りによって顔に血がのぼる場合が、この意味3に当たるのです。

感情によって顔が赤くなる中でも、羞恥の感情のみが独立しています。それが意味2です。辞書にも記載がありますが、今回扱う「赤面の至り」はこの意味2の「赤面」を用いた表現。恥ずかしさを表した慣用句だということをまずは押さえておきましょう。

「赤面の至り」の意味は?

これまで「赤面」の意味を確認しました。では「赤面の至り」はどのような意味を持っているのでしょう。

「赤面の至り」の「赤面」は羞恥を表すことを先述しました。それに「至り」を重ねることで意味を強めているのです。「至り」の原型である「至る」の最も一般的な使い方はたどり着くというような意味合いでしょう。それが転じて、「行き着くところまで行く」ような意味を表します。「行き着くところまで行く」というのはつまり、この上ない最上級の強調表現なのです。

つまり「赤面の至り」とは、わかりやすく言えば「この上なく恥ずかしい」になるわけですね。

\次のページで「「赤顔の至り」の使い方・例文」を解説!/

「赤顔の至り」の使い方・例文

「赤面の至り」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.間違った雑学を得意気に人前で披露してしまった……。赤面の至りだ。
2.あの頃の私は未熟で、至らないところばかり。今思うと赤面の至りである。

「赤面の至り」は自分の過去、とくに失敗などに対して恥じ入る時に使う慣用句です。何か正しくない行動をしてしまい、それに対して「赤面の至り」という状態だということを記述しています。ですから、「赤面の至り」が登場する文章においては、その対象となる失敗が描かれていることが必須となるのです。もちろん今回記載した例文においてもその構造は現れています。

例文1をご覧ください。「赤面の至りだ」と2文目に記載がありますが1文目にはその原因となる事象が記載されています。「間違った雑学を得意げに人前で披露してしまう」というのは紛れもなく恥じ入るべき失態でしょうから。

続いて例文2。こちらは具体的なエピソードを記している訳ではありませんが、昔の自分自身を「至らなかった」と評価して、それに対して恥じている訳ですから、同様に「赤面の至り」を用いられる場面だと解することができます。

「赤面の至り」の類義語は?違いは?

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「赤面の至り」は、極めて恥ずかしい思いをした際に用いられる表現だということはお分かりいただけたかと思います。では、その類義語にはどのような言葉があるのでしょうか。確認していきましょう。

「汗顔の至り」

読み方は「かんがんのいたり」。こちらも「赤面の至り」と同様に「至り」という言葉がついている表現です。汗顔とはつまり、文字通り「汗をかいている顔のこと」。焦ったとき、あるいは恥ずかしい時に人は嫌な汗をかきます。それはもちろん顔にも。それが「汗顔」なわけで、さらには「至る」という強調表現を用いることで「恥ずかしい限りだ」という意味を表しているのです。

この慣用句はたとえば、「緊張のあまりプレゼンで商品名を間違って発表してしまい、肝癌の至りです」などのように用いることができます。ただ、こちらは「赤面の至り」とは違い、褒められた際にも用いることができるのです。褒められた時に、嬉しくとも居心地の悪い思いをしたことはないでしょうか。そこから派生してそのようにも用いられる、というわけですね。

\次のページで「「穴があったら入りたい」」を解説!/

「穴があったら入りたい」

こちらも大いに恥ずかしさを感じた際に用いられる表現です。「賈誼新書」に「季孫これを聞きて慙ぢて曰く、穴をして入るべからしめよ、吾豈宓子を見るに忍びんや、と」と記載があったことから生まれた表現であると言われています。

恥ずかしい思いをした際に、「いますぐここから立ち去りたい」あるいは「せめて人から見えないところに身を隠したい」と思ってしまうこともあるでしょう。それを「穴に入りたい」と表現しているのですね。

「赤面の至り」の対義語は?

それでは反対に、「赤面の至り」の対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。確認しましょう。

「誇らしい」

何がしかの自慢できることに対して、自信を持つことを表す「誇る」を転じた表現である「誇らしい」。自信に満ち溢れているような印象を与えることができます。

ただ「誇る」と表現してしまうと、素晴らしいことを他人に対して訴えかけているようないやらしい印象を与えてしまいますが、「誇らしい」に関してはそのようなことはありません。自慢できることに対して満足げな気分になっている状態そのものを表すので、当人のみで完結しているからです。

また、「誇らしい」は当人の行った事柄だけでなく、近しい人物の行動に対しても使えます。たとえば「息子が全国大会に出場した。私は親としてこのことを誇らしく思う」などと使えるわけですね。

「自慢たらしい」

「誇らしい」の対義語として扱われる「自慢たらしい」。こちらはやや「誇らしい」よりも押し付けがましい印象があります。「自慢たらしい」の意味は「いかにも自分を誇るようであること」

つまり、「誇っている」心情が自身のみで完結している「誇らしい」と異なり、こちらの表現は、その様子が周囲に対しても「あ、この人自慢げだなぁ」と受け取られていることまで含めた表現なのです。そもそも「たらしい」という表現はマイナスな意味合いを含むことがほとんど。「未練たらしい」「嫌味たらしい」などですね。それらも合わせて覚えておくといいかもしれません。

「至り」を用いたビジネス表現

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「赤面の至り」もそうですが、「至り」を用いた慣用句はやや硬い表現になります。ですから、ビジネスシーンにおいて用いられることがしばしばです。なので最後に、「至り」を用いたビジネス表現について解説したいと思います。

「幸甚の至り」

読み方は「こうじんのいたり」です。「幸甚」とは「この上ない幸せ」など、最上級の幸せを表す表現。それがさらに「至り」で強調されているのですから、どれだけ幸せなんだという感じですね。

この表現は、基本的に「もしそれをしてくれたなら、とてもありがたいです」というような意味合いで使われます。要するに、何がしかの要求を先方に行う際に「やってください!」だけだと不躾(ぶしつけ)なので、「それをしてくれたら幸いです」というような、柔らかい表現にしているわけです。こちらは目下の者には使わず、目上の方にのみ使用する表現となります。

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「同慶の至り」

読み方は「どうけいのいたり」。「慶事」という言葉をご存知でしょうか。慶事とはつまり、「おめでたいこと」「それをあなたと同様に喜んでいますよ」と表す表現が、「同慶の至り」というわけです。

こちらの表現は日常的に使われないため、あまり馴染みがないかと思います。企業などの組織に対して喜ばしいことが起こった際に使用するかなりかしこまった表現であるということをしっかり覚えておくといいかもしれません。

ただ、近年結婚や昇進に対して使用されることもあり、段々と敷居が低くなっているきらいもありますので、どのように使用されているかをつぶさに観察しつつ使うといいのではないでしょうか。

「赤面の至り」を使いこなそう

この記事では「赤面の至り」の意味・使い方・類語などを説明しました。こちらは受験のみならず、社会に出た際にも使用される表現ですので、しっかり把握して、使えるようにしておきましょう。

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【慣用句】「赤面の至り」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「赤面の至り」について解説する。

端的に言えば赤面の至りの意味は「非常に恥ずかしがること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

小説や記事の執筆など、言葉に多く携わっている中低青黄を呼んです。一緒に「赤面の至り」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/中低青黄

大学生ライター。大学生活を送る傍ら、PR会社にて記事の添削・校正などを担当。また、高校生の頃から小説をはじめとした書籍を多数通読。小説の執筆や記事の作成なども行っている。

「赤面の至り」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「赤面の至り」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「赤面」の意味は?

「赤面の至り」の意味を早速確認していこうと思います。しかし、辞書には「赤面の至り」でなく「赤面」の記載のみしかありませんでした。ですのでまず「赤面」の意味を把握していきましょう。

1.赤い顔面。あからがお。
2.恥じて顔を赤らめること。また、恥じること。「赤面の至り」「おとなげなかったと赤面する」
3.感情が顔に表れて赤くなること。「興奮のあまり赤面する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「赤面」

ます読み方は「せきめん」。面は顔を表しています。それが赤くなっているので、「赤面」という訳なんですね。それでは、3つの意味を順に確認していきましょう。

意味1は赤い顔面。そのまんまですね。日焼けをして赤くなってしまった顔や、お酒を飲んで赤くなった顔がこちらに当たります。それに似ているのが意味3です。こちらはお酒や日焼けなどの外的要因から顔が赤くなる訳でなく、精神的なことを理由に顔が赤くなることを表しています。興奮や怒りによって顔に血がのぼる場合が、この意味3に当たるのです。

感情によって顔が赤くなる中でも、羞恥の感情のみが独立しています。それが意味2です。辞書にも記載がありますが、今回扱う「赤面の至り」はこの意味2の「赤面」を用いた表現。恥ずかしさを表した慣用句だということをまずは押さえておきましょう。

「赤面の至り」の意味は?

これまで「赤面」の意味を確認しました。では「赤面の至り」はどのような意味を持っているのでしょう。

「赤面の至り」の「赤面」は羞恥を表すことを先述しました。それに「至り」を重ねることで意味を強めているのです。「至り」の原型である「至る」の最も一般的な使い方はたどり着くというような意味合いでしょう。それが転じて、「行き着くところまで行く」ような意味を表します。「行き着くところまで行く」というのはつまり、この上ない最上級の強調表現なのです。

つまり「赤面の至り」とは、わかりやすく言えば「この上なく恥ずかしい」になるわけですね。

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