
端的に言えば牛の涎の意味は「長く続くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
編集経験もあり、雑誌取材のライターに就き、10年経験したコトバアソビを呼んです。一緒に「牛の涎」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/コトバアソビ
夢に向かい商いは牛の涎という格言を信じているライター。フリーランスの記者と側面を持ち、数々の上場企業の成功者にインタビューをしている。株式会社の設立や、投資のネットニュースのチェックに余念がない。今回は「牛の涎」を分かりやすく、使える方法を解説する。
「牛の涎」の意味は?
「牛の涎」には、次のような意味があります。
1.だらだらと細く長く続くことのたとえ。
2.牛の小便。
出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「牛の涎」
牛の涎とは、たとえ話から誕生した言葉で、牛の涎のように長く続くさまを示します。絶え間ないや惜しみない努力とも受け取れ、継続することの重要性を説いた言葉です。
「牛の涎」としても慣用句で、ことわざの「商いは牛の涎」という言葉は有名ですね。商売はいきなり成功することでなく、続けることによって成功する意味です。牛の涎を使った文学作品は数多くあり、多くはネガティブなイメージで、だらだらと続くさまを意味します。
「牛の涎」の語源は?
次に「牛の涎」の語源を確認しておきましょう。
「牛の涎」として、記述が残っているのは、明治に入ってからです。ただし古くは、稲作の伝来以降、牛は農耕には欠かせない生き物で、人々は牛を神として崇めました。
「涎」は「よだれ」として平安時代には、使われています。「唾」と「涎」の差も明確で、唾は自分から意図的に出すもので、古くは「つばき」と記述され、対して「涎」は「よだり」から「よだれ」になり「自然と流れ落ちる口からの液」という言葉です。
2つの意味を合わせると「牛の涎」は本来、神聖な授かりものを意味し、意図していない自然的な摂理と捉えられます。
「商いは牛の涎」と紐づいたのは、意図的でしょう。商いは「飽きない」よりできた言葉で、飽きないことを続けることから「商いは牛の涎」と、付けたという説が有力です。
しかし前述のように「牛の涎」が神聖ならば「牛の涎」は、神からのプレゼントですね。そこから牛の涎とは、絶え間ない努力により、勝ち得たことの例えと推論できます。
「牛の涎」の使い方・例文
「牛の涎」の使い方を見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.メディアなどにたびたび取り上げられるようになった、東京都新宿区の焼肉のフルコースがおいしい飲食店。オーナーは言う「商いは牛の涎」だと。コース料理には牛タンをはじめとして、カルビ、ロース、ハラミなどが盛り沢山だ。新鮮なレバーやホルモンの盛り合わせもぜひ食べてほしい。
2.この先生の授業は、本当につまらないね。居眠りをする学生も多い。まるで牛の涎のようだな。
3.試行錯誤の上に作った公式ホームページ。それに紐づいているSNSのフォロワーが、ついに10,000人を突破しました。ロゴ画像制作や地道なツイート、アカウントのフォローなどの、牛の涎なる作業を行い、やっとで掴んだ結果です。
1の例文は取材した飲食店の話です。店舗ビルの営業開始を広報と宣伝するための、プレスリリースを担当しました。「商いは牛の涎」で「商売の成功のコツは、長く細々と、努力を惜しまず続けること」として成立していることわざです。
2の例文「牛の涎」は、教授の延々としゃべるさまを現しています。このようなニュアンスでも使いますね。
3の例文はこの牛の涎と相性のよい四字熟語が入っています。「試行錯誤」です。一緒に使うと、「牛の涎」の意は理解をされやすいため、セットで小説に使われるケースは多いですよ。「牛の涎」だけだと理解できない人はいますが、試行錯誤という過程が入ると、よりきれいに文章がまとまります。
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