

端的に言えば美人局の意味は「男女関係をネタにしてゆすること」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んだ。一緒に「美人局」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/eastflower
今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「美人局」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。
「美人局」の意味は?
それでは、「美人局」の辞書の意味を見ていきましょう。
1. 夫婦または内縁の男女が共謀して、女が他の男と密通し、それを言いがかりとしてその男から金銭などをゆすり取ること。
2. なれあい間男。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「美人局」
「美人局」と書いてどうして「つつもたせ」と読めるんだ?と疑問に思われた方も多いのではないでしょうか?確かに、そのまま読んでいくと、「びじんきょく」になりますし、日本史の知識を駆使して読んだとしても「びじんのつぼね?」くらいで、「美人な女官のこと?」などと想像する人がいるかもしれませんね。
それもそのはず、「美人局」は、中国語の漢字の表記で、この手法の詐欺(さぎ)を中国では、「美人局」と呼んでいたのです。一方、日本では、この手の詐欺を「筒持たせ」(つつもたせ)と呼んでいました。ですから、「美人局」(つつもたせ)は、漢字は、中国由来のものが使われるようになり、一方で呼び方だけは日本で使われてきた「つつもたせ」が残ったというわけです。言い方を変えると、「つつもたせ」と呼ばれる詐欺の手段に対して、中国語の「美人局」という漢字をあてたというふうにも言えるでしょう。
「美人局」の語源は?
次に「美人局」の語源を確認しておきましょう。
どうして日本では、男性と女性が共謀して言いがかりをつける詐欺を「つつもたせ」というようになったかと言えば、博打(ばくち)用語から来たのではないかという説があります。
時代劇、特に江戸の町を舞台とするドラマは数多くありますが、その中でよく登場するのが、賭場(とば)のシーンです。賭場というのは、不定期、非合法に開かれるギャンブル場のことで、ドラマででてくるのは、だいたいが夜のシーンですね。入り口に参加費用を徴取する男が座っていて、中へ入ると数人、時には十数人が白い布がかぶせられている2畳くらいの台を囲んでいますね。中心には、壺振り(つぼふり)と呼ばれるゲームの親が、半身裸で片手に竹製で編んだとと思われる筒を持ち、もう片方の手では、二つのサイコロを手にしています。
壺を開けたときに、二つのサイコロの和が「奇数」なのか「偶数」なのかを賭けるギャンブルだったのです。時には、「いかさま」と言われる細工がされていたこともあったと言われていて、「詐欺」(さぎ)や「恐喝」(きょうかつ)などの犯罪の要素もあったことから、「美人局」も賭場で使われていた筒(壺)から派生したのではないかと言われています。
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