
膵臓の疾病

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近年、膵臓の病気が増加傾向にあると言われているため、最後に代表的な膵臓の疾病について説明します。膵臓の代表的な病気は糖尿病、膵炎、膵臓癌です。これは生活習慣病の増加と同様で、食生活の欧米化によって肉類や脂肪分の摂取が多くなったことや、アルコールの摂取が大きな原因となっていると言われています。
糖尿病はみなさん聞いたことがあるのではないでしょうか。2015年に行われた成人の糖尿病有病率の調査では、日本人の11人に1人が糖尿病の有病者と推定されています。糖尿病を発症する原因の一つは、膵臓の内分泌機能が低下しインスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌が低下したり、分泌されなくなることです。インスリンが分泌されないことで、細胞に糖を取り込むことができなくなりエネルギー不足になったり、血液中の糖の濃度が高い事で様々な合併症を生じます。
膵炎と膵臓癌

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膵臓が炎症を起こす病気が膵炎です。膵炎は急性膵炎と慢性膵炎に分けられ、急性膵臓では膵臓が急激に炎症を起こして消化酵素が自分自身を消化してしまい、激痛や下痢、嘔吐を起こします。そして最悪の場合多臓器不全となり死に至る場合もあるそうです。慢性膵炎は、炎症が長期にわたることで膵臓が線維化して、膵臓全体の機能が衰えていきます。
最後は膵臓癌です。膵臓癌は増加傾向にあり、2018年の臓器別がん死亡率では膵臓癌が第4位で日本全国で1年間に約41,000人が膵臓癌と診断されています。膵臓癌は発見が難しいため早期治療が難しく、さらに癌の進行や再発率も高いため、膵臓癌は死亡率の高さが問題とされているのです。
最強消化酵素「膵液」と膵臓の病気
今回は「膵臓とトリプシン」をテーマに、膵臓の構造や機能、膵臓が分泌する膵液の成分や消化酵素の活性調整、さらには近年増加傾向にある膵臓の病気について説明しました。膵液はトリプシンなどの強い消化酵素を含む消化液でした。自分自身を消化しないようにするための仕組みにはヒトの身体の仕組みの緻密さ、奥深さを感じますね。
膵臓は肝臓とともに「沈黙の臓器」とも呼ばれています。ある程度病気が進行しないと自覚症状がないことが多く、お腹の奥まった部分にあるため異常があっても検査で発見しにくいのです。膵臓の病気の主な原因は生活習慣と言われています。脂肪分の多い食事や暴飲暴食、飲酒、喫煙、過労やストレスは、膵臓病の危険因子です。ぜひこの機会にご自身の膵臓の健康にも目を向けてみてくださいね。