
端的に言えば「頭を下げる」の意味は「詫びる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
編集経験もあり、言葉の研究家とライターを10年経験したコトバアソビを呼んです。一緒に「頭を下げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/コトバアソビ
元某有名企業のお客様クレーム処理係にいた経験から、頭を下げることを人一倍はしているライター。謝罪することに慣れずぎているが故に、無料会員登録のご案内の電話にも「すみません…」と頭を下げて返していた。今回は「頭を下げる」を分かりやすく解説をする。
「頭を下げる」の意味は?
「頭を下げる」には、辞書にて次のような意味があります。
1.おじぎをする。かしらをさげる。
2.自分が下位であることを認める態度をとる。相手に物を頼む時に使われることが多い。へり下る。下手(したて)に出る。
3.相手がすぐれていることを認める態度をとる。感心する。
出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「頭を下げる」
「頭を下げる」とはお辞儀をする意味です。また謝罪の意を表明する言葉ですね。頭を下げる思いなどと使うと、相手の行動や活動に対して敬意を表する意味もあります。
同じような慣用句として「頭が下がる」がありますが、こちらは敬意などを主に表す意味で使いますね。一般的に「頭を下げる」用いられるのは、お辞儀をする行為を言い表すことや、謝罪の意味が多いです。またへりくだって相手に尊敬、感謝を示す行為を示します。
「頭を下げる」の語源は?
次に「頭を下げる」の語源を確認しておきましょう。
「頭を下げる」語源は、お辞儀です。西暦の500年頃に中国から伝わりました。日本では数々の際にお辞儀を用い、日常的に「おはよう」や「こんにちは」「ありがとうございます」などで、使うようになったのは、江戸時代だと記載されています。
頭を下げる行為は、位の高い人に対して日常的に、貴族の間では行われていました。天皇に対しては、謁見の場にて入室する際には頭を下げ、顔を見せないことが通例です。したがって「頭を下げる」そのものの概念は、古くから存在しました。
武士の社会になり、朝廷にならう形にて、家来は武将(もしくは従者)が一言を発するまで、頭を上げないことが当たり前のマナーです。ここから交渉ごとなどには、相手に敬意を表する意味で、頭を下げた状態にて相手を待つことが一般的でした。
日本人の独特の文化で、中国から伝わった概念ですが、中国でもこれほど頭を下げることはしません。
「頭を下げる」の使い方・例文
「頭を下げる」の使い方の例文を見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.「礼!」と号令がかかり、来賓が祝辞を述べるために、壇上に付き、みんなは頭を下げる。「直れ!」の号令で元に戻る。
2.配送した商品に欠陥があったらしく、関係者に対して深く頭を下げた。
3.友人の女性と一緒にいるところを彼女に見られ、問い詰められて頭を下げるが、当然許してはもらえず、しばらく音信不通になった。
4. 「さすが○○君の作った、検索履歴を設定する機能の診断プログラムのレベルは違うねぇ」と上司の彼は、私に頭を下げる。
5. 今回、展示施設の設置のプロジェクトについて、同僚には世話になりっぱなしだが、私のプライドにかけて、彼に頭を下げるのだけはできない。
1の例文は、お辞儀をすると言う本来の意味通りの使い方です。頭を下げる礼は、帽子がないときにする敬礼。警察官などが制帽を被ってする敬礼は、この頭を下げる行為を代用したものですね。なぜならば制帽を被っている際には、職務中でいつ何時ことが起こるか分からないため、常に頭を上げて視線を落とさないことが大事だからです。
2の例文は、こちらに非があったことを素直に認める言葉として使用します。3の例文は筆者の体験談。わびる行為を「頭を下げる」と言います。
4の例文は、上司からの敬意を表する意味です。検知機能の設定にて、プログラム開発に貢献したときの会話を再現しています。おだてる状況やたたえる状況、表彰するなどの状況にて、目上の人であっても頭を下げることがありますね。「おかげさまで○○」などと、お客からでも頭を下げることが、まれにあります。
5の例文は、ニュアンスが異なる使い方です。「頭を下げるわけにはいかない」と言い、あいつにだけは負けたくない意志と用います。
「頭を下げる」の類義語は?違いは?

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ここからは「頭を下げる」の関連するワードの類義語を見ていきましょう。準拠している用途の幅広い言葉だけに、類義語は多いです。
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