この記事では「遊説」について解説する。

端的に言えば遊説の意味は「演説をして回る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「遊説」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「遊説」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「遊説(ゆうぜい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「遊説」の意味は?

「遊説」には、次のような意味があります。

意見や主張を説いて歩くこと。特に、政治家が各地を演説して回ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「遊説」

「遊説(ゆうぜい)」とは、意見や主義を説きながら回る様子を指す言葉。日本では政治家の各地の演説や、政党が主義主張を唱えてまわる際に用いられます。この「遊」は、“歩き回る”という意味。娯楽などで“遊ぶ(あそぶ)”の意味とは異なります。

なお「遊説」は「ゆうぜい」と読む言葉です。ゆうせつなどと読むのは誤りのため、読み方には注意しておきましょう。

「遊説」の語源は?

次に「遊説」の語源を確認しておきましょう。遊説の由来は古代中国にあります。

古代中国には、君主である天子から領土を分け与えられ、その領土を支配する諸侯が各地にいました。この各地の諸侯をめぐり訪ね、考えを説いて歩き回ることを遊説と言いました。古代にはもちろん、現代のような便利なネット文明などありません。そのため人から人への情報伝達や、なにかを伝えたい時はは直接赴いて口頭で言う必要があったのです。

この様子が転じて、日本ではとくに、政治家が各地で主義や主張を唱えてまわる意味になりました。

\次のページで「「遊説」の使い方・例文」を解説!/

「遊説」の使い方・例文

「遊説」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.選挙候補者たちは、有権者の票を集めるべく地方や農村にまで赴いて遊説しているようだ。
2.龍野周一郎の『板垣退助演説旅行随行日記』には、自由党総理の板垣退助が東京を出発して地方の遊説を行った様子が詳細に記されている。
3.あの党首は各地の候補者を応援すべく、昨日は高知、今日は大阪と京都、明日は名古屋へ行くコースらしい。日程を見るだけで大変そうだ。
4.最近の選挙戦では、各党の党首の遊説距離もニュースで公表されている。与野党の党首らも支持を得るため、あちこち飛行機や自動車で移動しては全国を巡っているようだ。
5.人気の党首が地方遊説にやってくると聞き、会場には有権者が集まり非常に注目を浴びた。
6.平和の理念を掲げ、その国際財団はヨーロッパへの遊説を来月実施することにしたそうだ。
7.海外の有名な思想家が、アジアへの遊説活動の一環として羽田空港に降り立った。

遊説とは、主張や主義を説いて回ること。日本では政治家が各地を演説する言葉として用いられます。そのため、例文1~5のように選挙活動の際や選挙のニュースなどで用いられることが多いです。

また、とくに国内の政治に向けてだけではなく、例文6や7のように世界規模の動きや海外の選挙活動についても「遊説」という言葉を使います。

「遊説」の類義語は?違いは?

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続いて、「遊説」の類義語表現についても解説します。

「弁論」

「弁論(べんろん)」とは、“大勢の前で意見を述べる”こと。現代では弁論大会なども行われています。人に対し、自分の主義や主張を述べる、という点で「遊説」とも似た意味を持った言葉です。

ただし「遊説」とは異なり、“各地を歩き回る”という意味は含まれておらず、特に政治のシーンに多くみられる言葉でもありません。使い分けやニュアンスの違いは抑えておきましょう。

\次のページで「「漫遊」」を解説!/

「漫遊」

「漫遊(まんゆう)」とは、“気の向くままに各地を巡って旅をする”こと。ここでの「遊」は遊説同様“歩き回る”の意味を持ちます。各地で主張を説いて回る「遊説」に対し、“各地を回る”という点では同様の意味を含んだ言葉です。

ただし意味合いからわかるように、「漫遊」は“説く”という意味は含まれず、政治の演説などで用いる言葉ではありません。さらに、“気の向くままに”という点でも、気楽なニュアンスを含んでおり、言葉の持つイメージも異なります。

それぞれ言葉を使い分けられるよう、意味は正確に抑えておくのがおすすめです。

「遊説」の英訳は?

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最後に「遊説」の英語表現についても確認しておきましょう。

「go on a stumping tour」

「go on a stumping tour」とは、“選挙候補者が各地の政治演説を行う”という意味の英語表現。「go on」“行く”という意味、「stump」はアメリカ英語で“(選挙の)演壇”や“演説会”という意味を持っているため、主にアメリカの選挙活動において使われる言い回しです。

まさに日本における「遊説」の意味となっているので、英語で伝えたい時にも便利な表現と言えるでしょう。

「canvass」

「canvass」とは、“(投票や支持などを)依頼して回る”という意味を持つ英単語。“遊説する”という意味でも用いられます。“キャンバス”の意味を持つ「canvas」とは異なる単語なので、注意しましょう。端的に英単語として「遊説」を表現したい際には、「canvass」という英単語のみで表現することも可能です。文脈に応じて適宜使えるようにしておくといいでしょう。

なお動詞として使う「canvss」は上述のような意味ですが、名詞としては“選挙運動”や“世論調査”という意味も持っています。

「遊説」を使いこなそう

この記事では「遊説」の意味・使い方・類語などを説明しました。

政治ニュースなどで目や耳にする言葉ではありますが、意味や読み方を聞かれると曖昧な人も多いと言われる言葉です。正しい意味を抑えたうえで、正確に使えるようにしておきましょう。

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国語言葉の意味

「遊説」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「遊説」について解説する。

端的に言えば遊説の意味は「演説をして回る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「遊説」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「遊説」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「遊説(ゆうぜい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「遊説」の意味は?

「遊説」には、次のような意味があります。

意見や主張を説いて歩くこと。特に、政治家が各地を演説して回ること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「遊説」

「遊説(ゆうぜい)」とは、意見や主義を説きながら回る様子を指す言葉。日本では政治家の各地の演説や、政党が主義主張を唱えてまわる際に用いられます。この「遊」は、“歩き回る”という意味。娯楽などで“遊ぶ(あそぶ)”の意味とは異なります。

なお「遊説」は「ゆうぜい」と読む言葉です。ゆうせつなどと読むのは誤りのため、読み方には注意しておきましょう。

「遊説」の語源は?

次に「遊説」の語源を確認しておきましょう。遊説の由来は古代中国にあります。

古代中国には、君主である天子から領土を分け与えられ、その領土を支配する諸侯が各地にいました。この各地の諸侯をめぐり訪ね、考えを説いて歩き回ることを遊説と言いました。古代にはもちろん、現代のような便利なネット文明などありません。そのため人から人への情報伝達や、なにかを伝えたい時はは直接赴いて口頭で言う必要があったのです。

この様子が転じて、日本ではとくに、政治家が各地で主義や主張を唱えてまわる意味になりました。

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