
「迦陵頻伽」の語源は?
次に「迦陵頻伽」の語源を確認しておきましょう。
「迦陵頻伽」というのは梵語(サンスクリット語)のkalaviṅka(カラヴィンカ)の音に漢字をあてたものです。元々は仏教から由来しています。仏典では上半身が美しい女性、下半身が鳥の姿で大変な美声の持ち主とされていますが、西洋のセイレーン、あるいはハーピーと似た設定ですね。セイレーンやハーピーと異なるのは、「迦陵頻伽」の美しい声は人を惑わすためのものではない、という点です。「迦陵頻伽」の声は仏の声ともされ、大変に尊ばれています。
実物の迦陵頻伽を目にすることは叶いませんが、日本では芸術作品や史跡で触れることが可能です。京都市東山区の知恩院三門(国宝)では天井に「迦陵頻伽」が描かれており、2019年の非公開文化財の特別公開時にはその極彩色の美しさで大きな注目を集めました。熊本県の八代市で行われる八代妙見祭では、塩屋町から笠鉾迦陵頻伽が出されます。八代妙見祭はユネスコの無形文化遺産にも登録されていますので、是非とも足を運んで見学してくださいね。そのほか曼荼羅にもよく登場しますので、博物館等でも見ることができるでしょう。
「迦陵頻伽」の使い方・例文
「迦陵頻伽」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.彼女の甘く切ない歌声は、「迦陵頻伽」が現世に現れたようだった。
2.あの少女は容姿も優れているし、歌声も素晴らしい。このコンテストきっての「迦陵頻伽」だったよ。
3.なんという美声の持ち主だ。「迦陵頻伽」も形無しだぞ。
現代では宗教的な話題にならない限りは、主に「歌の上手な人」「素晴らしい歌声」の例えとして登場する機会が多いですね。「迦陵頻伽」を使用する場合には必ず声を称賛しますが、例文2のように容姿が優れている、というニュアンスを含むこともあります。
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