この記事では「迦陵頻伽」について解説する。

端的に言えば迦陵頻伽の意味は「極楽浄土にいるという、想像上の鳥」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んです。一緒に「迦陵頻伽」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/white_sugar

文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。

「迦陵頻伽」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「迦陵頻伽」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「迦陵頻伽」の意味は?

「迦陵頻伽」は普段、あまり頻繁に使わない漢字が使われていますね。読み方は「かりょうびんが」です。「迦陵頻伽」には、次のような意味があります。

1.美しい声のたとえ。また、声の非常に美しいもののたとえ。
2.ヒマラヤ山中にいる想像上の鳥の名で、まだ殻にあるときに美しい声で鳴くともいい、極楽浄土にすみ、比類なき美声で鳴く想像上の鳥ともいう。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「迦陵頻伽」

声が美しいもののたとえ。とても美しい声で鳴くという想像上の鳥の名前。ヒマラヤ山中、あるいは極楽浄土にすむという。

 

出典:大辞泉(小学館)「迦陵頻伽」

「迦陵頻伽」は大変声の美しい人、さらに言えば歌が上手な人を称賛するときに例えとして使われます。外見も美しいのですが、容姿のみを褒めるときには「迦陵頻伽」とは言いませんね。

「迦陵頻伽」の別称は「妙音鳥(みょうおんちょう)」。「妙」は「奇妙」という意味ではなく「妙(たえ)なる」の方です。やはり美声にスポットを当てた呼び方ですね。ただし、ゲームやマンガ・アニメで登場するときは美声の持ち主であると同時に、美女・美少女の姿で描かれることが多いようです。

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「迦陵頻伽」の語源は?

次に「迦陵頻伽」の語源を確認しておきましょう。

「迦陵頻伽」というのは梵語(サンスクリット語)のkalaviṅka(カラヴィンカ)の音に漢字をあてたものです。元々は仏教から由来しています。仏典では上半身が美しい女性、下半身が鳥の姿で大変な美声の持ち主とされていますが、西洋のセイレーン、あるいはハーピーと似た設定ですね。セイレーンやハーピーと異なるのは、「迦陵頻伽」の美しい声は人を惑わすためのものではない、という点です。「迦陵頻伽」の声は仏の声ともされ、大変に尊ばれています。

実物の迦陵頻伽を目にすることは叶いませんが、日本では芸術作品や史跡で触れることが可能です。京都市東山区の知恩院三門(国宝)では天井に「迦陵頻伽」が描かれており、2019年の非公開文化財の特別公開時にはその極彩色の美しさで大きな注目を集めました。熊本県の八代市で行われる八代妙見祭では、塩屋町から笠鉾迦陵頻伽が出されます。八代妙見祭はユネスコの無形文化遺産にも登録されていますので、是非とも足を運んで見学してくださいね。そのほか曼荼羅にもよく登場しますので、博物館等でも見ることができるでしょう。

「迦陵頻伽」の使い方・例文

「迦陵頻伽」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女の甘く切ない歌声は、「迦陵頻伽」が現世に現れたようだった。
2.あの少女は容姿も優れているし、歌声も素晴らしい。このコンテストきっての「迦陵頻伽」だったよ。
3.なんという美声の持ち主だ。「迦陵頻伽」も形無しだぞ。

現代では宗教的な話題にならない限りは、主に「歌の上手な人」「素晴らしい歌声」の例えとして登場する機会が多いですね。「迦陵頻伽」を使用する場合には必ず声を称賛しますが、例文2のように容姿が優れている、というニュアンスを含むこともあります。

「迦陵頻伽」の類義語は?違いは?

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「迦陵頻伽」の類義語をや別称を見ていきましょう。

\次のページで「「妙音鳥」「好声鳥」「逸音鳥」「妙声鳥」」を解説!/

「妙音鳥」「好声鳥」「逸音鳥」「妙声鳥」

これらはいずれも「迦陵頻伽」の別称とされています。主に仏典に登場する架空の鳥を指すものです。美しい歌声や歌の上手な人を褒めたたえるシーンでの使用頻度は「迦陵頻伽」に遠く及びません。

「迦陵頻」

「迦陵頻伽」から「伽」の文字が抜け落ちてしまっただけに見えますが、こちらは雅楽の演目です。もちろん題材は極楽に住む「迦陵頻伽」。白塗りの厚化粧をした童子が躍るのが原則ですが、神社で催される場合は巫女が舞人を務めることもあります。

「迦陵頻伽」の対義語は?

「迦陵頻伽」はそもそも架空の霊鳥です。設定として対になるような生物(?)も特にいません。少し無理がありますが、あえて紹介するならば…という観点でピックアップしました。

「音痴」

辞書的な意味の対義語ではありませんが、最もシンプルなワードは「音痴」でしょう。「音痴」の場合、元々の声質は問わず音程の調子が取れていない点にスポットが充てられていますね。

「迦陵頻伽」の英訳は?

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「迦陵頻伽」は仏教由来の用語ですから、ずばりと表す英語はありません。強いて言えばサンスクリット語を使ってKalaviṅka,imaginary bird in paradise that sings sweet notes のように説明的な訳になるでしょう。

「diva」「prima donna」

「diva」、「prima donna」はオペラの主役を張れる女性歌手のことです。当然、とても声が美しく、歌が上手という意味を持っています。しかし、どちらの単語も使い方に注意が必要です。

「diva」には女王様気質で感じの悪い女性、「prima donna」は何でも自分の思い通りにいかないと機嫌を損ねたり、ちやほやされないと気が済まない人(悪口の「prima donna」は男性にも使います)というスラング的な意味があります。誤解を招きかねないので、初対面の人に使うのは避けたほうがよさそうですね。

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「angel」や「goddess」を使う

「angel」(天使)や「goddess」(女神・美しい人)を使うと基本的に褒めていると受け取ってもらえます。以下に例文を挙げますが、このような言われ方をして悪い気がする人はいないでしょう。

1.She has the angel voice.
(彼女は天使の声を持っているね。)

2.You are the very goddess of song!
(君こそが歌の女神だ!)

「迦陵頻伽」を使いこなそう

この記事では「迦陵頻伽」の意味・使い方・類語などを説明しました。なかなか使用機会が限られますが、ちょっとカッコイイ言葉なので、さらりと口にできると「おおっ!」と思ってもらえるかもしれませんよ。

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【四字熟語】「迦陵頻伽」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「迦陵頻伽」について解説する。

端的に言えば迦陵頻伽の意味は「極楽浄土にいるという、想像上の鳥」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んです。一緒に「迦陵頻伽」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/white_sugar

文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。

「迦陵頻伽」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「迦陵頻伽」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「迦陵頻伽」の意味は?

「迦陵頻伽」は普段、あまり頻繁に使わない漢字が使われていますね。読み方は「かりょうびんが」です。「迦陵頻伽」には、次のような意味があります。

1.美しい声のたとえ。また、声の非常に美しいもののたとえ。
2.ヒマラヤ山中にいる想像上の鳥の名で、まだ殻にあるときに美しい声で鳴くともいい、極楽浄土にすみ、比類なき美声で鳴く想像上の鳥ともいう。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「迦陵頻伽」

声が美しいもののたとえ。とても美しい声で鳴くという想像上の鳥の名前。ヒマラヤ山中、あるいは極楽浄土にすむという。

 

出典:大辞泉(小学館)「迦陵頻伽」

「迦陵頻伽」は大変声の美しい人、さらに言えば歌が上手な人を称賛するときに例えとして使われます。外見も美しいのですが、容姿のみを褒めるときには「迦陵頻伽」とは言いませんね。

「迦陵頻伽」の別称は「妙音鳥(みょうおんちょう)」。「妙」は「奇妙」という意味ではなく「妙(たえ)なる」の方です。やはり美声にスポットを当てた呼び方ですね。ただし、ゲームやマンガ・アニメで登場するときは美声の持ち主であると同時に、美女・美少女の姿で描かれることが多いようです。

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