
端的に言えば、月が満ちるの意味は「満月になる」ですが「臨月になる」という意味もある。月を表す日本語は繊細で数も豊富です。意味やニュアンスを理解しておくと、使いこなせるシーンが増えるぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「月が満ちる」の意味や例文、類義語などを見ていきます。

ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「月が満ちる」の意味
まず、辞書で「月が満ちる」の意味をチェックしてみましょう。
1 満月になる。
2 出産予定の月に達する。臨月になる。「―・ちて無事出産する」
出典:小学館デジタル大辞泉「月が満ちる」
「月が満ちる」はそのまま「満月になる」という意味以外に、「臨月になる」という意味があります。
平安末期、1120年頃の説話集である今昔物語集には「月既に満て糸厳し気なる男子を平かに産つ」と、月が満ちて男の子を出産した話が載っていますよ。また、鎌倉時代の歌人慈円の歌集で1346年に編纂された広本拾玉集には「月みつる夜半のこころはきえにけり雲やとつらきはつ雪の空」と満月のことが詠まれています。
「月が満ちる」の語源
「月」は太陽の次に明るく光ることから、「次」(つぎ)が変化して「月」になったと考えられています。月は満月になったあと欠けていき、新月では見えなくなることから、「光が尽きる」(つきる)が変化して「月」なったという説もありますが、「次」説の方が有力視されていますね。
また、「満ちる」の古語である「満つ」を調べると「いっぱいになる」「満月になる」「願いがかなう」などの意味があります。
「月が満ちる」の例文
次に「月が満ちる」の例文を見てみましょう。
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