3分で簡単「肝臓の構造と機能」人体最大の化学工場を理系大学院生がわかりやすく解説!
肝臓の構造~葉~
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肝臓は右わき腹の肋骨の内側、横隔膜の下のくぼみに位置し、下面は胃や腸、腎臓などの臓器が接しています。肝臓はとても多きな臓器で、いくつかの「葉」に分かれていて、人では「右葉」「左葉」「方形葉」「尾状葉」の4つです。何葉に分かれているかは生物種によって違い、葉により機能的な違いがあるとは考えられていません。
「右葉」と「左葉」の分け方には「解剖学的な分け方」と「臨床・機能的な分け方」が存在するので注意です。「解剖学的な分け方」では、「肝鎌状間膜(肝円索)」と呼ばれる膜を境にして右葉と左葉の2つに分けます。さらに下側の小さく膨らんでいる部位の前側の膨らみを「方形葉」、下側の膨らみが「尾状葉」です。
一方で「臨床・機能的な分け方」では「カントリー線」で分けます。胆嚢窩と下大静脈を結ぶ線を「カントリー線」と呼びますが、実際に目に見えるような線があるわけではありません。さらに、右葉は前区域と後区域に、左葉は前区域と後区域に分けられます。
肝臓の構造~肝小葉~
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肝臓の最小構成単位を「肝小葉」と呼びます。肝臓はとても大きな臓器ですが、その70-80%の大部分を占めているのが「肝細胞」という一種類の細胞です。「肝小葉」はこの肝細胞が板状に連続して配列された六角形の形をとり、中心に「中心静脈」と呼ばれる静脈が通っています。肝臓はたくさんの「肝小葉」が集まって構成されているのです。
さらに肝小葉の間には小葉間結合組織が存在し、小葉間動脈、小葉間静脈、小葉間胆管の3本の管が通っていて、この3本の管を「三つ組」と呼びます。血液と胆汁は流れていく向きが逆なので注意です。血液は肝小葉の周りから中心静脈にむかって流れ、胆汁は肝小葉の中心から外側に流れます。
肝臓の機能
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肝臓はとても機能が多いことで知られています。なんとその働きは判明しているだけで500種類以上、そのために必要な酵素は2000種類以上です。消化管で吸収された栄養分や解毒すべき成分を含んだ血液は門脈と呼ばれる血管を介して肝臓へと運ばれて行きます。
肝臓の主な働きを大別すると3つ。1つ目は、栄養素の代謝や貯蔵、2つ目は有害物質の解毒・分解・排泄、そして3つ目がは食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌です。ひとつずつ順番に説明していきます。
栄養素の代謝・貯蔵
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食べ物に含まれる栄養素はそのままでは利用することはできません。消化管から吸収された栄養素は肝臓の働きで利用できる形に作り変えられ、さらに必要なときに栄養を供給できるように貯蔵もしています。ここでは三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の代謝についてみてみましょう。
肝臓では糖質の分解で生じるグルコースをグリコーゲンという形で貯蔵しています。血液中のグルコース濃度(血糖値)が高いときにグリコーゲンとして貯蔵しておき、血糖値が低くなったらグリコーゲンを分解してグルコースに戻してから血液中に放出することで、血糖値を維持しているのです。他にも、脂質の代謝では、脂肪酸をエネルギーに変換したり、コレステロールを合成もしています。最後はタンパク質の代謝です。アミノ酸からアルブミンなどの血漿タンパク質を合成したり、不要になったアミノ酸を分解しています。
有害物質の解毒・分解・排泄
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生体にとって有害な物質を無毒化したり、体外に排出したりする解毒も肝臓の重要な機能のひとつです。有害物質とはアルコールや医薬品など外から摂取したもの以外にも、アミノ酸や尿素の分解により産生されたアンモニアや、糖質の代謝でできた乳酸などの代謝によって生じた物質も含ます。
アンモニアは人体に有害な物質です。血液中のアンモニア量が増えると脳が障害され、肝性脳症といわれる意識障害をおこしますため、肝臓のたんぱく質代謝機能によって尿素という毒性の低い物質へと代謝されて尿中に排泄されています。
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