端的に言えば笑みがこぼれるの意味は「軽い笑いを浮かべる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
編集経験もある言葉の研究ライターを10年経験したコトバアソビを呼んです。一緒に「笑みがこぼれる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/コトバアソビ
笑顔を常とするライター。自分の作った小説の出来に、思わず笑みがこぼれる気持ちになった経験を持つ。この小説は電子書籍で出版した。しかしたった10部しか売れず、こぼれた笑みは消え去った。
笑みがこぼれるような、ウキウキすることが大好き。
「笑みがこぼれる」の意味は?
「笑みがこぼれる」には、次のような意味があり、国語辞典にはこのように記載されています。
1.ほほえみ
2.笑顔
出典:新明解国語辞典(三省堂)「笑み」
1.入りきらなかったり すきまが出来たり 穴が開いたりなどして 中身が外に出てしまう {笑みがこぼれる}嬉しさが隠し切れずに表情に出てしまうさま
出典:新明解国語辞典(三省堂)「こぼれる」
辞書では「笑みがこぼれる」とは例文として出ており、うれしさのあまり思わず笑顔になってしまうこととの意味です。「笑みがこぼれる」とは、自分の表情が緩むことで、うれしさを隠せないという意味も持ちます。
辞書の意味通りに組み合わせると「ほほえみや笑顔が思わず、外へと漏れて出てしまう」ことです。「大笑い」や「爆笑」及び「苦笑い」とも違う表現ですね。ちなみに「笑顔がこぼれる」と使うと、誤用になるので注意しましょう。
「笑みがこぼれる」の語源は?
次に「笑みがこぼれる」の語源を確認しておきましょう。
「笑みがこぼれる」を分割して語源を考えると、「笑みがこぼれる」の「笑み」中国語では「微笑」と書きます。先に日本に伝わったのは「微笑み」からという説が有力です。微笑みの深掘りをしていくと、ほほを緩ませることや、表情筋をたるませて自然な笑顔を浮かべる言葉ですね。
「こぼれる」の語源は「雫」です。またこの意味の裏側には「何らかの別の力(要因)により」という、前提条件が付きます。雫は自然現象と捉えられており、古くは農民が必死で雨ごいをして、念願の雨が降りました。雨が降り雫がこぼれるようになったとき、思わず農民は笑顔になったさまを表したという説が有力です。
「笑みがこぼれる」の使い方・例文
「笑みがこぼれる」の例文を用いて、見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.「なんてかわいい猫ちゃん」とわたしは、思わず笑みがこぼれる様子で、子猫を抱きかかえた。
2.合コンで目の前に座った女性が美人で、思わず笑みがこぼれたのだった。
3.入金額を確認しに銀行へ行き、預金通帳の残高をみて、思わず笑みがこぼれる。
4、お笑い芸人でYouTubeの動画の再生回数の多いあるインフルエンサーのセミナーに行った。笑みがこぼれるような、心温まる話を聞けたセミナーだった。
5、おいしいモンブランを食べて、○○からは笑みがこぼれた。
今年我が家に2匹の子猫が来ました。本当に「かわいくてかわいくて思わずに」というさま。赤ちゃんなどを見た瞬間とも共通している使い方です。
2の例文も筆者の体験談で、合コンが当時ははやっており、週7ぐらいでありました。
3の例文と同じように「思わず笑みがこぼれる」と使うことが多いです。正確にいうと重複表現に限りなく近いのですが、日本語としては間違ってはいません。ただこの3の例文の場合の「笑みがこぼれる」は他の言葉でも代用がききます。
笑みがこぼれるようなで、例えとして使うことも多いです。思わずに微笑みを浮かべる感覚という、ニュアンスや意味合いとして使います。
「笑みがこぼれた」というと、様子が浮かぶさまが映像として浮かびますね。「笑みがこぼれる」とは気持ちや表情、その時の様子などにより、心情を表現する言葉です。
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